一穂ミチ『スモールワールズ』 | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

第165回直木賞候補となった一穂ミチさんの『スモールワールズ』(2021)を先月末に読みました。2022年本屋大賞第3位。最新作の『光のとこにいてね』(2022)も先日発表された第168回直木賞候補でした。

【2022年 本屋大賞ノミネート】【第165回直木賞候補作】【第9回静岡書店大賞受賞】【キノベス!2022 第4位】
最終話に仕掛けられた一話目への伏線。
気付いた瞬間、心を揺さぶる、鳥肌モノの衝撃が襲う!!
読売新聞、日経新聞、本の雑誌……各紙書評で絶賛の声続々!
「驚きの完成度!」――瀧井朝世さん(『スモールワールズ』公式HP書評より)
「BL界の鬼才恐るべし」――北上次郎さん(日本経済新聞 5月6日書評より)
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。


それぞれ50ページ程の作品なので、気楽にすぐ読めるのがいい。


ネオンテトラ

夫婦円満を装う麻子の夫貴史は浮気中。貴史のLINEをいつもこっそり確認するも問い詰めることはしない。ネオンテトラを飼っている自宅に頻繁に遊びに来る姪の有沙の同級生笙一が虐待を受けていて、夜はいつもコンビニで過ごしているが分かると、麻子は時々笙一に会いに行く…そして、最後はネオンテトラが…こわっガーン


魔王の帰還

身長188cmの豪快で規格外の姉真央が離婚すると言って帰ってきた。弟の鉄二も暴力事件で野球部も高校も追い出されて転校してきたが一人ぼっち。同じく一人ぼっちの菜々子。菜々子、鉄二、姉が金魚すくい…最後には応援したくなるお姉さん、頑張ってねキラキラ


ピクニック

娘を授かったが、全然思うように授乳できず焦ってイライラ。夫は単身赴任してしまい、ワンオペ育児。母が助けてくれるので助かっている…そして、生後数か月のある日…怖いです。最後まで一気読み。最後に謎が解ける…なんとなんと、そういうことなのかガーン


花うた

10歳の時に両親を交通事故で失い、10歳離れた兄に育ててもらった深雪。しかし、25歳の時、肩が触れたという理由だけで見知らぬ秋生に兄は殺されてしまう。弁護士のすすめで服役する秋生と手紙でやり取りが始まる…そして、なんと…深雪は…切ない。普通に出会えていれば…


愛を適量

バイきんぐが2012年のキングオブコントでぶっちぎりで優勝した時のネタ「娘の帰省」を思い出しました。「なんて日だ!」



というか、このコントをヒントにして作ったのではないかと思える爆笑五十過ぎの高校教師慎悟のところに15年前に離婚してから会っていなかった娘佳澄(27歳)が久しぶりに会いに来る話。バイきんぐの爆笑ネタも15年ぶりですからね…偶然なのかわざとか爆笑読み進めていって終盤にきたら、まさに「なんて日だ!びっくりガーンびっくりガーン」しかし、最後は清々しさを感じました。


式日

6歳下の「後輩」が父親の葬式に参列してほしいと久しぶりに連絡してきたので再会する…読み進んでいくと、読者は「あること」に気づきます。



『魔王の帰還』のエンディングの清々しさ、『ネオンテトラ』と『ピクニック』の恐ろしさ。『花うた』では最愛の兄を殴り殺した男との手紙のやり取りながらその心の動きを見事に描いているのに感心。『愛の適量』は、バイきんぐのキングオブコント優勝ネタを思い出す。最後の『式日』では読者があることに気づきます。6編それぞれ個別にも面白いし、どれも読み応えがありました。ネタバレになるので詳細を書きませんが、以前読んだ伊坂幸太郎『終末のフール』っぽいところもあってウインク全体を通してもなかなか面白い作品でしたキラキラ



バイきんぐのキングオブコントで優勝したときの2本のネタ(自動車学校と娘の帰省)を載せておきます。両方とも何度見ても笑える爆笑爆笑爆笑




今朝は都心で雪がちらついていますね雪だるま