103.ソロモン王の即位 | 御言 missing link

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 ソロモン王がイスラエル王国三代目の王として即位した様子は次のようになります。列王記第1章から抜粋要約します。

 ダビデが年老いたある日、息子の一人であるアドニヤが勝手に「わたしは王となろう」と言い出し、同時に戦車や騎兵等を確保しました。アドニヤはダビデの4番目の息子でしたが、このときすでに、長男のアムノンと三男のアブサロムは他界していました。次男のキレアブ(ダニエル)の王位継承に関わる詳細は分かりませんが、聖書学者の間では、問題の多かったダビデの息子達の中にあって、キレアブは静かに生きた、ということのようです。最初から王位継承権を放棄していたか、または、アドニヤのこの事件のときにはすでに他界していたのかもしれません。ですから、四男のアドニヤが、ダビデの次に王になるのは当然自分だと考えていたのは不思議なことではなかったようです。
 ダビデはアドニヤに対して、一度も「なぜ、そのような事をするのか」と言ってたしなめたことがありませんでした。アドニヤのこの即位宣言も、自分が望めばその通りになると安易に考えてのことだったのかもしれません。
 アドニヤは、自分に従う兄弟や人々をことごとく招いて祝宴を開きました。そこには、後に王となるソロモンは招かれませんでした。このようないきさつを、このアドニヤの即位を支持しなかった預言者ナタンがソロモンの母バテシバに伝えました。バテシバはダビデのところに行き、次のように言いました。
「わが主よ、あなたは、あなたの神、主をさして、はしために誓い、『おまえの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と言われました。 そうであるのに、ごらんなさい、今アドニヤが王となりました。王わが主よ、あなたはそれをごぞんじないのです。彼は牛と肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たち、および祭司アビヤタルと、軍の長ヨアブを招きましたが、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。王わが主よ、イスラエルのすべての目はあなたに注がれ、だれがあなたに次いで、王わが主の位に座すべきかを告げられるのを望んでいます。王わが主が先祖と共に眠られるとき、わたしと、わたしの子ソロモンは謀叛人とみなされるでしょう」。
 そこに預言者ナタンが入ってきて、言いました。
「王わが主よ、あなたは、『アドニヤがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう』と仰せられましたか。彼はきょう下っていって、牛と、肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たちと、軍の長ヨアブと、祭司アビヤタルを招きました。彼らはアドニヤの前で食い飲みして、『アドニヤ万歳』と言いました。しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、あなたのしもべソロモンを招きませんでした。この事は王わが主がさせられた事ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに次いで王わが主の位に座すべきかを告げられませんでした」。
 これを聞いて、ダビデ王はバテシバに次のように言いました。
「わたしがイスラエルの神、主をさしてあなたに誓い、『あなたの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしに代って、わたしの位に座するであろう』と言ったように、わたしはきょう、そのようにしよう」。
 このときの王の命により、祭司ザドクと預言者ナタンがソロモンに油を注いで正式にソロモンがイスラエルの王位継承者となったのでした。
 これを知ったアドニアは祭壇の角をつかんで、
「どうぞ、ソロモン王がきょう、つるぎをもってしもべを殺さないとわたしに誓ってくださるように」
 と恐れたのでした。
 それを聞いたソロモンは、
「もし彼がよい人となるならば、その髪の毛ひとすじも地に落ちることはなかろう。しかし彼のうちに悪のあることがわかるならば、彼は死ななければならない」。
 と言い、人をつかわして彼を祭壇から下ろさせました。アドニアがソロモンのもとに来て、ソロモンを拝したので、ソロモンは罪を問わずにアドニアを帰らせたのでした。
 ダビデの後継問題を巡っては,アドニア派と反アドニア派という、大きな二つの派閥が存在していたと言えるでしょう。列王記上第1章には、
「彼がゼルヤの子ヨアブと祭司アビヤタルとに相談したので、彼らはアドニヤに従って彼を助けた。しかし祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、預言者ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士たちはアドニヤに従わなかった。」(列王記上 1/7~8)
 と記されています。
 この権力闘争に敗れたアドニア派は、一旦は何事もなく許されたのですが、ダビデの死後、ソロモンによって粛清されてしまうのでした。
 ダビデのような統率力のある王であっても、晩年は後継問題を中心とする派閥の形成をゆるしてしまい、その亡き後、勝った方が負けた方を粛清するという結果を残すことになってしまいました。
 現代は、血を流すような粛清は別として、人間のやることには根本的な違いはないのでしょうか。
 祝福を受け、原罪がないと自称する集団の頂上にいるような人々であっても。

補足;関連する部分を、旧約聖書から引用しておきます。

「ダビデ王は年がすすんで老い、夜着を着せても暖まらなかったので、 その家来たち は彼に言った、『王わが主のために、ひとりの若いおとめを捜し求めて王にはべらせ、 王の付添いとし、あなたのふところに寝て、王わが主を暖めさせましょう』。 そして彼 らはあまねくイスラエルの領土に美しいおとめを捜し求めて、シュナミびとアビシャグ を得、王のもとに連れてきた。 おとめは非常に美しく、王の付添いとなって王に仕えたが、王は彼女を知ることがなかった。
 さてハギテの子アドニヤは高ぶって、『わたしは王となろう』と言い、自分のために戦車と騎兵および自分の前に駆ける者五十人を備えた。 彼の父は彼が生れてこのかた一度も『なぜ、そのような事をするのか』と言って彼をたしなめたことがなかった。アドニヤもまた非常に姿の良い人であって、アブ サロムの次に生れた者である。彼がゼルヤの子ヨアブと祭司アビヤタルとに相談したので、彼らはアドニヤに従って彼を助けた。しかし祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、預言者ナタンおよびシメイとレイ、ならびにダビデの勇士たちはアドニヤに従わなかった。アドニヤはエンロゲルのほとりにある『へびの石』のかたわらで、羊と牛と肥えた家畜をほふって、王の子である自分の兄弟たち、および王の家来であるユダの人々をことごとく招いた。しかし預言者ナタンと、ベナヤと、勇士たちと、自分の兄弟ソロモンとは招かなかった。
 時にナタンはソロモンの母バテシバに言った、『ハギテの子アドニヤが王となったのをお聞きになりませんでしたか。われわれの主ダビデはそれをごぞんじないのです。それでいま、あなたに計りごとを授けて、あなたの命と、あなたの子ソロモンの命を救うようにいたしましょう。あなたはすぐダビデ王のところへ行って、“王わが主よ、あなたは、はしために誓って、おまえの子ソロモンが、わたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろうと言われたではありませんか。そうであるのに、どうしてアドニヤが王となったのですか”と言いなさい。あなたがなお王と話しておられる間に、わたしもまた、あなたのあとから、はいって行って、あなたの言葉を確認しましょう』。そこでバテシバは寝室にはいって王の所へ行った。(王は非常に老いて、シュナミびとアビシャグが王に仕えていた)。 バテシバは身をかがめて王を拝した。王は言った、『何の用か』。 彼女は王に言った、『わが主よ、あなたは、あなたの神、主をさして、はしために誓い、“おまえの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう”と言われました。 そうであるのに、ごらんなさい、今アドニヤが王となりました。王わが主よ、あなたはそれをごぞんじないのです。彼は牛と肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たち、および祭司アビヤタルと、軍の長ヨアブを招きましたが、あなたのしもべソロモンは招きませんでした。王わが主よ、イスラエルのすべての目はあなたに注がれ、だれがあなたに次いで、王わが主の位に座すべきかを告げられるのを望んでいます。王わが主が先祖と共に眠られるとき、わたしと、わたしの子ソロモンは謀叛人とみなされるでしょう』。
 バテシバがなお王と話しているうちに、預言者ナタンがはいってきた。人々は王に告げて、『預言者ナタンがここにおります』と言った。彼は王の前にはいり、地に伏して王を拝した。そしてナタンは言った、『王わが主よ、あなたは、“アドニヤがわたしに次いで王となり、わたしの位に座するであろう”と仰せられましたか。彼はきょう下っていって、牛と、肥えた家畜と羊をたくさんほふって、王の子たちと、軍の長ヨアブと、祭司アビヤタルを招きました。彼らはアドニヤの前で食い飲みして、『アドニヤ万歳』と言いました。しかし、あなたのしもべであるわたしと、祭司ザドクと、エホヤダの子ベナヤと、あなたのしもべソロモンを招きませんでした。この事は王わが主がさせられた事ですか。あなたはしもべたちに、だれがあなたに次いで王わが主の位に座すべきかを告げられませんでした』。
 ダビデ王は答えて言った、『バテシバをわたしのところに呼びなさい』。彼女は王の前にはいってきて、王の前に立った。 すると王は誓って言った、『わたしの命をすべての苦難から救われた主は生きておられる。わたしがイスラエルの神、主をさしてあなたに誓い、“あなたの子ソロモンがわたしに次いで王となり、わたしに代って、わたしの位に座するであろう”と言ったように、わたしはきょう、そのようにしよう』。そこでバテシバは身をかがめ、地に伏して王を拝し、『わが主ダビデ王が、とこしえに生きながらえられますように』と言った。
 ダビデは言った、『祭司ザドクと、預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤをわたしの所に呼びなさい』。やがて彼らは王の前にきた。 王は彼らに言った、『あなたがたの主君の家来たちを連れ、わが子ソロモンをわたしの騾馬に乗せ、彼を導いてギホンに下り、その所で祭司ザドクと預言者ナタンは彼に油を注いでイスラエルの王としなさい。そしてラッパを吹い て、“ソロモン王万歳”と言いなさい。それから、あなたがたは彼に従って上ってきなさい。彼はきて、わたしの位に座し、わたしに代って王となるであろう。わたしは彼を立ててイスラエルとユダの上に主君とする』。エホヤダの子ベナヤは王に答えて言った、『アァメン、願わくは、王わが主君の神、主もまたそう仰せられますように。願わくは、主が王わが主君と共におられたように、ソロモンと共におられて、その位をわが主君ダビデ王の位よりも大きくせられますように』。
 そこで祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとは下って行って、ソロ モンをダビデ王の騾馬に乗せ、彼をギホンに導いて行った。祭司ザドクは幕屋から油の角を取ってきて、ソロモンに油を注いだ。そしてラッパを吹き鳴らし、民は皆『ソロモン王万歳』と言った。民はみな彼に従って上り、笛を吹いて大いに喜び祝った。地は彼らの声で裂けるばかりであった。アドニヤおよび彼と共にいた客たちは皆食事を終ったとき、これを聞いた。ヨアブはラッパの音を聞いて言った、『町の中のあの騒ぎは何か』。彼の言葉のなお終らないうちに、そこへ祭司アビヤタルの子ヨナタンがきたので、アドニヤは彼に言った、『はいりなさい。あなたは勇敢な人で、よい知らせを持ってきたのでしょう』。ヨナタンは答えてアドニヤに言った、『いいえ、主君ダビデ 王はソロモンを王とせられました。 王は祭司ザドクと預言者ナタンおよびエホヤダの子ベナヤ、ならびにケレテびとと、ペレテびとをソロモンと共につかわされたので、彼らはソロモンを王の騾馬に乗せて行き、祭司ザドクと預言者ナタンはギホンで彼に油を注いで王としました。そして彼らがそこから喜んで上って来るので、町が騒がしいのです。あなたが聞いた声はそれなのです。こうしてソロモンは王の位に座し、かつ王の家来たちがきて、主君ダビデ王に祝いを述べて、“願わくは、あなたの神がソロモンの名をあなたの名よりも高くし、彼の位をあなたの位よりも大きくされますように”と言いました。そして王は床の上で拝されました。王はまたこう言われました、“イスラエルの神、主はほむべきかな。主はきょう、わたしの位に座するひとりの子を与えて、これをわたしに見せてくださった”と』。
 その時アドニヤと共にいた客はみな驚き、立っておのおの自分の道に去って行った。 そしてアドニヤはソロモンを恐れ、 立って行って祭壇の角をつかんだ。 ある人がこれをソロモンに告げて言った、『アドニヤはソロモンを恐れ、今彼は祭壇の角をつかんで、“どうぞ、ソロモン王がきょう、つるぎをもってしもべを殺さないとわたしに誓ってくださるように”と言っています』。ソロモンは言った、『もし彼がよい人となるならば、その髪の毛ひとすじも地に落ちることはなかろう。しかし彼のうちに悪のあることがわかるならば、彼は死ななければならない』。ソロモンは人をつかわして彼を祭壇からつれて下らせた。彼がきてソロモンを拝したので、ソロモンは彼に『家に帰りなさい』と言った。」 (列王記上 第1章)

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