Eテレの幼児番組のフィナーレではない。
 ベルが鳴っている…携帯の。
 母はいま居ない…
 胸が騒ぐ。


 携帯で話し込むような知人はいないし習慣もない。
 書類の連絡先欄には固定電話番号しか書かない…病院等必要な場合を除き。

 だから携帯が鳴るというのはほとんどが悪い報せ。
 しかもここ最近、介護関係で立て続けだ。

 デイサービス「こころ」:熱が出た! 37.7℃もある! どうするか!?

 同「光明園」:ストレッチャーから転落した!

 ショートステイ「長生園」:接触したヘルパーの陽性発覚。今夜からのショートは中止で今から送り返す!

 最後の件は先にケアマネからあったのだが、利用している施設から軒並みかかっている。
 電話がないのは今日、デイサービスで行っている「ゆとり村」だけ。

 昨晩の母は具合が悪いのか、ほぼ一晩中手をぱたぱたさせたり「はあぁ~」と大きなため息をついたり。
 でも特に変わったことも起きずデイに連れて行ってもらったのだ。


 二度あることは三度ある。
 三度あることは四度ある…

 まさか次は「ゆとり村」なんてことはないよネ…
 心の中で冗談交じりにつぶやいた朝だったが、鳴っている携帯の表示はまさしくその「ゆとり村」!
 緊張MAX、ストレスMAX…

 「mokogawaです! どうしました!?」

 相手の挨拶を遮るように、身を固くして性急に問いただす。


 配車の関係で帰宅が遅れるが、いいか?

 はあ~
 ほっとして脱力。
 全く問題ないと答える。

 母が出かけているときのベルの音におののく日々はもう少し続く。


 連絡帳に今月の体重測定の結果が書いてあった。
 
 50.5kg

 前回は54.0kg。病院から退院してきてしばらくは60kg以上あった。

 すべて”順調”だ…。