新書が売れない時代に | 編集長富田志乃の部屋 ~人生が変わる出版のお話~

編集長富田志乃の部屋 ~人生が変わる出版のお話~

出版業界33年。
営業(広告、書店、取次)から編集に至るまで、まるっと制覇!
出版業界を知り尽くした現役編集長が、出版のあれやこれをお伝えします。
元宝塚花組トップスター柚香光さんと上カルビをこよなく愛する肉食系編集長

編集長の富田志乃です。

 

最近、新書サイズの本を買われましたか?

 

本にはいろいろサイズがあって

四六版(小説やビジネス書など)

B6判、文庫

そして新書などです。

 

新書は、

岩波新書、中公新書など

書店さんに版元ごとの

棚があったりします。

 

そして、

数年前までは

この新書サイズの本で

ヒット本が

たくさんあったのです。

 

2003年に出た

「バカの壁」も新書で

現在までに

450万部突破しているようです。

(新潮社)

 

 

ただ、最近は

新書の低迷が叫ばれています。

 

読者のニーズが変化したから

という理由もあるのでしょうが、

 

書店店頭での

「売り方」にも要因があるのかなと

個人的には思っています。

新書は四六版と比べて

単価が安い。

平均1,000円ちょっとです。

 

書店さんも

どうせ売るなら

高い本を!

どうせ陳列するなら

高い本を!!

 

それはそうだと思います。

 

ですので、

新書販売に力を入れるよりは

もっと定価の高い本を売りたい

という書店さん側の

事情もあると思います。

 

また、

読者がより買いやすいようにと

先延べした

版元ごとの棚は少なくなり、

 

どんどん、ジャンルごとに

振り分けられていきました。

 

ただ買いやすくなった反面

 

たとえば、

新書で出ていた

料理レシピ本は、

新書コーナーではなく、

実用書の料理コーナーに

置かれます。

 

ただ、新書の料理本を買うのは、

普段料理をしない

男性や単身者です。

 

その層は、

新書コーナーにあるから

買いますが、

わざわざ実用書の

料理コーナーには行きません。

 

普段料理をする

主婦層は、

新書サイズの本によくある

「おつまみ」「鍋」といった

レシピではなく、

 

献立中心の料理本を購入するため、

実用コーナーに並んだ

新書は買いません。

 

結果として

新書サイズの

レシピ本は売れませんので、

出版社も新刊は出さなくなります。

 

こんな風に、

新書コーナーだったら

売れたかもしれない本が

どんどん消えていくのも

切ない限りです。

 

 

新書コーナーの

メインの客層は

昔から

40代以上の男性と言われていましたが

 

現在は

70代以上の男性と

更に年齢はあがり、

 

健康や社会問題などの

テーマ以外、売れない

 

なんて話も最近耳にしました。

 

各版元の新書を担当する

編集者は日々頭を抱え

知恵を絞り奮闘していると

ようです。

 

書店さんには書店さんの事情があり、

版元もは版元の事情もあります。

 

売れないジャンル(新書)は

仕入れません

という取次の事情もあるでしょう。

 

ですから、

どこが悪いとか、

いいとかではなく、

 

本のつくり方、

売り方が、

 

昔と比べて

本当に難しく、

複雑にはなってきました。

 

ですが、

 

新書のいいところは、

単価が安い分、

火がついたら

爆発的に売れます。

 

累計170万部突破した

文藝春秋さん(いま話題の?(笑))

「聞く力」も新書です。

 

 

私は密に

アメリカンドリームならぬ

 

『新書ドリーム』と

呼んでいて、

 

いつかまた、

自分の手で

ビックヒットを作ろう!と

思っています。

 

今度は、販売としてでなく、

つくり手として。

 

 

 

 

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