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Les Innocentes
2016年 フランス=ポーランド
監督 アンヌ・フォンテーヌ
主演 ルー・ドゥ・ラージュ、アガタ・ブゼク、ヴァンサン・マケーニュ、アガタ・クレシャ他
フランス映画祭のパンフレットをみて気になっていた作品です。
第二次対戦末期のポーランド
静かな修道院で祈りを捧げる修道女たち
うめき声がかすかに聞こえた後
一人のシスターが修道院を抜け出す最初のシーンから
張りつめた空気が漂います。
駐在するフランス軍の医師マチルダに助けを求めるシスター
フランス人しか診察しないと断るマチルダですが、
修道院を訪れて驚くべき事実を知り…
女性の医師が自分の生活を犠牲にして人々を助けようとする姿は、ダルデンヌ兄弟「午後8時の訪問者」に似ています
戦争は直接的には描かれませんが、国同士の複雑な関係を背景に
修道女たちに次々と悲劇が
一瞬も目を離せないハラハラ感が私にはかなりサスペンスフルに感じられました。
信仰が人を救う映画ではなく、信仰を賛美する映画でもなく
修道院に起きた悲劇を淡々と描く事で、
人を救うのはやはり人なのだと感じました。
正しいと思うことを諦めない強さ
ルー・ドゥ・ラージュ
「少年と自転車」のセシル・ドゥ・フランスを思わせる、意思の強い眼差しが美しい!
特にドラマチックな演出がなく
医師とシスターの心の交流や対立がリアルに感じられる
脚本が良いと思いました。
この監督の過去の作品を観ていないことが悔やまれる!
帰りの山手線で私が乗った車両の乗客はほとんどが外国人で、
色々な国の人々が三々五々話している。微妙なバランスはある意味平和な光景
私が子供だった頃と今の日本は全く違う。
米ソの冷戦は遠い過去の話となり
新たな火種が一触即発…
普通の生活が砂上の城でありませんように。
(8月14日 新宿武蔵野館)