通潤橋… この橋が教えてくれること。 in 熊本 | The Sam's Room

The Sam's Room

おもしろいこと、楽しいこと、気になること、美味しいこと、何でもかんでも『やってみる』ことが心情のSAMのブログでございます。

人間の力って凄いなぁ…って思います。
そして、食べていくために、生活していくために人間は『知恵』という尊い武器を使って来たのですね。

…なぁんていう書き出しからは『何のこと?』と思われるでしょうね。
今日のお話は、そういう『人間が知恵を使って創り上げてきたもの』です。


では、そんなお話しを…

……… ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ………



秋の終わりの頃の話しで、ちょっと前で恐縮ですが、熊本に行って参りました。

で、
熊本といえば…

イメージ 1

『くまモン』ですよね。
ゆるキャラ初代チャンピオンに輝いた『クマモン』…。 熊本県の観光部長だったっけ…、凄いエライサンなんですよね。
で、このオネーサンと一緒にPRに廻ってるんだって。県内だけではなくて、全国版だから毎日スケジュールが超過密なんだって。
でもなぁ…、こんなキレーなオネーサンと一緒だったらエエよなぁ…なぁんてスケベなオヤジはアホな妄想に駆られるのであります!?



そんなアホ話は置いといて…


熊本の人々の知恵と力を感じる事が出来るモノがあります。

それは…

イメージ 2


通潤橋(つうじゅんきょう)

教科書とか、観光パンフでとか見たことのある方は多いと思います。

造形的にも素晴らしいこの橋…
でも、このような普通の姿ではなく、水を放水している姿が有名ですよね。

では、その派手に放水している姿を見てみましょうか。

では、出ますよ…

イメージ 3


ほら、出始めましたね。

イメージ 4


パッと水が流れ出します!

イメージ 5


おぉ~、もぉれっつ! 
小川ローザかぁぁぁぁぁぁ…  (…ってわかりませんよね!?)


どうですか、凄いでしょ!
この派手に放水している姿がとっても印象的な橋ですね。

では、チョット違う角度から放水の様子を見てみましょうか。

イメージ 6



イメージ 7
 


如何ですか?
近くで見るとかなりド派手な放水でしょ!

下からばかり覗いているんじゃなくて、上の方はどうなってるのかな?

上に行ってみましょうか…

イメージ 8


イメージ 9


橋の上は、こんな道のようになってました。

では、放水されているところまでいってみようかな…。



イメージ 10

ここが橋の真ん中やでぇ…
ハシやのに真ん中って!?

ははは…
一休さんのトンチみいたいなこと言ってンと、覗き込んでみましょうか…

イメージ 11

ははは…
派手に放水してますなぁ…

それにしても、

高い!
通潤橋の上ってすっごく高いヤンけぇ~!

高所恐怖症のワタシには、この欄干がない橋って信じられヘン…

とにかくメッチャ高いです。
とにかくメッチャ怖いです。


でも、
しかし、
But…


イメージ 12


小学生でもヘ~キで渡っていくのが『あんびりーばぼう』です。

き、き、きみたち! 危なくないのか?
き、き、きみたち! へ~き なのがようワカラン!?

いまだ落ちた人がないようです。

ホンマかぁ~。
それ言うとヤバイから黙ってようぜぇ~! って隠してるンとちゃうのんか!?
疑り深いワタシはツイツイ勘ぐってしまう…

ホント、怖いです…


それはさておき、この『通潤橋』は前述の通り、人が渡る為の橋ではなくて、『水』、すなわち『用水』を通す橋として作られたそうです。

それを造ったののがこのオッサン…

イメージ 13
 

この地域の惣庄屋であった『布田保之助(ふたやすのすけ)』でございますよ。
惣庄屋… 今で言う市長さんのような存在でしょうか。

で、このオッサン… 村人の暮らしを豊にすることに大層力を注いでいた人物だったそうです。

彼がそのころ大変心にかかっていたのが、この地域『白糸台地』であったそうです。
ここは水不足で大変苦しい暮らしを強いられていた村で、周りに3本の川があるものの、谷が深すぎて水を引くことが出来なかったのです。水がないため作物も実らず、余りにも貧しい暮らしのため、子ども達は奉公に出なければ生きてはいけませんでした。

こんな貧しい村をなんとかしようと立ち上がったオッサンが惣庄屋の『布田保之助』様。
ここに大きな石橋を架けて、水を通す… ダイナミックな発想で世紀の大事業が始まったそうです。モチロン、前代未聞の大工事です。この地には天才的な石工がおり、これらの人々の技術と工夫があってこその偉業。

多くの苦労と共にこの『通潤橋』は出来上がったのだそうです。

イメージ 14

橋には写真の通り、3本の石の樋があります。

この中を水が通っている…

中はどんなになってるかというと…

イメージ 15
 
こぉんなになってます。

石をくり抜いてる!

で、この石をくり抜いた管をいくつもつないで樋にしているんだそうです。
で、つなぎ目は漆喰を詰めているんだって。
一滴の水も漏らさぬように漆喰で詰めるのは凄い難しい作業だそうです。

それにしても凄いな。


惣庄屋『布田保之助』、そして大層な技術力を持った肥後の石工… 
そして、延べ27,078人が動員され、嘉永5年(1852)12月から1年8ヶ月を要した大工事は嘉永7年(1854年)に遂に出来上がりました。

使われた石材は約6千個だそうです。凄いね…。


こうして、阿蘇外輪山の南西側の裾野、山都町(旧矢部町)に長さ79.64m、幅6.65m、橋の高さが 21.43mの水の通る橋『通潤橋』が完成し、白糸台地に住む人々を救ったということですね。
長さ6kmにも及ぶこの水路は現在も約100ヘクタールの農地を潤しております。


今では、この壮大な放水の多くの場合は観光用に行われていますが、本来は『通水管』に詰まった泥や石などの堆積物を取り除くために行われるのがこのダイナミックな放水。

でも、今ではスッカリ観光用になっちゃった感がありますねぇ…

毎土日の正午には観光用に放水しているそうですよ。
で、特別にお願いすると、1回 1万円で放水してくれるそうです… 

ははは…
どやねん…!?



そんなこんなの『通潤橋』…

この美しい姿は単に美しいだけではない…

どれほどの重い歴史がココに詰まっているのか。
そして、どれほどの人々がこの水路によって助けられてきたのか。

水は農業の基本ですが、流れていて当たり前ではないと言うことを深く知らされます。水一滴の積み重ねと労働が日本のコメ作りを、そして暮らしを支えてきました。

その水を得るため、人々は苦労を重ね多くの力を振り絞り生きてきたのですよね。

そんな歴史と暮らしに触れる度に大きな感動に包み込まれます。


日本のコメづくり、農業をもう一度見直し、実りによってもたらされる豊かな生活と水の文化を見つめ直していきたいモノです…。