都響第971回B:リゲティの秘密(コパチンスカヤ&大野和士) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

東京都交響楽団第971回定期演奏会Bシリーズ【リゲティの秘密-生誕100年記念-】 ≪Mysteries of Ligeti - #Ligeti100≫ を聴いてきました。




2023年3月27日(月)19時開演 サントリーホール

【指揮】大野和士 【ヴァイオリン&声】パトリツィア・コパチンスカヤ */** Patricia Kopatchinskaja 【合唱】栗友会合唱団***

 

リゲティ(アブラハムセン編曲):虹 ~ ピアノのための練習曲集第1巻より[日本初演]

リゲティ:ヴァイオリン協奏曲*

【ソリスト・アンコール with 四方恭子さん】

リゲティ:バラードとダンス(2つのヴァイオリン編)

バルトーク:《中国の不思議な役人》op.19 Sz.73(全曲)***

リゲティ:マカーブルの秘密**
Ligeti (arr.by Abrahamsen): Études pour piano, Arc-en-ciel [Japan Premiere]

Ligeti: Violin Concerto*

Bartók: The Miraculous Mandarin, op.19 Sz.73***

Ligeti: Mysteries of the Macabre **

 

【リゲティの秘密-生誕100年記念】
独創的な音響とあらゆる技法を超越した破格のスタイルで圧倒的な影響を残した、20世紀最大の作曲家の一人ジェルジ・リゲティの生誕100年を記念するスペシャルプログラムです。
なんと言っても、コパチンスカヤが独奏を務めるヴァイオリン協奏曲と、独唱(!?)を務める《マカーブルの秘密》が聴きもの(見もの)。2019年1月のシェーンベルクVn協奏曲以来となる大野都響との共演は、さらにパワーアップした彼女の超絶技巧とパフォーマンスが炸裂することでしょう。ユーモアと毒もちりばめられたリゲティの音楽に、耳も目もくぎ付けです。

 



コパチンスカヤを聴くのは2019年のシェーンベルク(今回と同じ大野さん指揮の都響)以来4年ぶり。この時もらったサインがとても素敵飛び出すハートサインまでも超一流のエンターテイナーです。


土曜日には、彼女のFacebookにピエロ姿に扮したご本人が渋谷を闊歩する姿が何枚か公開されていましたびっくり今回の公演への布石でもあったのかもね…ウインク


2月から仕事が忙しくて十数回の演奏会を見送り続けてきたけれど、Kopatchinskajaだけはどうしても聴きたかったので、仕事を途中で切り上げ、タクシーを飛ばしてサントリーホールに。冊子には四方恭子さんの「勇退のお知らせ」泣



オーケストラが入場すると拍手が始まり、四方さんの登場でいつも以上に拍手が大きくなりました拍手ちょっとウルッてきた泣くうさぎ


最初の虹は短いながらも非常に面白くて、期待を遥かに上回る素敵な作品・演奏でしたキラキラ


続いてのVn協奏曲…4年ぶりのコパチン、最高爆笑キラキラルンルンまさに The only one. The コパチン World。コパチン劇場。最初から最後まで圧倒的なパフォーマンスキラキラVnの枠組を超越した音。保守的な私は現代音楽は概して聴きにくかったり、耳に馴染まなかったりして苦手意識があるのですが、彼女の演奏はそんな概念的なものをはるかに超越していて、すごいの一言。圧巻。最終楽章のカデンツァでは、口笛を吹いたり、歌ったりも…さらにはチェロやヴィオラセクションまで歩き回るびっくり…まさにエンターテイメント。それが自然と許せるキャラクターで、そんなヴァイオリニストは世界中探してもかなり稀有。唯一?アンコールでは(時間が経ったので正確な言葉を忘れてしまいましたが、確か…)This orchestra is marvelous. Today is a special day. I would like to play Ligeti's "Ballade and Dance" for you... with the greatest concert master!」と言って、引退される四方恭子さんを前方に連れ出して一緒にアンコール。四方さん最後の公演がコパチンスカヤとの強烈なデュエットで、超自由なコパチンに引っ張られて、四方さんもとても楽しそうウインク途中で、今の季節らしく『さくらさくら』のメロディも入れつつの演奏で、四方さんにとってといい思い出にもなりそうですね。都響でこれから四方さんの演奏が聴けないのかと思うと寂しくて、ウルっと泣けてきました泣くうさぎ(四方さんとはサントリーでの公演後に改札口までの道のりで何度かお目にかかったこともあり、とても謙虚で慎ましやかな方という印象があり、個人的にファンでもありますラブラブ


休憩後はバルトーク『中国の不思議な役人』(全曲版)。全曲版を聴くのはたぶん初めて(2021年1月にインバル指揮で組曲が予定されていましたが、新型コロナで中止)。グロテスクだけど、意外と聴きやすい。コパチン効果が後半にも効いているのか、都響の演奏がノリに乗っているような感覚。合唱団とオルガンの出番が少なく…もったいない使い方なのは気になるところネガティブ


最後のマカーブル。管楽器のみなさんが新聞を読んでいる。ホルン鈴木優さんは雑誌『Casa』。何かの布石かなと思っていたら、コパチンスカヤがVn協奏曲の時の衣装に新聞紙や大きなビニール袋を膨らませたものを何個も衣装にくっつけ、頬や腕にバッテンを付けたピエロのメイクで登場びっくり大野さんはまだ出てこない…チューニングなしで演奏スタート。その後大野さんが新聞/本を読みながら出てきて、なんで演奏が始まったんだ!っていう展開…そこからもコパチンスカヤはコケコッコ鳥歌ったり、奇声を発したり、やりたい放題…オケのメンバーも客席からも奇声チューVn協奏曲以上に突っ走っていて、もはやクラシック音楽とかいう範疇を超えて…というよりも突き抜けている。しかし、コパチンだからこそ絵になるし、みんなが楽しめる即興性。こんなの他の奏者じゃできません。当然、コパチンは裸足ですウインク


そして、ここで大事故が発生…こういうめちゃくちゃな展開に対して、大野さんが客席に振り返り…「もう〜イヤだえーんWBCの栗山監督ぅ…助けてぇ〜!!」と、全く場違いのつまらないギャグをぶっ込んできて、会場が微妙な空気に包まれてしまいました絶望ネガティブもやもや魂ガーンガーン真顔滝汗な、な、なんで今それなん絶望絶望絶望28日の都響スペシャルでも同じことを言ったのか、大野さんのギャグは封印されたのかが、めちゃくちゃ気になりますチューそれから、四方さんの「沈黙は金!」は…ま、いいか爆笑


この大事故はさておきアセアセ…こんなマニアックな作品ばかりなのに会場全体を魅了できるのは、さすがのコパチンスカヤ独擅場でした爆笑爆笑爆笑私にとって数年に一度、100回、200回に一度あるかないかくらいの衝撃的な演奏会かもルンルン


翌日もサントリーホールで同じ公演がある(しかも、四方さんのホントの最終日)のでもう一度聴きたかったけれど、自重しました泣というか、22時前まで仕事していたので、チケットを買っても聴けなかった…



都響Twitterより

 

というわけで、今年最大級のエンターテイメント性全開の演奏会でした飛び出すハートキラキララブラブ今年のベストコンサート候補筆頭。秋のベルリンフィル来日公演でさえこの衝撃度を超えるのは難しいのではチュー


コパチンスカヤFacebookより

Goodbye Japan!
Goodbye the cherry blossoms, the plum trees, the lovely caring people, the courtesy and sophistication, the cleanliness everywhere, tranquility and comfort, the shrines, the grateful clever enthusiastic curious audience.
thanks for the hospitality and new and old friendships. I already miss you all!


サントリーホールすぐ近くの桜並木桜