2021年 日本
脚本・監督 西川美和
原案 佐木隆三「身分帳」
主演 役所広司(三上)、仲野太賀(津乃田)、六角精児(スーパーの店長)、北村有起哉(ケースワーカー)、橋爪功、梶芽衣子、白竜、キムラ緑子、長澤まさみ、安田成美 他
1年以上前に観た映画です。
色々考えさせられる作品ですが
西川監督はいつも
法的に、世間一般的に悪い事をする人について考察している…
罪を犯したのは事実だが、素直でどこか人がよく、ある意味誠実でもある三上。
この映画は
「犯罪歴のある人の更正の難しさや、世間の冷たさ」「三上が結局他人に迎合することの残念さ」といった論点で語られることが多かったけれど
私には、最後
暴力をふるわなかった三上を批判する人々こそが「冷たい世間」そのものに思える。自分は安全な場所にいて三上を無責任にたきつけているように思える。受刑者を見下しているように思える。しかし、
法を犯した人とそうでない人の境目の曖昧さを考えると、自分は絶対安全とは思わない。
暴力を抑えて別の解決方法を模索しようとした(たぶん)三上は、大人ではあるけれど、つらい子供時代を経ていまだ成長の過程にいたのでは
弁護士夫妻、ケースワーカー、スーパーマーケットの経営者
面倒な事態に巻き込まれることを恐れずに、
三上に手を差しのべた人々が
放心しているかにみえるラストシーンは、
何かを問いかけられているような気持ちになりました。