市川海老蔵改め 十三代目團十郎白猿襲名披露十二月大歌舞伎昼の部
「娘二人道成寺」を以前、玉三郎さんと菊之助さんで拝見したときは、これ以上美しいものが世の中にあるかしら?!と思う位感激した。今回の、勘九郎さんと菊之助さんのバージョンは、また違った魅力で、ズシンと感動したわ〰️。幕が開くとそこは道成寺の境内。新たに撞鐘が建立され、鐘供養が催される中、二人の白拍子が現れ、舞を舞うことを条件に、女人禁制の寺内に入ることが許される。同じ舞を舞っても、微妙に、首を傾げる角度や、手を振る角度が違う勘九郎さんと、菊之助さん。静の菊之助さんと動の勘九郎さん。限りなく華やかで清らかで美しい、お人形のような菊之助さんと、独特の色気と魅力のある勘九郎さん。昨夜、中村屋のドキュメンタリーをテレビで拝見したけど、浅草の平成中村座でカーテンコールで挨拶する勘九郎さんが、あまりにもお父様にそっくりで、えっ?!昔の映像?でも、今コロナって言ったから、やっぱり勘九郎さんよねー、と不思議な感覚になった。お父様の娘道成寺は、本当に可憐で上等で可愛らしい女人に変身したけれど、勘九郎さんも、独自の魅力がある白拍子に変身。大河ドラマで、ハッハッ!と息を吐きながら走っていた🏃♂️人と同じ人とはとても思えない。勘九郎さんが、「夏祭浪花鑑」のお辰を演じた時も、年増の色気がしっとりとあり、きれいだわー、と思ったけど、今回の白拍子も凄くいい。お二人とも、名優のお祖父様、お父様を持ち、その血を引いて、真面目にコツコツと何十年も努力して来たその成果を存分に発揮しているこの舞台。最高のレベルの歌舞伎じゃないかしら?!後ろに控える、三味線、小鼓、笛、太鼓、大鼓の方たちの演奏も素晴らしくて、観に来た甲斐がありました。舞の後、二人の白拍子が鐘中に消え、鐘が引き上げられると、鬼女になった二人が登場。その正体は清姫の亡魂だったのである。恨みを晴らそうと暴れ、花道に近付いていくと、そこへ、青竹と笠を携えた大館左馬五郎照剛(團十郎白猿さん)が、花道奥から登場。左馬五郎は、荒れ狂う妖怪や怨霊を花道から本舞台に押し戻す役柄。役名とこの場面を『押戻し』と言うそうです。團十郎白猿さんの派手で勇壮な姿に会場のボルテージが一気に上がりました。彼が白拍子役のお二人の本名を話すのはご愛敬。迫力ある姿とお声。こちらもお父様そっくりでビックリ!会場も、やっとこの襲名公演の主役の登場に、盛大な拍手👏。しかし、登場10分くらいで見得を切って幕。えーっ?!もう終わり?あっさり過ぎない?休憩時間を少し削っても、もう少し、鬼女と絡んだり、鱗四天と立ち回りをして観客にサービスしてもいいんじゃないかしら?夜の部の助六は即完売で、チケットが買えなかったけど、團十郎白猿の襲名公演は見たいというファンにとっては、物足りなさ過ぎるでしょー。帰りのロビーで、お客様から、「海老蔵さん出たのあれっぽちねー」というお声聞こえましたよー。
昼の部、最初の演目は、「鞘當(さやあて)」。出演は、尾上松緑さんと松本幸四郎さん。編笠でお顔を隠す時間が長すぎて、ちょっとイライラ。昔なら、大丈夫な時間でしょうが、現代では、台詞をもっとテンポよくしないと、みんな寝ちゃうわー。傾城の取り合いで、喧嘩になった二人に割って入る茶屋亭主は、市川中車さんだったのねー。わからなかった。復帰出来てよかったですね。