マチスって誰? | penのフランス語日記

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「虎と小鳥のフランス日記」でフランス語を学習中のpenの日記。独学です。トリュフォーの映画を字幕なしで楽しむのが目標。フランス語とフランス全般の情報を楽しくご紹介。初心者むけの文法、語彙、ディクテなどの学習法、フランス映画、フレンチポップスの話題もあり。

こんにちは。penです。子ども新聞記事の和訳です。きょうは今年の春、パリで展覧会が行われていたマチス(1869-1954)についてです。

元記事 → Matisse expliqué aux enfants | 1jour1actu - Les clés de l'actualité junior 16 avril 2012


Expo : sais-tu qui est Matisse ?
展覧会:マチスが誰かしっていますか?


青、赤、黄色、緑、紫。もし、色が好きなら、きっとアンリ・マチスの絵も気に入るでしょう。それに、一度で二度楽しめます。というのも、この画家は、よく同じテーマで二度、絵を描いたからです。


なぜこれがきょうの話題なのでしょうか?

それは、今、「マチス、ペアそしてシリーズ   « Matisse, paires et séries »」という展覧会がパリのポンピドーセンターで行われているからです。



きょうのできごと

マチスは、1900年代のフォービズム/野獣派 fauvisme の画家の騎手として知られています。安心してください。彼は虎に変身するわけではありません*。純粋な色を(混ぜることなしに)使って表す新しい絵画の技法を生み出したのです。

これは、その時代にとってはとても斬新なことでしたが、マチスは、生涯にわたってこの技法を使いました。

マチスは、とてもヴィヴィッドな色を使いました。紫や青などの同系色、赤と緑のような反対色。一色で塗りつぶした上に、別の色を配置して、よく静物や人の形を黒で縁取りしました。

マチスは偉大な色彩画家と呼ばれました。彼は同じテーマを違う手法で繰り返して描きました。これはバリエーション« variation »と呼ばれます。



二つのパリのノートルダム寺院

例として下の二つの絵を見てください。どちらもパリのノートルダム寺院の大聖堂が描かれています。ともに1914年の作品で、同じ角度から描かれています。

penのフランス語日記 Ameba出張所-マチス ノートルダム


最初の絵は、物の形をちゃんと描いており(figuratif)、大聖堂やそばの橋、セーヌ川、ペニッシュ(平底船)、通行人など、まわりの景色のディテールがよくわかります。

penのフランス語日記 Ameba出張所-マチス ノートルダム アブストラクト


その反対に、二つ目の絵はほぼ抽象的です。キャンバスは青で占められ、実際の色を表してはいません。大聖堂は三角という単純な形、橋はほとんど見えない線で描かれ、緑色の丸い部分が木々だと思われます。

なぜマチスはこんなバリエーションを描いたのでしょうか?それは自分が同じ景色をまったく違う手法で描けるということを示したかったのです。



さて、あなたの番です。

もし、この展覧会へ行ったら、二つの絵の共通点と違う点を探してみてください。

また、物や人、景色を描くとき、色や配置、スタイルを変えて二つの違う絵を描いてみてください。



◆きょうの用語

抽象芸術 Art abstrait :実際に見えたとおりには表現しない手法

色彩画家 Coloriste : 色をつかって表現する画家

構成 Composition :絵画のいろいろな部分を組み合わせること

具象芸術 Art figuratif : 実際に見えたとおりに表現する手法

単純化 Schématiser : ディテールを描かず単純に描く手法



◆きょうの単語

variation  バリエーション、変奏

美術や音楽などで、同じテーマを違うやり方で二度か、もっと繰り返して表すこと。

こうして作られた作品は、同じようであり、また同時に違う (Ces œuvres sont donc à la fois semblables et différentes)。

アメリカのアンディ・ウォーホールはアメリカの女優、マリリン・モンローのバリエーションを多数描いたことで有名。

*fauvisme ← fauve 野獣


◆単語メモ

chef de file 列の先頭

aplat 一色塗り

trait 線

envahir (人以外が主語で)あふれる、氾濫する

schématiser 単純化する

à peine ほとんど~ない

tenter  やってみる




◆関連動画 マチスの作品のスライドです。3分53秒







最後までお付き合いありがとうございました。次回の子ども新聞の回でお会いしましょう。

pen