*2月11日付記事 の続きです。

 

 

 R大学文学部史学科のぜんざい教授ねこへびと、教え子の院生・あんみつ君ニコニコの歴史トーク、今回のテーマは 二・二六事件 です。

 

 本日は、軍閥の抗争とテロの連鎖 のおはなし。

 

 

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 あんみつ得意げ 「先生、満州事変(1931年9月)を境目に、日本はファシズムが台頭していくわけですけど、同時にやたらとクーデターやテロが起こり、要人の暗殺が相次ぎますね」

 

 ぜんざいねこへび 「うん。前回話した、経済恐慌からくる社会不安、政党政治の腐敗。それらを解決するための方策として、テロリズムが用いられたのは短絡であり、まことに不幸なことだ」

 

 あんみつむっ 「陸大出身の中堅将校が結成した <桜会> なる会合が目論んだ、軍部独裁政権樹立のクーデターは未遂に終わりましたが(三月事件,十月事件)、民間結社 <血盟団> が一人一殺を掲げて実行した要人暗殺では、井上準之助前蔵相と、三井理事長の団 琢磨が殺害されました」

 

 ぜんざいねこへび 「ついには、総理大臣・犬養 毅が陸海軍の少壮将校に襲撃され、殺害されるに及ぶ(五・一五事件)。これをもって 政友会・民政党の政党内閣時代は終焉し、敗戦まで立ち直ることはなかった」

 

 あんみつシラー 「二・二六事件の前に、すでに一部の軍人による総理官邸襲撃が発生していたんですね。実行者は数十人だから、完全装備した兵士千人以上が起こした二・二六とは規模が違いますけど」

 

 ぜんざいねこへび 「それは、結局のところ暴力・カネ・大義名分の要件が揃わなかったからだ。参加者が少なければろくな武器がないから暗殺に頼るしかないだろう。ただ問題は、少数でも容易に官邸を襲撃できたことさ」

 

 あんみつかお 「そうか、テロの怖さはその点ですね。軍人といっても勤務があるし、とくにお金持ちというわけじゃない。そうなるとカネがある地下結社、というか、暴力団じみた民間右翼と接触せざるを得なくなる」

 

 ぜんざいねこへび 「あとは大義名分だ。自分たちを正当化する思想的根拠、というか理論武装だね。それは北 一輝や西田 税(みつぎ)、大川周明らの国家改造構想が受け入れられた。さらに平泉 澄(きよし)らの歴史学者から、大本・天津教などのカルト宗教までもが支持されたよ」

 

 あんみつにひひ 「でもそれぞれ、お互いの仲は良くないから、どの思想を取り入れ、誰に師事するかはごくいい加減なものだったみたいですね」

 

 ぜんざいねこへび 「だが、そうしたフクザツな思想の関係やカネの結びつきは、従来の縦割り社会を飛び出し、自由すぎる人間関係を可能にさせた。軍のおエライさんとヤクザ、無業の若者が同じ料亭で芸者遊びに興じてる、異様な光景すらあったという」

 

 あんみつかお 「へぇ、日本は今のままではダメだ、といいながら、それぞれの欲得で結びついてたということですね。軍は軍で、有名な <皇道派> と <統制派> に分かれて勢力争いしてました」

 

 ぜんざいねこへび 「皇道派は、君民一体となって皇道の実践による国家革新といい、統制派は軍主導の統制のもと、財閥・官僚とも結んで総力戦体制を、というものだが、戦争推進という面ではどちらも違わないから、単なる派閥争いでしかないだろう」

 

 あんみつえっ 「そうなんですか~。二・二六事件を起こしたのは皇道派で、事件のあと統制派が陸軍を仕切るようになったから、よほど軍全体を二分したイデオロギー争いなのかと思った」

 

 ぜんざいねこへび 「いや、陸軍を二分してたわけではない。いちばん多いのは中間の無党派層だ。要するに満州事変のあと、軍が議会政府を牛耳るようになるのを見越して、そのときの主導権を誰が取るか、という争いだね。だからどの派閥がリードするか、みんなで様子見してたのさ」

 

 あんみつしょぼん 「そんななか、統制派の首魁・永田鉄山軍務局長が皇道派の相沢三郎中佐に殺害される事件が起こり(1935年8月)、派閥争いは沸騰寸前に至ります」

 

 ぜんざいねこへび 「派閥争いの常で、穏健派と急進派が分かれたり、役職・長幼の上下で溝が出来る。口先だけで行動せず、酒色にふけるようなおエライさんに対し、青年将校たちが見限っていったんだ。クーデターの主役は、すでに下位の将校に移っていた」

 

 あんみつプンプン 「そして、ついに決行のときを迎えるんですね」

 

 

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 今回はここまでです。

 

 血なまぐさい時代の趨勢は、暴力の連鎖を招くと同時に日本全体を威圧していきます。

 

 次回は二・二六事件の推移をたどり、その後戦争の泥沼に踏み込むところまで概観し、シリーズ最終回とします。

 

 

 それではごきげんようm(_ _ )m。

 

 

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