日本画家 岡田 昌平さん 第2回 | みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

みんなの学び場美術館 館長 IKUKO KUSAKA

生命礼賛をテーマに彫刻を創作。得意な素材は石、亜鉛版。
クライアントに寄り添ったオーダー制作多数。主なクライアントは医療者・経営者。
育児休暇中の2011年よりブログで作家紹介を開始。それを出版するのが夢。指針は「自分の人生で試みる!」

皆様、こんにちは。
みんなの学び場美術館 館長 日下育子です。

今日は素敵な作家を紹介いたします。
日本画家の岡田 昌平(おかだ しょうへい)さんです


岡田 昌平さん

岡田 昌平さん 第1回

 

第2回の今日は、岡田 昌平さんの社会との接点、「あなたにとってアートとは?」にお答え頂きました。

どうぞ お楽しみ下さい。

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いざない
F15横
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 



深(しん)
F8縦
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 



黄昏
F15縦
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 

 



夜明け
P15横
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静かな時
P4縦
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 

 



薫る時
S100
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠

 

 

 

 

 

 

 

 



霧雨
3200x1600mm
和紙、顔料(岩絵具、水干、胡粉)膠
 

 

 




日下
岡田さんの社会との接点についてお伺いできますでしょうか。

 


岡田 昌平さん

偉そうな言い方ですが、作家の本質は制作することだと思います。だから私にとっての優先順位はあまり高くはありません、作家活動を続けるには必要だから展示をする、でも一般社会に出すということで自分自身を冷静に見れるので、大切なことだとも思います。

 


日下

画廊での個展も多くされていらっしゃいますが、岡田さんの作品を求められる方には、どういうところが受け入れられていると感じていらっしゃいますか。

 


岡田 昌平さん

話を聴いていると、何か一つをがっちり描いているのではなく、全体の画面展開を描いている作品なので主張は強くないのですが、ほわっとした感じで画面に入っていける雰囲気が良いと言って下さる方が多いです。

 


日下

それは本当に作品の純粋なファンがいらっしゃるということですね。良いですね。

 


岡田 昌平さん

はい、作家としては嬉しいことです。自分の好きな絵も描けますし。

 


日下
さて、岡田さんは東京芸術大学が行っている国宝絵画の現状修復模写プロジェクトに参加されているそうですが、それはどんな制作なのでしょうか。

 


岡田 昌平さん

まず「再現」というものがありますが、それは絵の具などが劣化する前の状態を再現するものです。
現状模写というのは、ひびはひびのまま、剥落は剥落のまま、シミはシミのまま、作られてから千年経ったそのままの状態を描くというのが現状修復模写です。
絵の具を焼いて色を落とすこともありますし、絵を描いているのかシミを描いているのか…、精神的にはコンクリートのシミを見るのが嫌になるような仕事ではあります。
 

 


日下
経済的な側面以外にも、東京芸大は文化財を保護していくという考えをお持ちということでしょうか。

 


岡田 昌平さん

はいそうだと思います。本物は一点しかないので、それが破損したりなくなったりしたらどうするの?というところがあって、だからレプリカを作っておこうということがあります。

 


日下

なるほど~、そうなんですね。

 


岡田 昌平さん

「再現」というのは、現状の作品があれば再現できます。一般の方々は再現の方がきれいだし、見やすいし、皆さんお好きなんですけど、現状修復模写というのは文化財的な価値でいうと、それ一点しかないという点ではとても貴重なものになります。
再現作品から、現状の古い状態は作り出せませんが、古くなった現状の状態が残っていれば、いくらでも「再現」は出来ます。「再現」というのは、推測でしかないから、それが本当にあっているかどうかもわかりません。大衆に向けて行うのが再現、学術目的で行うのが現状修復と言えます。
 

 

日下
そういう千年前の人が描いた絵を見るというのはどんな感じなのでしょうか。

 

 


岡田 昌平さん
やっているときは、精神的に一杯一杯で味わう余裕がないのですが、現代人は鉛筆という便利なものがあって、それに慣れていますが、昔の人は手首の柔らかさがすごいというか、筆を使い慣れてるな、というのがすごく感じられます。

 


日下

そうですか~!それは実際に描かれる方ならではの視点で、すごく面白いですね。

 


岡田 昌平さん

本心を言ってしまうと、勉強にはなりますが本当に大変過ぎる制作です。

 


日下

その大変さというのは責任感の意味で、でしょうか。

 


岡田 昌平さん
責任感と自分の絵ではないということと、ひびやシミを見たくなくなるというのもあります。国宝には本当にひびがたくさんあるので。コンクリートにある、ひびとかシミとか見るだけで思い出してしまって…。でも、すごく勉強にはなります。

 


日下

ちなみに現状模写した絵のひびというのは、どうやって表現するのでしょうか。
ひびの線を描くのか、画面上に実際にひびを作るのか。


岡田 昌平さん
ひびは、塗り残すようなかたちで表現します。

 

 

日下

そうですか。ご自身の技量を使ってそういうお仕事に携われるというのは、本当に素晴らしいですね。
さて、今後の活動予定なとはありますでしょうか。

 

 

岡田 昌平さん
少し大きな仕事があり、2年位はそれにかかると思います。お寺の本道の壁面なのですが17メートル位あるので、まずはそれを頑張ります。

 

日下

素晴らしいですね。岡田さんの作品が世に残りますね。

 

岡田 昌平さん
そうですね。あとは、地元の名古屋の三好市の文化協会の理事をしていて、春から教室を立ち上げていて、日本画をやりたい方が結構いるので指導もしています。

 

日下

では最後に「あなたにとってアートとは?」

 

 

岡田 昌平さん
よくわかりません。でも自身の理想とするもの、決して到達できないと分かっていてもそこに試行錯誤を繰り返すことです。ずっとああすれば良かった、こうすれば良かったと思いながら制作して生きていくんだろうなって…。満足することはないのかな、と思います。

 

日下

そうやって制作されたご自身の作品は、愛おしく思われるのではないでしょうか。 

 

 

岡田 昌平さん

出来あがった作品には執着心がなくて、あまり見たくないというのがあります。ただ描くこと自体が好きなんだろうと思います。実際は頭を抱えながら描いていますが。

 

 

日下

突き詰めていらしてすごいと思います。今回はなかなか聞けないとても貴重なお話をお聞かせ下さってありがとうございました。

 

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  編集後記
前々回登場の画家 松原 遼さんのリレーで、今回は日本画家 岡田 昌平さんのお話をお聴きしました。岡田 昌平さんと松原 遼さんは *愛知県名古屋市* にある共同アトリエで制作されているお仲間とのこと。岡田 昌平さんは東京芸術大学と同大学院で日本画を学ばれたそうです。

今回は岡田さんはご自身の作品制作に並行して、東京芸術大学が行っている国宝絵画の現状修復模写プロジェクトに参加されているお話をお伺いしました。ご自身の作品とは異なる絵を描く大変さには相当なものがあるのだな、ということがよく伝わってきました。お話をお聴きして私は、画家としてご自身の技量を使って国の宝を遺すお仕事というのは誰にでもできるわけではなく、とても大きな社会貢献をされているなぁと感じました。

ご自身の制作でも、これから世に残る作品を手掛けられるとのこと、これからの岡田さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

 

次回は、2018年1月4日、前々回パルコキノシタさんからのリレーで彫刻家 富松篤さんにご登場頂きます。
どうぞお楽しみに。

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■岡田 昌平さん 経歴
1982年 愛知県生まれ
2003年 東京芸術大学美術学部日本画専攻入学
2006年 個展 日本橋小津和紙ギャラリー
2007年 同、卒業
   東京芸術大学大学院美術研究科日本画入学
09年 同、修了
   修了制作模写(源氏物語絵巻)買い上げ
2010年~16年 グループ展燦の会、松坂屋美術画廊(東京、名古屋、大阪、)
2012年 伴大納言絵巻現状模写参加
     個展 ギャラリー草笛
2014年 個展 ギャラリー草笛
2016年 グループ展ギャラリー彩
2017年 信貴山縁起絵巻現状模写参加
  グループ展 みよし市文化協会展 ギャラリーかんしょ

現在 みよし市文化協会絵画部理事

本日もご訪問、ありがとうございました。

 

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10:00~13:00と13:30~16:30開催します。
 
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