りくりゅうファンの皆様
ストリーミングを購入された方は問題なく視聴できたでしょうか?
無事に三浦・木原組の今シーズン初のSP演技が終わりました。当日の模様をザっとをお知らせします。
午後、14時ちょっと前に会場到着。ローカル大会で公式練習の条件が非常に限定されていたので、朝は拠点のオークビルリンクで滑ってからの遠征となりました。
二人はこのリンクに前にも来たことがあるそうで、馴染みがあったと言っていましたが、私は多分、初めて訪れる場所でした。
ローカル、といってもオンタリオ州連盟主催の大会だけにプレノービスからシニアまでの多くの選手と関係者が集い、大変盛況でした。
見慣れたコーチの方々もたくさんいて、例えばリー・バーケルさん、ジェフリー・バトルさん、キャロル・レーンさん、ミッチ・イスラムさんなど、カナダの誇るスケートコーチ(あるいは元選手)のそうそうたるメンバーが揃っていましたよ。
そんな中、りくりゅうがウオーミング・アップを行っていると璃来選手の背後からいきなりサプライズで登場したのが(元リンクメイトで今はコーチをしている)マイケル・マリナロさんでした!久々の再会にめちゃくちゃ盛り上がっていました。
そうこうしている内に、出番が迫ってきました。直前にはジュニア・ペアの演技があり、私は観客席に陣取って観ていたのですが、スケート・オークビルから出場したデロシェ&スラッシャー組がとても良い演技を披露しました。
スロージャンプでミスが出ましたが、聞くところによると今年のジュニアのSP課題がスロー・ルッツなのだとか。彼らはループとサルコウはちゃんと着氷できるので、ここは克服していくポイントなのでしょう。しかしプログラムは二人に合っていてとても良く、61点を超える高得点を出していました。
そして同じくスケート・オークビル仲間のユディン&ロペス組も良い演技でした。もっと点が出ても良い様に思いましたが、50点をちょっと切るスコアで2位につけました。ロペス選手はなかなかひょうきんなキャラらしく、リンクでもいつも皆を笑わせてくれるそうです。
さあ、そしていよいよシニア・ペアの時間となりました。ジュニアの時から徐々に埋まっていた観客席が一段と賑わいます。やはりこの時期にこんな近くで世界チャンピオンの演技が見れる機会はそうありませんものね。
しかも入場料は5ドル!超・お得です。
当たり前と言えばそうですが、ひと組だけの出場でもちゃんと6分間練習があり、りくりゅうが滑り出します。するとこれまた当然なんですが、さっきまで滑っていたジュニアとは(大げさではなく)5倍くらいの速さで駆け抜けて行き、どよめきが起こりました。
最初のツイストのウオーミングアップは必ず、木原選手が三浦選手をポーン、と頭上高くに放り投げるシングル・ツイストになりますが、あまりの浮遊感と高さにこれまた観客席からどよめきと感嘆の声が上がりました。
これぞ世界王者の実力。
練習が最後1分を切ると、少し時間を残してボード際のブルーノ・コーチのところまでまず璃来選手が寄って来て、
やがて龍一選手もそこにやって来ます。
穏やかな笑みで話しかけ、ちょっと緊張した面持ちの璃来選手はそれをじっと見上げる。
この光景、北京オリンピックから何度となく見て来ましたね。
そろそろ名前を呼ばれる前の周回が始まります。二人で手をつないで滑り出し、ゆっくりと中央へと向かい、そして名前が呼ばれるとものすごく大きな歓声が上がりました。誰もがりくりゅうの演技を待ちかねている様子が伝わってきました。
(後で木原選手が、「あれはキーラン達が大声を出してくれていたから」と謙遜して言ってましたが、いやいや、会場全体か沸き起こった歓声でしたよ)
スターティング・ポジションにつき、音楽の開始を待ちます。
すると、あのキレの良いチェロの音ではなく、なにやらえらくソフトな「ホワワ~~ン」というキーボードの出だしが。
拍子抜けして、木原選手が「違います、違います」とオフィシャル席に向かって合図をして、改めてまたポジションを取り直します。この時のしぐさもとてもリラックスしていて、余裕を感じさせました。
ようやく本番。のっけからあの「Paint It Black」の世界観が繰り広げられます。
6月に振付師のシェイリーン・ボーンさんと手直しをした新バージョン、今シーズンはリフトの課題が変わったりと、エレメンツの違いと相まって曲の編集も変わっています。
q_taroさんの「違い探し」のイラストじゃないですけど、皆さんは幾つ、昨シーズンとの違いを発見されたでしょうか?また答え合わせなどしたいですね。
私が一番、気に入っているのは二人が深くスクワットをするあの動きへと続く、一連の流れ。そして最後のデススパイラルからエンディング、ですね。これらについてはまた機会があれば記事にしたいと思います。
演技が終わるとまた大歓声。ボストン・ワールドで二人を優勝に導いてくれたこのプログラムをまた、今シーズンも観ることが出来て嬉しいです。
SBSでのミス、そして細かい修正すべき点が見られた演技でしたが、この時期にしては早い仕上がりです。もちろん、昨シーズンからの持ち越しということはありますが、そこはストラテジーですからしっかり狙ったとおりの道筋を辿っていることになります。
スコアは74点超え。あとでプロトコルをじっくりと分析していましたが、納得の行く点数だったと思います。
なお、当日はなんと、ニューヨークから時事通信の岩尾記者が取材に来られていました!
#三浦璃来 選手 #木原龍一 選手 切れのあるSPを披露した今季初戦の後、穏やかな笑みで話してくれました。「8月にここまでできている。もちろんミスは修正していかないといけないが、十分だと思う。今自分たちがやっていることは、きっと正しいことだと確信している」(木原選手)#フィギュアスケート https://t.co/oQ2Abgty4d pic.twitter.com/Q89fB92mR8
— 岩尾哲大 Tetsuhiro IWAO (@iwaotetsuhiro) August 16, 2025
遠いところまでご苦労様でした。
そして帰り支度を整えていると、多くのファンや若い選手たちが寄って来てりくりゅうとの写真をリクエストしていました。そりゃあそうでしょう。
中には日本からたまたまトロントに観光に来ていた方が、わざわざキッチナーまで足を延ばして見に来てくださったということで、驚きでした。
そんな中、面白いエピソード:
空いていたデスクに座って休んでいたりくりゅうの所に、カナダ人の老夫婦がやって来て紙を差し出したので、「サインかな?」と思っていたら「フィギュアスケートの大会を見に来たんですけど、試合会場の入り口ってどこですか?」と尋ねられたこと。
よく見たら、二人が座っていたデスクは「表彰式ボランティア」が座るためのもので、もしかしたら大会関係者と間違えられたのかな?
そしてこのご夫婦はおそらくお孫さんが女子の部か、アイスダンスの部に出場していて、それを観に来たのかと思われます。とても微笑ましい、和やかなローカル大会のひとコマでした。
しかし上に掲載した写真からもご覧になれるとおり、ジャッジの数も多く、会場にはさまざまなモニタリングをするオフィシャルも来ていました。こういう所にカナダにおけるフィギュアスケートの歴史と底力を感じさせられます。
以上、昨日のキッチナーの大会レポートでした。