「類似の前科から被告が犯人であることの立証ができるかが争われた放火事件の上告審判決で、最高裁第2小法廷(裁判長・竹崎博允長官)は7日、「前科に顕著な特徴があり、起訴内容とも相当程度類似していて犯人だと直接推認できる場合のみ、証拠とできる」との初判断を示した。前科による立証を厳しく制限すべきだとの基準。その上で、放火について無罪と判断した1審判決を誤りとした2審・東京高裁判決を破棄し、同高裁に審理を差し戻した。」(Yahooニュース 毎日新聞より)
上記の通り、先週、最高裁は、刑事事件において、被告人の前科を犯罪の立証に用いることは許されないとする判断を下しました。
同判例では、「前科証拠を被告人と犯人の同一性の証明に用いる場合についていうならば、前科に係る犯罪事実が顕著な特徴を有し、かつ、それが起訴に係る犯罪事実と相当程度類似することから、それ自体で両者の犯人が同一であることを合理的に推認させるようなものであって、初めて証拠として採用できるものというべきである。」 と判示しております。
修習時代の検察起案で、放火事件における犯人の同一性の問題が出た際に、手口の共通をたくさん挙げることをしますが、ちょっと手口が共通しているレベルでは厳しいのでしょうね。
犯罪の立証において犯人の悪性格や前科が原則証拠採用されず、例外的な場合のみ認められるということは、我々法律家からすると当たり前のことですが、それにしても、前科を採用することを限定する基準を示しました。
法律の素人が参加する裁判員制度において、前科という偏見を取り除くためということなのでしょう。
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代表弁護士 鵜 飼 大
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