日帰りトライク・ソロツーリングが詩になるためには・・・・・ | 恋着、横着、漂着 遊び盛りゆるゆるのびのび60代

恋着、横着、漂着 遊び盛りゆるゆるのびのび60代

2年早く退職して機能と効率のタガを外すことが出来ました。
人生をゆるゆるのびのびと楽しんで味わって行きたいと思う60代です。

 花粉症の季節ということもあって遠出の意欲が高じない土日である。

 尚且つ、行先もルートがほぼ固まって来た。奥多摩から山梨へ向かうのか、秩父-志賀坂から群馬県上野村へ、さらには長野へ向かうのか、それとも東秩父村の道の駅どまりで帰って来るのか、という三通りしかない。

 非日常のはずのトライク・ソロツーリングが意外性の全くないコースに終始するようになって来た。つまりはマンネリ化というやつで、そこに詩は生まれない。・・・・という反省もあって、今日は、東秩父村の道の駅の、その先を走ってみた。

 おっと、その前に、東秩父村の道の駅でささやかなドラマが待っていたのだった。

 

 JA経営のスーパーはレジに向かって随分と客が並び、面倒なので買い物はしなかった。その代わり、裏のスペースにある売店で焼き団子を土産に買った。トイレで小用を足し、意外に暑いので自販機でミネラルウォーターを買い、二口三口飲んで、まだ七割方水の残っているペットホドルをバックパックのポケットにねじ込み、停車させていたトライクに戻る。

 大概、この時、我が相棒に興味を魅かれたバイカーは何か一言二言話しかけてくるのだが、今日はそういった御仁はいない。別にそんなことはどうでもよく、さっさと出て行こうとしたのだが、ヘルメットを着け、手袋をはめ、エンジンをかけるといった動作の最中に、バイカーたちから受ける視線が、それも五六人まとまった連中の視線がやたら熱いのである。言ってみれば、「こんなとびきり目を引く、かわいくて美人をこいつは連れていやがるのか、一体どうやってエスコートするつもりなんだ、そもそも、こいつはこの美人とどうやって出会ったんだ!?」とでも言いたい目線なのである。

 その熱視線を誇らしげに受けて、私は早々に道の駅を出て行ったのだった。

 いや、もうニヤニヤが止まらない。

 

 さて、目指すは通行止めの定峰峠を回避しての国道140号線である。その後、299に戻り、帰路となる。

 途中、少しばかり道を間違えたが、無事に140号に乗れた。

 で、その途中、秩父鉄道が140号沿いに走っているのが分かった。その一駅を過ぎた。しかし、しばらく過ぎた後、思い直して戻り、立ち寄ることにした。

 

 

  
  波久礼 ( はぐれ ) 駅というらしい。初見である。壁に貼られたダイヤを見ると一時間に一本程度しか列車は通らないらしい。 

  トライクを停めて、ガラホで記念写真を撮る。駅舎に入るとカップルが一組、それとは別にバックパックの若い女性が一人、駅舎の外を行ったり来たりしている。

  駅舎のベンチはもう今は他にめったに見られない木製である。白のペンキがはがれたままだ。

  こんな佇まいの駅舎は、50年以上前に地元の駅、国鉄の東飯能駅で見た限りである。

  小さな詩を感じられたひとときだった。

 

 そういえば、しばらく前に、秩父鉄道のいくつかのひなびた駅が紹介されていたことがあった。それを見た自分は ( あ、来年、退職したら平日に乗ってみようか ) と思ったのだった。

 しかし、別に来年までガマンしなくても、トライクで秩父鉄道の各駅をめぐる日帰りの旅はいつでも可能なのだ。

 「いつもの」というやつからは詩は生まれないということを改めて知った一日である。

 そう、いつまでもツーリングマップルに頼ってはいられない。後付けで使ってもいいわけで。