▽岩手県九戸郡軽米町:かぶけえ

甘みのある赤かぶを煮て、それにもちアワとそば粉を入れてとろりとさせたかゆである。

「かぶね」ともいう。

かぶは、江戸時代に飢饉のさいの大切な救荒食であり、今でも主食のアワ、ヒエ、そばなどの節約に役立つとして大切な作物である。

縄ないなどわら細工の夜なべの仕事の夜食として出されることも多く、冷たいほうが甘みが強い。

色は薄桃色がかっており、舌ざわりはちょっとざらざらしているが、粘りがある。

仕事のあと、赤々と燃えるいろりを囲んで食べる味は格別で、かぶ独特の香りと甘みが、女や子どもたちにも大変喜ばれる。

ただ、かぶけえがおねしょのもとになりがちなので、母親たちの悩みのたねとなっている。

農家では、何人分とかいわずになべいっぱい煮ておき、みんなで食べる。

たとえば8人分として、かぶ400匁余り、もちアワとそば粉各100匁余り、水5合5勺、塩少々となる。

かぶはきれいに洗い、傷のあるところや端を除き、一寸くらいにいちょう切りにし、ざるをあげて水気を切っておく。

なべに湯を沸かし、かぶを入れてやわらかくなる。

煮立ったらアワを入れて弱火にし、焦げつかないようにかき混ぜ、粘りがでてきたらそば粉を一面にふりまいて入れ、塩を加えてかきまわし、火からおろす。

最後にへらでかき混ぜながら、かぶを砕いてなめらかにする。

温かいものは甘くなるで、なるべく冷たくする。