春の雨…
雨ですね
ここんとこ、なんか…
ずっと雨
もう春なのに
気分もなんか湿りがち
そんなこんなの雨の日…
例の山里の例の古民家宿にて
お客様をお待ちする時間
雨垂れが
屋根を伝い
庭先にこぼれ落ちる
春の雨…
ひとりポツンと山里にいると
なんか寂しい
なんか気分も
スッキリせぇへン…
そんなこんなの雨の日…
ピッタンコカンカンな歌が
万葉集にｺﾞｻﾞｲﾏｽ
ひさかたの雨の降る日をただ独り
山辺に居れば いぶせかりけり
大伴家持ちゃんがこう詠とてます
家持ちゃんと気持ちは同じ
山辺にひとりいれば、いぶせかり…
いぶせ
昔の言葉ヤな
気分がスッキリせぇへン…
ちゅうことやろな
いぶせ鱒二とちゃう！？
あまおとが聞こえる…
とある学者がこう言うた…
『雨に音は無い』、と
だから科学者はヤな感じ？
降る雨に音は無い
音は地面や何かに当たる音だと…
そりゃそうやけど
なんかそれやったら風情が無いがな
雨垂れ（あまだれ）
雨音（あまおと）
雨声（うせい）
こんなエエ言葉があるのに
で、
ね…
お客様をお待ちしている時間…
ひとり
山里の静かなところで
雨音を聞いてると
刻々と変わる雨模様が
雨音の移ろいで周りの空気の色も
違って見えるからとても不思議…
しとしと
ぽつぽつ
ぱらぱら
ざ～ざ～
そのような音ではなく
なんだろう…
遠くから雨音が押し寄せてくる
そんな感じ
風の流れに乗って
雨音が押し寄せてくる
ざぁ～、とも
ごぉ～、とも
そんな音では無く
どう表現したら良いのか…
なにかしら静かだけど
とても大きなモノが
こちらにやってくる
そんな圧のある気配…
向こうの方から
静かに…
でも
確かに…
雨が近づいてくる
なんとも表現しがたい
静かだけど力強い音と共に…
目の前に見える景色の中で
目に見えないなにか生き物のような
とても大きなモノが段々近づいてくる…
そんな感じ…
そう感じた少し後
空模様が変わり
雨が少し強くなってくる
空気の色も変わる…
モチノロンロン無色透明の空気だけれど
光の加減が変わって、空気の色も変わる…
刻々と移ろう雨模様
雨の降る速度や
雨粒の大小
雨の強弱
なんかおもしろい…
いろんな雨の音
都会では感じることが出来ないだろうな
こんな雨の音は
雨が少し強くなれば
雨の粒が白い玉のようになって
こぼれ落ちる様子も
いとおかし…
水たまりに吸い込まれる様子も
いとあわれなり…
山里の古民家
そこに降る雨は
普段、事務所にいたり
家に居るときの雨とは
全然違う…
そんな感じがします
みんなでワイワイしてれば感じヘンのやろうけど
こうして独り
静かに雨垂れを聞きつつ
お客様を待ってると…
雨音の変化にとても敏感になる…
刻々と変わる雨模様
刻々と変わる空気の色
いとおかし…
いとあわれなり…
普段はあまりに長い待ち時間には
少しいらだつこともあるけれど
ふと感じた雨音の変化に
待つという時間も
なんか楽しい…
ﾅﾝﾁﾃ
そんな感じ…
お客様がお越しになる予定時間が
10分過ぎ
30分過ぎ
時間だけが過ぎていく
でも、
雨垂れの変化を楽しんでいると
不思議と苛立たない
なんやろ？
60分過ぎ
1時間30分が過ぎ
さすがに雨音の『いとあわれ…』の世界は
これくらいで消滅！？
アカンな…
風流人にはなりきれん！！！
平安貴族のように
ボォ～ッと雨垂れを楽しむ…
それにも時間制限があるみたいです
ははは…
ちなみに
お客様は2時間遅れのご到着でした
お宿あるある…
…ちゅうことで
ほな
また
