準備は数週間ほど前から始まっていた。知名度、偏差値、授業料―どれをとってもハワイで一、二を争う名門校として知られるプナホウ・スクールの広大な敷地内に、一見場違いに思われるジェット・コースターや観覧車が着々と設立されていく。カーニヴァルの季節が今年もまたやってきたのだ。
毎年二月、二日間にわたって繰り広げられるそれは一般的な「学園祭」とは少々規模が異なる。総屋台数64、18種類の移動アトラクション、ボランティア参加の父兄数千名。プナホウ・カーニヴァルは学校関係者だけではなくホノルル中の大人から子どもまでが指折り数えて待つ一大イベントである。
1841年創立のプナホウ・スクールは幼稚園から高校までが同敷地内にある、総生徒数約3700人というマンモス校である。これまで多数の著名人を輩出してきたが、日本での認知度はオバマ大統領の出身校として決定的なものとなったといえるだろう。プナホウ卒業生によると、やんちゃだった大統領が当時残した壁の落書きは今もそのまま残っているそうだ。
そんなカーニヴァルは今年も大盛況だった。ホットドッグやマラサダ(ポルトガル風ドーナツ)の屋台には長蛇の列が並び、地元農家による青果直売店や慈善市も賑わっている。ゲームやアトラクションについては言うまでもない―意外なことに、ハワイには常設の遊園地がない。それが、これほど多くの人を動員しうる理由のひとつとなっている。
私もそんな彼らのひとりだ。うちなーんちゅの血が騒ぐのか、「祭り」という響きには滅法弱い。だが正直なところ、初参加のプナホウ・カーニヴァルはやや期待はずれだった。どこのどんなお祭りや遊園地でも見られる「定番」のエンターテイメントだけではなく(もちろん私はそんな「定番」も大好きなのだが)、何かしら「プナホウならでは」の売りがほしかった。それとも、大統領の母校にかけた私の期待があまりにも大きすぎたのだろうか―早くも萎みつつある綿飴と友人が射的で当てた熊のぬいぐるみを手に、何となくほろ苦い思いで祭りの雑踏を後にした。