相変わらず、夜ともなると穏やかに寝てくれる事はほとんど無い。
しかも次第に状況は悪くなってきている気がする。
昔のようにほぼ一晩中わめき散らしたり、この前のように突然絶叫すると言う事はその後、無い。
しかし絶え間なく呻いたり、手をパタパタ揺らしたりと言う事は毎晩のことになってしまった。
時折「はあぁぁっ」とため息とも呻きともつかない大きな声が一瞬出ることもある。
ショートステイで個室利用ならまだしも大部屋だとやはり苦情が出て受け入れを断られるレベル…。
声をあげ始めるとベッドを背上げして上半身を起こし、座ったままハグしてみる。
まるで子供をあやすように優しく優しく頭を撫でてみたり…
そうするとやがてまた、おとなしく寝付いてくれることもあった。
でも今ではあまり効果もなくなった。
呻いている母には何も通じない。
撫でる手も、心をこめたハグも、母にとってはただただ不快な他人の干渉にしか過ぎないのだろう。
そんなときは、くっつきそうなほど私の顔が母の目の前にあるのにこちらを見ようともしない。
意識レベルがかなり落ちているのだろう。
たまたま私を見ても焦点があっていない。
昨夜も母は21時にベッドに横になる。
しばらくおとなしかったが私が隣に寝に来た22時ごろ、もじもじし始める。寝てはいなかったのか。
仰向けにする。
寝入った…と思いきやすぐに呻きはじめる。
1時過ぎ、2時、3時過ぎ…声がでるつど、私は起こされなだめてみるが詮無し…。
結局、朝までそんな調子。
思い切って別の部屋に寝ることができないわけでもない。
もう起き上がってベッドから降りようとしたりすることもない。
隣近所に聞こえるほどの声が出るわけでもない。
でもかすかな声でも聞こえてきたら気になって気になって、何かを羽織って様子を見に行くだろう。
それを考えると夜中に何度も起こされても隣で寝ている方がまだ気が楽だ。
前々回のショートステイでは「夜はよく休まれています」と連絡帳に書いてあった。本当?
前回は「声を出されたり腕を振ったりで寝ておられないようです」と書いてあった。そうだろう、そうだろう。
唸っているときの母の顔…眉間にしわを寄せ苦しそうだ。目はつぶったまま。
安らかな顔で寝ているときもある。
黙って寝てくれている、それだけで私の心は安らぐ。
でもたまには…
…笑顔を、微笑んでいる顔を見たいよ。
もうこれからは叶うことのない望みなのだろうか。