2023年オータムクラシック:雑感その② | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

一夜明けて、頑張って続きを書きます。

 

 

オータムクラシック二日目の夕方からの試合はペアのFSで始まりました。

 

結果から言うと前日のSPの順位のままの表彰台になったわけですが、

 

 

 

 

三浦&木原ペアも何とか立て直して新しいフリーに挑みました。衣装は皆さまご覧になったとおり、出来立てのものには少し不安があったので昔から璃来選手が最も着やすいと思っている「WOMAN」のドレスを纏いました。

 

この日のモットーは「笑顔で滑る」だったらしく、そこは練習の時から特に三浦選手が意識していたように見えました。

 

まだプログラムも新しいため、硬さが残りましたが、よりりくりゅうらしい曲調でしたよね。最初の連続ジャンプやスローループなどでミスが出たために完成形がちょっとイメージしにくかったですが、これからシーズンを通して振り付けの工夫や衣装とのマッチングでまだまだこのプログラムは変わって来ると思います。期待しましょう。

 

3位に入ったプロフト&ナド―組、フリーはやはり粗削りなところが目立ちましたが、それぞれのスキルが高いため、ペアエレメンツに慣れて来ると面白いチームになりそうです。

 

誰かが言っていたことですが、ナド―選手は珍しい反対周りのジャンプを跳ぶんですよね。シングルの場合はそれで問題ないけれど、ペアとなると同じく反対周りのジャンプが飛べるパートナーを探さなければならないわけで、プロフト選手が奇跡的に見つかった、と。

 

これも運命的な出会いなのでしょう。

 

そして優勝したステラートデュデク&デシャン組。彼らは本当にこのオフシーズン、プログラムを両方とも綿密に創り上げてきていたことが見て取れました。バンパイアのテーマのフリーのために演劇コーチを雇った、というほどの入れ込みよう。そして三浦&木原組に追い付くには彼ら以上のスピードを出さないと認められない、という認識から、集中的に滑りの速度を上げるトレーニングを積んできたそうです。

 

やはり追う立場としてはやることがはっきりと定められる分、ある意味では楽なのかも知れません。

 

一方、トップに立つ追われる側は、マルコットコーチがインタビューでも言っていた通り、新しいことに挑戦するのを怖がってはいけない。攻めの姿勢で行くべきなんでしょうけど、その方向性を見極めるのが難しいのでしょうね。

 

すでに色々なメディアでも出ているように、このオータムクラシックの後、三浦&木原組はSPを変えて来ることになりました。

 

この夏、日本でもたくさんのアイスショーで滑った "I put a spell on you" は衣装がとても素敵で、今大会に向けてもマシュー・カロンさんがさらにストーンを追加してキラキラに仕上げていたのでちょっと残念ですが、致し方ないですね。

 

新しいSPがどのようなものになるのか、待ちたいと思います。

 

 

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そして続いたのが女子のフリーでした。

 

坂本選手の圧倒的な勝利に終わりましたが、全日のSPと併せて改めて彼女が今シーズンは「一皮むけた」という印象を持ちました。ミックスゾーンでの取材コメントを聞いていても、本当に落ち着いているというか、静かな貫禄に満ちているというか。

 

もちろん、明るくお茶目なところがそのまま残っているのですが、多くの後輩スケーターの憧れの的としての自覚もしっかり持ち、ロールモデルを務める心構えが伺える。本当に素晴らしいスケーターだなあ、と思ったことでした。

 

とにかく2位に入ったカイヤ選手などはもう、徹頭徹尾「カオリ・ファン」で、自分のミックスゾーンの取材が終わってからもリンク際でずっと坂本選手の演技を見守っていました。その表情は本人も言っていたように「憧れのスターを追っかけるただのファンガール」。

 

 

Photo by ACI 2023 Skate Canada Media Team 

Uploaded with permission

 

 

 

一緒に写真を撮ったり、サインをもらったり、とても可愛らしい光景が繰り広げらていました。

 

もちろん、大勢のファンからもプレゼントが手渡され、サイン攻めにも遭い、カナダでのカオリ旋風は凄いものがありました。その一つ一つに笑顔で応える坂本選手。きっと多くのスケート少女たちがこの思い出を胸に抱えて自分たちも練習に励むことになるのでしょうね。

 

なお、今大会には多くの教え子を連れてきているマリーフランス・デュブルイユコーチが坂本選手のフリーの振り付けを担当しています。坂本選手はそのため、モントリオールにオフシーズンも何度か来ていて「第二の故郷」みたいに思えるほどになっているとか。来年3月のワールドでは「ホーム感」が味わえるのではないでしょうか。

 

 

あともう一人、忘れてはいけないのは千葉百音選手。彼女の滑りはその姿勢の美しさが際立っていますが、今大会では残念ながら存分に実力を発揮できなかったようでした。

 

特にフリーの日は体のキレが悪くなかったのに、6分間練習で転倒した際に腰を強打してしまった、とのことでした。よほど酷かったのでしょう、演技中は堪えられたジャンプもあったけれど、力の入りづらいジャンプもあった、と。

 

それでも類を見ない素晴らしいスピンを披露し、多くの拍手を受けていました。誰もがそのポテンシャルの高さを認めたことでしょう。

 

ミックスゾーンでは衣装について質問されて、デザイナーは伊藤聡美さんであると答えていました。

 

 

Photo by ACI 2023 Skate Canada Media Team 

Uploaded with permission

 

 

次の大きな試合はGPスケートアメリカ、それまでにしっかりと癒してほしいと思いました。

 

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この後、いよいよ最終日の男子フリーとアイスダンスのフリーダンスとなります。

 

 

(つづく)