「血液サラサラの薬は何個、飲んでいますか?」
検査の途中で医師が声をかけた。
切られるな…
母は先週に引き続きショートステイに行っている。
通常は月に2回、隔週ごとに利用するのだが、今回は免許更新のための手続や予約していた私の人間ドックでの検査などで連日、外出の必要があった。
デイサービスに行っている間に外出はできるのだが、待ち時間の長い病院の受診や午後からの用事だと母の帰宅に間に合わないことがある。
主に病院関係の外出は極力、ショートステイ期間中に予約を入れている。
昨日は毎年欠かさず受けている日帰り人間ドックでの健診だった。
胃カメラも毎年しているが今回は初めて経鼻での胃カメラ。
「ちょっと気になるところがあるから」と組織の一部を切り取られた。
老化による萎縮性胃炎は毎年指摘されているが生検になったのは記憶にない。
もし胃がんとか見つかって入院、手術にでもなったら母をどうしようか?
頭痛の種がまた増えた。
異常がなければドックの検査結果と共に後日(2週間程度後)郵送。
何かあれば連絡すると。
またしばらく電話の音で命が縮む。
胃がセーフでも、他の箇所も結構心配なところもある。
病院のエレベーター前で、 リクライニング式の車いすに乗っている人と押している看護師さんがいた。
母も次はこの手の車いすか…としげしげと眺めていると、
「mokogawaさん…ですよね?」
と付き添いの看護師。え、誰…?
「長生園(仮名)です…」
母が行っているショートステイ先の看護師さんだった。
マスクごしではあるが、そういえば迎えに来て抗原検査をするとき話した見覚えのある顔だ。
「お母さま…お尻の傷が深くなって…」
こちらが聞くより先に相手が喋る。
以前に比べて今回の入所時には悪化しているという意味か、或いは今回の入所中に更に悪化ということか…
胃カメラでショックな心に更に追い打ちがかかる。
「眼科に行きますから…」
エレベーターを降りて二人は眼科外来の方に行った。
園から受診でこの総合病院へ入所者を連れてきたらしい。
いつもより一日多いショートで母は明日帰ってくる。
状態を知るのが怖い。