ニュルンベルクのマイスタージンガー @ 新国立劇場(3日目) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

新国立劇場『ニュルンベルクのマイスタージンガー』(新制作)(3日目)を観てきました。

 

 
 
オペラ夏の祭典2019-20 Japan⇄Tokyo⇄World
リヒャルト・ワーグナー Richard Wagner
ニュルンベルクのマイスタージンガー <新制作> Die Meistersinger von Nürnberg
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
 
2021年11月24日(水)14時開演 新国立劇場オペラパレス

【指揮】大野和士 【演出】イェンス=ダニエル・ヘルツォーク Jens-Daniel Herzog

【美術】マティス・ナイトハルト 【衣裳】シビル・ゲデケ 【照明】ファビオ・アントーチ 【振付】ラムセス・ジグル 【演出補】ハイコ・ヘンチェル 【舞台監督】髙橋尚史

 

【ハンス・ザックス(靴屋の親方)】トーマス・ヨハネス・マイヤー Thomas Johannes Mayer 【ファイト・ポーグナー(金細工師)】ギド・イェンティンス Guido Jentjens(ビャーニ・トール・クリスティンソン Bjarni Thor Kristinssonの代役) 【クンツ・フォーゲルゲザング(毛皮屋)】村上公太 【コンラート・ナハティガル(ブリキ屋)】与那城敬 【ジクストゥス・ベックメッサー(市役所の書記)】アドリアン・エレート Adrian Eröd 【フリッツ・コートナー(パン屋)】青山貴 【バルタザール・ツォルン(錫細工師)】秋谷直之 【ウルリヒ・アイスリンガー(香料屋)】鈴木准 【アウグスティン・モーザー(仕立屋)】菅野敦 【ヘルマン・オルテル(石鹸屋)】大沼徹 【ハンス・シュヴァルツ(靴下屋)】長谷川顯 【ハンス・フォルツ(銅細工師)】妻屋秀和 【ヴァルター・フォン・シュトルツィング(騎士)】シュテファン・フィンケ Stefan Vinke(トミスラフ・ムツェック Tomislav Mužekの代役) 【ダーヴィット(ザックスの徒弟)】伊藤達人(望月哲也の代役) 【エーファ(ポーグナーの一人娘)】林正子 【マグダレーネ(エーファの乳母)】山下牧子 【夜警】志村文彦

【合唱指揮】三澤洋史 【合唱】新国立劇場合唱団、二期会合唱団 【管弦楽】東京都交響楽団

下矢印
(林正子さんの写真だけ差し替え。まぁ、納得ニコニコ

 

新国立劇場、東京文化会館、ザルツブルク・イースター音楽祭、ザクセン州立歌劇場の国際共同制作

 

10月28日にキャスト変更のアナウンス。


登場人物が多すぎる(マイスター12人+病欠1人)うーんけど、歌手のほとんどは名前を覚える必要なし。

マイスタージンガーは長い作品の多いワーグナーの中でも、『パルジファル』や『神々の黄昏』と並んで最長の作品の1つ。いわゆる「物の本」や私の愛聴版(サヴァリッシュ1993年)ではだいたい4時間20分程度ですが…

なんと約5時間の予定びっくり30分の休憩2回で6時間の長丁場。

B席以下は完売で、1階席後方や2階席後方以外ほとんど空席がないようでした。平日マチネということで、いつもお見かけする常連さんは全く見かけず、年齢層高めでいつもと違う雰囲気。平日マチネにしか来ない人、休日にしか来ない人とはっきり分かれているのね。

新国立劇場で上演されるのは2005年9〜10月以来。パンフレットによると、その時エーファを歌ったのがA.ハルテロスだったそうです。聴きたかったなぁぐすん日本で演奏会形式(2013年東京春祭)を除けば2005年バイエルン国立歌劇場来日公演以来のようです。というわけで、私がマイスタージンガーをライブで観るのは(ちょっとした思い入れがあるのですが…)これが初めて。期待が高まります。超有名な第1幕への前奏曲が聞こえてくるとちょっとウルウル笑い泣き

やはりベックメッサーを歌ったAdrian Erödがなんと言っても素晴らしい。アイゼンシュタイン(こうもり)、アルベール(ウェルテル)、レスコー(マノン)とどれを歌っても最高ウインク突き抜けてくる美声だし、微妙なニュアンスや弱音もしっかり聞こえてくる。コミカルな演技に不自然さはないし、女性陣から総スカンを食らうところも笑える。悲しそうに椅子に座っているときは微動だにせず死んだみたいに悲しげだ。この人がいると舞台が楽しい。ただ、Bravo禁止の影響なのか、声を出して笑うことが憚られるので、客席のノリが今ひとつかもね。時々Mr. Beanみたいに見えた爆笑例えばこの表情とか、Mr. Beanに似てるウインク
(新国立劇場オペラのFacebookより拝借)

記録係でヴァルターのミスを書いたボードには漢字で24文字(6×4)。この写真はゲネプロですが、3日目は文字が違っていたような…もちろん「盲見」はありましたが、3日目の左下は「不可」だったと思う。

他の歌手は時々不評とのコメントを見かけていたので心配していたけれど、3日目ということで調子が上がってきたのか、私の席が舞台に近くてよく聞こえたからか分からないが、総じて不満なし。ザックスはもうちょい深め(重め?)の渋い声質がいいのかもしれないけれど、Mayerの声は結構好き。靴を叩くコミカルな場面やエーファのことを諦めるところとかも非常に上手かった。ポーグナーのJentjensも威厳があってとてもよかったし、ヴァルターのVinkeもたっぷりした声量があって、長丁場の本作を最後までスタミナ切れしないでしっかり歌いきった。

日本人歌手では、ダーヴィットの伊藤達人さんが好演。素晴らしい。とても美しくて伸びやかな声が終始出ていて、これだけ歌ってくれれば大満足キラキラ4月の『夜鳴きうぐいす』の漁師役で、出番は少ないながらも存在感があったのを覚えていますが、今後も新国立劇場で活躍するのではと期待したいと思います。コートナー青山さんも出番は多くないけれど、いい声で存在感がありました。エーファ林さんも終始熱演。マグダレーネ、夜警もよかった。

20時ちょうどに終演したので、やはりジャスト5時間!やはり長い!!もともと冗長な部分が結構あるので、ワーグナーさんがもうちょい短くしてくれていればもっと上演される機会が増えていたと思うんだけど…確かにゆっくりしてるなぁと思った場面はあるけれど、大野さんの指揮が弛緩しているとまでは思えない。都響の弦は濃密だし、金管も最後までしっかり輝かしい音を出していた。ピット真横の2階席でのバンダもよかった。

演出は、ザルツブルク・イースター音楽祭とザクセン州立歌劇場との国際共同制作ということで、(あまりいい意味ではなく)欧州っぽい。まぁ、欧州によくありがちな劇中劇っぽいもの。最近の新国立劇場オペラでは、『カルメン』や『チェネレントラ』もそうだったけど、舞台の後方でごちゃごちゃ何かやっている。超デブ(豚?)2人とかしつこく出てくる。これらは必要なのかな?それがちゃんとした意味があれば納得感があるけれど、第2幕以降などほとんど意味がなかったように思える。であれば音楽や歌の邪魔にしかならないのでなくてもいい。でもまぁしかし、中途半端だったが故にそれほどまで気にはならず、無視できる範囲内だったのは幸い。新国立劇場では16年ぶりに上演するめったにやれない作品なので、汎用性のある王道みたいなノーマルな演出でよかったのでは。無理して新制作しなくても、どこかの劇場のノーマルな演出を借りてくるとかで十分だと思う…

エンディングは…2018年カタリーナ・ワーグナー演出『フィデリオ』と2019年アレックス・オリエ演出『トゥーランドット』をそれぞれ複数回観ているので、さほど驚かずウインク それから、第3幕後半の野原の歌合戦の場で、ライトブルーのドレスの女声合唱の方が綺麗だったラブ結局、最後はそこかべーっだ!

6時間の長丁場ではありましたが、さほど長い感じはせず、どっぷりとワーグナーの音楽に浸ってその魅力を満喫して楽しめましたウインク

マエストロでの公演後の夕食メニュー。サインがあるので撮ってみた。これとは別に、第2幕と第3幕の間に軽く食事ができて、そちらは確か3,000円。

テラスでは軽食コーナー

テラスからオペラパレスを見る…

新国立劇場の真上を飛行機が何度も飛んでいきました飛行機


2日目の映像がYouTubeに掲載されました。