3月17日、NHK-BSの 《プレミアムシネマ》 枠で放映した 「東京暗黒街・竹の家」 を観ましたカチンコ

 

 1955年7月公開、20世紀フォックス配給のカラー映画 「HOUSE OF BAMBOO」。

 黒澤映画や 「ゴジラ」 の第一作、石原裕次郎さんの初期日活作品などは白黒で、邦画がほぼ ‟総天然色” になったのは、上皇さまと美智子さまが成婚された1958年ごろ。

 

 本作は昭和30年2月、東京の銀座、佃島、浅草、隅田川、鎌倉などでロケ。当時の風景がカラーで収められた貴重な映像資料と言えましょう。

 

 

サンディとマリコ(左)  東京でも水上住宅(右)

 

 

 サミュエル・フラー監督、主演はロバート・ライアンにロバート・スタックと、さすがに古すぎて知らない演者なのですが、ヒロインにかの李香蘭こと山口淑子(1920~2014)、刑事役に日本人ハリウッドスター・早川雪洲(1886~1973)が出ているのが貴重。

 

 ストーリーは独立回復後の日本で、いまだ暗躍するアメリカンマフィアと彼らに結託するジャパニーズヤクザ。それを殲滅せんと組織潜入を試みるアメリカ捜査官、というハードボイルドタッチです。

 

 アメリカ人の夫を組織に殺害されたマリコ(山口淑子)とドーソン捜査官(ロバート・ライアン)のラブロマンスがひとつの柱で、描かれる日本人女性像はステレオもステレオな貞淑で従順なもの。とはいえ小津安二郎監督作品などの描写とさして変わりません。

 

 最大の見どころは当時の町風景。戦後10年で焼け野原の東京はここまで復興したのかと驚くと同時に、やはり貧しい。繁華街を外れた一般住居は江戸時代のようです。まさに ‟竹の家”。

 

 

当時のパチンコ店(左)  浅草松屋デパートの屋上(右)

 

 

 銀座にはパチンコ店や喫茶所、菓子の出店が並び、道行く人々の衣服は意外とカラフルで多様。松屋デパートの屋上には遊園地があり、ピエロや手品師の見世物が賑わせます。すごい落差というか、格差がとんでもないくらい大きいのでしょう。

 

 いちどアメリカ人と結婚したマリコはすっかりコミュニティから排除され、買い物すらろくにできない状態。排外なのか嫉妬なのか、現代でも大して変わらない社会感情というものでしょうか。

 

 展開の組み立ては実によく出来ててわかりやすく、思わぬヒネリもあってクライマックスの迫力じゅうぶん、余韻も良い鑑賞感でした。70年前とは思えぬクオリティです。ハリウッドおそるべし。