フィデリオ @ 新国立劇場(最終日) | のんびり まったり やんごとなき みやびなまいにち

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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

新国立劇場『フィデリオ』は、Katharina Wagnerの演出でわいていますね。初日に続いて最終日の公演も観てきました。

 
2018年6月2日(土)14時開演 オペラパレス
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン: 歌劇『フィデリオ』 [全2幕/ドイツ語上演/字幕付]Ludwig van Beethoven:Fidelio
 
歌手陣の印象はあまり変わらずですが、初日よかったピツァロのラデツキーさんの出足が…あれれ…私の座席が上手サイド席で少し見切れていたからかもしれないですが、オケにかき消されるほど弱かった。後半は大丈夫でしたが、最初はセーブしすぎていたのかも。
 
やはりStephen Gouldが最高に素晴らしい。でかい身体から出てくるあの声は別次元。客席まで突き抜けてくるあの声はすごいの一言。マルツェリーネの石橋さんは今日も素晴らしかったし、Ricarda Merbeth さんもよかった。

初日は下手サイド席で、今日は上手サイド席。Katharinaの演出は上下左右全てが見切れるので、左右両方の席で観たので、全体像を把握することができた。今日はフロレスタンが刺される場面、レオノーレがピツァロに対峙する場面、レオノーレがピツァロの陰にナイフを突き刺す場面など下手サイド席から死角になる演出もよく見えた。ピツァロがドアを開けることによって自分の影を壁に映し、それにナイフで刺すというのは、細かな工夫でよく練られた演出だと思う。一概にKatharinaを批判するのはよくない。ただ、それでもやはり、レオノーレが「私が妻だ」と言う場面は奥で歌うので、見えない客が多いのではないかと思ったり、レオノーレとピツァロの部屋が両サイドにあるから、演技によっては死角になる場面がそこそこあるのはいただけない。第2幕の演出は異論噴出ですが、初めて観てから2週間も経っており、自分の中でも消化しているので、こういう解釈なのねという感じで捉えて観ていました。

何年か後にこのプロダクションの再演があるのか? 再演の時にはレオノーレとフロレスタンの肖像画がその時の歌手に合わせて描き替えられるのか? 「普通のフィデリオ」を新国立劇場で観るのは何年後か?

 
【指揮】飯守泰次郎 【演出】カタリーナ・ワーグナー Katharina Wagner
 
 
【ドラマツルグ】ダニエル・ウェーバー Daniel Weber 【美術】マルク・レーラー Marc Löhrer 【衣装】トーマス・カイザー Thomas Kaiser 【照明】クリスティアン・ケメトミュラー Christian Kemmetmüller 【舞台監督】村田健輔
 
【フロレスタン】ステファン・グールド Stephen Gould 【レオノーレ】リカルダ・メルベート Ricarda Merbeth 【ドン・ピツァロ】ミヒャエル・クプファー=ラデツキー Michael Kupfer-Radecky
  
【ドン・フェルナンド】黒田博 【ロッコ】妻屋秀和 【マルツェリーネ】石橋栄実
  
【ジャキーノ】鈴木准 【囚人1】片寄純也 【囚人2】大沼徹
  
【合唱指揮】三澤洋史 【合唱】新国立劇場合唱団 【管弦楽】東京交響楽団 【芸術監督】飯守泰次郎
 
この日は、2014-2015シーズンから音楽監督を務めてこられた飯守さんの最終公演ということもあり、会場のあちこちからbravoが… カーテンコールはいつもよりかなり長めで、10分以上続いた。最後は飯守さんが登場して拍手喝采とbravo! 私はこの後開かれたシーズンエンディングパーティに参加。その話は別途。