文藝春秋三月号
芥川賞二作品、やっと読み終わりました。
「苦役列車」はすぐに読んでしまったけれど
「きことわ」がなかなか読み進まなくて。
「きことわ」
朝吹真理子 著
作者は確かに頭が良く文才があるのだろうが、
文章をもっと削ぎ落としてシンプルにした方が
物語の魅力が引き立つのではないだろうか。
後半はリズムがでてきて良かったのに、前半はジェイムズ・ジョイスのように退屈(誉めているわけではない)。
印象的な場面もあるのに、雑多な(失礼!)文章に紛れてしまっている。
まだ若いから
これからもっと良くなる…のかも。
「苦役列車」
西村賢太 著
面白い!スラスラ読めます。
前評判通り
主人公は駄目な下品な男だけれど、自分自身の駄目さ加減を笑う余裕があって、ちょっと町田康さんの小説のよう。
これが自己憐憫に浸っているだけの小説ならば
とても読む気がしないだろう。
しかしこの作品は、ちゃんと人に読ませるものになっている。
そして文章が…
本当に上手い!シンプルで、読みやすい!
上手いというよりも、とことん小説を読んで小説に救われた人物なのだと
そう思わざるをえない。
衝撃的な経歴と背景を持つ作者だけれど
(一般的な意味での)生活の洗練度と
文章の洗練度は
比例しないのだというのが
二つの作品を読んでの結論。
私には
内容とはうらはらに西村さんの小説の方が洗練されているし、志が高いように思えます。
ところで町田康さん、
INUの町田町蔵。アルバムを持っているしライブにも行ったな~♪
まさか芥川賞作家になるとは