2010/04/27(火)
LEONです。
LEONです。
浅田次郎の『プリズンホテル【1】夏』を読みました。

なんとなく浅田次郎本人かと思うようなキャラの・・『ぼく』こと小説家の
木戸孝之介。父親の法事にきた叔父木戸仲蔵から予想だにしないことを
聞いてしまう。なんとリゾートホテル『奥湯元あじさいホテル』の社長を
やっているというのだ。しかも任侠団体様専用といっていい普通じゃない
ホテルらしい。従業員は大半がヤクザで仲居はほとんどフィリピーナ。
しかし支配人とフレンチのシェフは一流ホテルからのスカウトであった。
木戸孝之介。父親の法事にきた叔父木戸仲蔵から予想だにしないことを
聞いてしまう。なんとリゾートホテル『奥湯元あじさいホテル』の社長を
やっているというのだ。しかも任侠団体様専用といっていい普通じゃない
ホテルらしい。従業員は大半がヤクザで仲居はほとんどフィリピーナ。
しかし支配人とフレンチのシェフは一流ホテルからのスカウトであった。
17章からなる奇想天外な、しかし心温まるお話です。
あまり細かく書いてもいけないのですが、各章のタイトルに変わる文章を
引用します。これで妄想を拡げてください。興味が湧いたら読んでみて下さい。
あまり細かく書いてもいけないのですが、各章のタイトルに変わる文章を
引用します。これで妄想を拡げてください。興味が湧いたら読んでみて下さい。
1)『おめえでさえ世間様から先生なんて呼ばれるんだぜ。この俺がリゾート
ホテルのひとつやふたつブッ建てたって、何のフシギもあるめえ』
---仲蔵親分は偏屈な小説家に向って言った。
2)『これから旅に出る。一緒に行きたかったら上野駅の翼の像の前に来い。
十時から十分間だけ待つ』
---偏屈な小説家はテレ・メッセージを入れた。
3)『おいてめえら。こちらがこんど、うちのオヤジさんの肝煎りでホテルを
仕切ることになった支配人さんだ。挨拶しとけよ』
---番頭は湯上りの客に向って言った。
4)『どうも妙だ。おい志保、そのホテルは本当に大丈夫なんだろうな。変わ
ったことがなければ良いが・・・・・』
---若林隆明氏は夫人に向って言った。
5)『当ホテルにいったんゲソつけられたお客人は身内も同然。誠心誠意、
命がけで尽くさせていただきやす』
---番頭は拳を突いて言った。
6)『業務連絡!ただいま親分がご到着されました。全従業員、業界関係者
ならびに任侠団体客はただちにロビーに集合して下さい』
---荒くれただみ声が、全館に流れた。
7)『静かな部屋・・・・・あいてますか。それから、酒と、食事も・・・・・』
---目のすわった家族連れが真夜中の玄関に立った。
8)『あいにく、代紋ちがいのにいさんがたに、問われて名乗れる身分じゃ
ござんせん。わけあって旅かけておりやすんで』
---湯煙の中で、謎の旅人は重たい口を開いた。
9)『誰か覗いてるよ・・・・・おじさん、やっぱり見てるよ、ほら』
---偏屈な小説家は露天風呂の竹囲いを、おそるおそる指さした。
10)『上の者が白いと言やあ、黒いカラスも白いのがあっしらの渡世です。
支配人をないがしろにすれァ、指の一本や二本とぶのァ当りめえのこって』
---番頭は支配人に言いきかせるように呟いた。
11)『おめーらマジかよ。この山ン中に落ち着くだとー。信じらんねーよなー。
これじゃネンショーにでも行ってた方が、まだマシだぜ』
---暴走族は父親に向って言った。
12)『シャバに出てきてみたら、代紋がなくなっちましてね。まったく何のた
めに懲役かけたんだかわかりゃしません。笑い話ですわ』
---謎の旅人は自らを嘲るように言った。
13)『嵐ノ夜ニハ、ゴースト出ルネ。首吊ッテ死ンダ、元ノオーナート家族ノ
幽霊。サッキモ、・・・・・三階ノ廊下ヲ歩イテ行ッタノ。
---仲居は銀の十字架を憟わせた。
14)『よく見ろ。カワサキって書いてあるだろう。1966年製カワサキW1。
OHVバーチカルツインエンジンを搭載した伝説の名車だ』
---シートの下から姿を現したバイクに、暴走族は目をみはった。
15)『ねえ、旦那さん、成仏するなんてかてえことおっしゃらずに、ずっとここ
にいらして下さいな。
---板長はそう言ってみごとな会席膳を勧めた。
16)『おお、とったろうじゃねえか。ヘタ売っての懲役じゃ、てめえも返り討ち
にあった方がましだろ。死ねや。
---旅人はリボルバーの銃口を刺客の喉元に押し込んだ。
17)『もしや、七代前に誰かが坊主でも殺しゃしなかったかな』
---偏屈な小説家はふいに怖ろしいことを言った。
引用が長くなりました。
前オーナー時代からいる腕のいい板長とスカウトされてきたシェフの料理
対決。定年を迎え離婚を図る妻と何も知らない夫。支配人とその息子の
暴走族との葛藤。客の任侠団体と従業員のソフトボール大会。
とにかく面白い。
対決。定年を迎え離婚を図る妻と何も知らない夫。支配人とその息子の
暴走族との葛藤。客の任侠団体と従業員のソフトボール大会。
とにかく面白い。
浅田次郎はあとがきでこう書いています。
皆様が二晩お泊まりになりました『プリズンホテル』は、そんな私にとって
たいへん思い入れ深い夢の館でございます。
そこにはふしぎな負のエネルギーが凝り固まっております。粗野で凶暴で
非常識で、全く油断のならないおどろおどろしい場所。
しかし時として、メジャーな世界の論理ではどうともしようのなくなった苦悩
が、マイナーな世界のエネルギーによっていとも簡単に啓蒙され、解決され
てしまう。世の中によくあるこうした現象を描き出すことが、私のめざすところ
でございました。
中略
最後に余談ではございますが、偏屈な作家『木戸孝之介』という名前は、私
が、マイナーな世界のエネルギーによっていとも簡単に啓蒙され、解決され
二十有余年にわたって使用し、ことごとくボツになった因縁のペンネームで
ございます。
人生が果して運か努力かはともかくとして、執念がものをいうのは確かなよ
うです。
が、マイナーな世界のエネルギーによっていとも簡単に啓蒙され、解決され
二十有余年にわたって使用し、ことごとくボツになった因縁のペンネームで
ございます。
人生が果して運か努力かはともかくとして、執念がものをいうのは確かなよ
うです。
引用終り