○町中華「紅屋」・店前(深夜)
『紅屋』の看板。
唯の声「お先に失礼します」
制服姿の唯が出てくる。
店主の声「おい待て! こいつも持ってけ!」
宙を舞う烏賊の駄菓子。
唯は上手くキャッチ。
店主の声「じゃ、お疲れ様」
歩き出す唯。
唯は烏賊の駄菓子を見ながら、
唯「仲の良さそうな姉妹だったな……
(駄菓子を仕舞い)まっ、私にいたら、
もっと大変なだけか……」
唯は、歌(何でも良いが費用が発生しない曲)を
歌いながら歩き出す。
○唯の家・玄関(深夜)
オープニングの古い小汚ない家である。
唯は何も言わず、静かに玄関を開けて入っていく。
○唯の家・階段(深夜)
男女の声が聞こえる。
唯はなるべく音を立てないように
2階へ上がろうとするが、古い家のため、
ギィーギィーと音がしてしまう。
唯の母の声「あっ! 唯ちゃん帰ってきていたの?」
男の声「唯ちゃん。今日もお邪魔させてもらっているよ」
顔をしかめる唯。
唯は黙々と階段を上がっていく。
○唯の家・唯の部屋(深夜)
唯はドアを静かに閉める。
泣きそうな顔。
巨大なRIM人形と目が合う。
唯「……RIM」
唯はRIM人形を手にとりじっと見る。
唯「私もRIMになり……(声にならない)」
唯はRIM人形を持ったままパソコンを
点けると黙々とお絵かきを始める。
画面に描かれていく味のあるRIMイラスト。
と、パソコンのシステムメッセージが
来ていることに気づく。
唯は烏賊の駄菓子を開けて口に咥える。
メッセージをクリック。
ヴォイスドラマの声優募集。
唯「(烏賊の駄菓子を噛みながら)声優の募集か……」
RIM人形を見て、
唯「RIM役もあるのか……」
烏賊の駄菓子を大麻のように構えて、
唯「HKRI RIM役、北沢唯!」
MRSの声「おい! RIM! 大丈夫かっ!!」