ナーガ

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いつだったか、東京国立博物館に行った時、「ナーガ」の像を見た。とぐろの上に座るブッダを7つの頭を使って、雨から守っている像だった。

「ナーガ」とは、インドコブラを神格化したもので、インド神話を起源とする蛇神または蛇の精霊である。

その姿は経典等の記述によるとインドコブラのようで、首周りが膨らんでいるという。頭が7つある蛇や、上半身が人、下半身が蛇という姿で描かれることもある。頭上に5匹の蛇を飾っていることもある。

聖仏カシュヤパに嫁いだカドゥルーがうんだ1000個に卵から産まれたとされ、地下世界パーターラに独自の王国を築いて生活しているという。「ナーガ」たちを治める諸王のことは「ナーガラージャ」と呼ぶ。

強力無比な猛毒と、脱皮を繰り返して生き延びる強い生命力から、死と永遠の再生を象徴するものとして崇められている。

信奉する者に対しては祝福を与え、毒の害から護るという。ヒンドゥー教の叙事詩「マハーバーラタ」にも、そのようなエピソードが書かれている。

「ナーガ」の性質は様々で、神の随行者たるナーガ、人間と苦楽を共にするナーガ、万物に害を為す悪のナーガなどなど。

「ナーガ」は男(雄)、女(雌)は「ナーギー」、「ナーギニー」は「ナーガに伴う女」という意味がある。

また、天気を操る力も持っていて、怒ると旱魃、宥められると雨を降らす。

この「ナーガ」が仏教に取り入れられると、悟りを開くブッダを守護した存在となった。この時の「ナーガ」はムチャリダという名前である。

大乗仏教では、ブッダは秘伝の大乗経典を海中の龍宮に隠し、ブッダの死から数100年ののちに、ナーガがインドの思想家、ナーガルジュナに届けた、とされている。

チベットでは、湖や地下の水脈に棲み、魔法の石や宝石を守っていると考えられている。

「ナーガ」は元々インドコブラを神格したものであったが、コブラの存在しない中国では「竜」とされた。仏教において「ナーガ」は竜王、竜神であり、雨をもたらす「八大竜王」の名で知られている。

仏教の世界では、「ナーガ」は卵生、胎生、湿生、化生のいずれからも生まれるという。

私が東京国立博物館を訪れた時、「ナーガ上のガルダ」という石像が展示されていた。

「ガルダ」とはインド神話に登場する聖鳥のことで、鷲の頭に人間の身体を持つといわれ、「ガルーダ」の名で知られる。仏教では「迦楼羅(かるら)」という名で呼ばれている。

「ナーガ」は「ガルダ」の母を騙し、奴隷にしたことがあるため、「ナーガ」と「ガルダ」は敵対するようになった。鷲が蛇を食べるのはこのためだ、とも言われている。

さて3年ぶりの規制なしのハロウィン、渋谷は大賑わいのようだ………コロナ第8波の起爆剤になりませんように………。