本日は、みつまめ忘れじのNBA名選手を回顧する後ろ向き企画、「みつまめNBAスーパースター列伝バスケ」。

 

 第121回は、前回に引き続き ‟グレート・ジャーマン” ダーク・ノウィツキ―の後編です。

 

 

 NBAを代表するビッグマン、スコアラーとしてスーパースターの仲間入りしたノウィツキーは、母国ドイツの英雄に。2008年北京五輪では開会式でドイツ代表選手団の旗手を任されました。バスケット競技ではドイツの世界ランキングは高くありませんが、FIBAワールドカップなど国際試合には何度も代表入りしています。

 

 優勝を目指すダラス・マーベリックスは、ポイントガードにジェイソン・キッドを補強するなど、意欲的なオーナー、マーク・キューバンの資金投下にも関わらず、2007-2008シーズンまたもファーストラウンド敗退。キューバンはヘッドコーチにディフェンス重視のリック・カーライルを招聘しました。攻撃型ではなく、守備を強化しないと頂点に届かないことを悟ったのです。

 

 2010年オフ、32歳のノウィツキーはダラスと長期高額契約を更新。‟マブスに骨を埋める” 覚悟を示すと、チームもショーン・マリオン、タイソン・チャンドラー、カロン・バトラーらディフェンスを得意とし、スピードのあるフォワード/センター陣を揃えてノウィツキーのサポートを固めました。

 

 2010-2011シーズン、マブスは57勝25敗のウエスト3位。ノウィツキー自身も平均23.0得点 7.0リバウンドの好成績で臨んだプレーオフ、ロサンゼルス・レイカーズやオクラホマシティ・サンダーを圧倒して5年ぶりNBAファイナルの切符を手にします。

 

 

NBAファイナル2011でMVP

 

 

 ファイナルの相手はマイアミ・ヒート。奇しくも5年前と同じ顔合わせながら、ヒートもドゥエイン・ウエイドにレブロン・ジェームス、クリス・ボッシュの若いビッグ3を擁するチームに様変わり。初優勝を狙うレブロンは絶好調で、下馬評は圧倒的にヒート有利でした。

 

 初戦を落とした2戦目、マブスはノウィツキーの残り3秒からのシュートが決まり逆転勝利。ロースコアゲームに持ち込むプランが効いて地元ダラスで勝ち越すと、マイアミでの第6戦も制して4勝2敗。ついに待望のチャンピオンリングを勝ち取りました。

 

 MVPは平均26.0得点 9.7リバウンドのノウィツキー。このシリーズは当ブログでもオンタイムで記事にしています(→NBAファイナル第6戦感想)。

 

 優勝を達成した満足感か、翌年にはチームはあっさり解体して主力がぞろぞろ去っていきましたが、フランチャイズビルダーとしてノウィツキーは不動。まさに彼がマブスそのものだったのです。気難しい外見とはうらはらに、SNSに茶目っ気たっぷりの写真や動画をアップするなど、コート外での人気もNBAトップクラスでした。

 

 勝率5割強、プレーオフは逃さないシーズンを重ね、ノウィツキーは2019年までプレー。マブスひとすじ21年、1522試合出場、通算31560得点(平均20.7)は歴代6位という偉大な記録を残して引退しました。奇しくも最終年で、スロベニア出身の現マブスのエース、ルカ・ドンチッチが入団しています。まさにパス・ザ・トーチ。

 

 

2019年4月、引退セレモニー

 

 

 現在はマブスのフロントで特別アドバイザーの肩書きをもらい、悠々自適。引退後の発言をみるかぎり、指導者などでコートに戻ることはなさそうです。夫人がサッカー選手ということもあり、プレミアリーグサッカーのアーセナルの試合を観るのがいちばんの楽しみらしい。

 

 ダラスのホームコート、アメリカンエアラインズ・センターと地元のフランクフルトの公園に彼のブロンズ像が設置されており、アメリカとドイツ両国で尊敬を集めた本物の国際的スターであることをよく表しています。