先日ハワイ沖縄連合会の新年会に参加する機会があったが、毎年9月に開催される沖縄フェスティヴァルも連合会が執り行う年中行事のひとつである。ホノルルはカピオラニ公園で二日間にわたって繰り広げられる祭りは年齢や国籍の別を問わず来訪者たちから愛されている。
祭りに付き物の屋台では沖縄そばや焼き鳥などお馴染みの顔ぶれが飛ぶように売れていくが、その中に何やら耳慣れない名前がある。しかも、フェスティヴァルのみでの販売とあっていちはやく完売してしまう。「オキ・ドッグ」である。
一口に言うならば、オキ・ドッグとはソーセージとキャベツ、豚角煮をチリソースとともにトルティーヤで巻いたラップサンド。沖縄系三世の友人は「オキ・ドッグ目当てで毎年欠かさず通っているよ」と冗談めかして言うが、そんな彼もつい先日までオキ・ドッグが沖縄の伝統的な食べ物であり、かつ日常的に食されていると信じて疑わなかった。名称や販売されている状況、具材などを考慮すれば、そう思わないほうがむしろ不自然だろう。
古今東西、食文化についての考察はつきないが「東と西が出会う場所」であるハワイにおける「食」は特に興味深い混交と発展を遂げてきた。タロ芋を主食とする伝統的なハワイ料理とアメリカ本土のいわゆる「洋食」を縦糸に、フィリピンや中国、韓国、日本、沖縄、メキシコにポルトガルといった要素が織り合わされ今日のハワイの「食」を成している。事情通の友人によると、そもそもオキ・ドッグ自体ハワイ発ではなくカリフォルニアの沖縄移民によって考案されたそうである。
インド出身の批評家、ホミ・バーバは植民地支配下の文化的状況において異なる文化が「衝突」する際、その「狭間」で新たなものが生まれると言う。言語や習慣しかり、音楽やファッションしかりである。もちろん衝突によって減少あるいは消滅するものもあるが、思い返せば沖縄の誇るタコライスや、古くはアンパンだって異種文化間の衝突の副産物だといえる。武力による衝突が起こらないに越したことはないのではあるが。