今回の大会のお手伝いはいつもと勝手が違うことや、会場までの移動にすごく時間が掛かるため、なんだかかなり調子が狂います。
普段、私がカナダ連盟主催の大会を手伝うときは、主な業務がメディアに関連しています。取材に来ているジャーナリスト、フォトグラファーの方々のサポート、そして試合が展開している間はキスクラ裏からミックスゾーンへのエスコート、そして記者会見での通訳などです。
しかし今回は日本のスケート連盟が主催している大会で、カナダ連盟が来年のモントリオール・ワールドのプロモーションをするお手伝いがメインの仕事です。ただ、「OBSERVER(視察)」のアクレディテーションをもらっているのでいわゆる「BACK OF HOUSE」の全てのエリアへのアクセスがあるため、広報担当のカリンちゃんと一緒にミックスゾーンのセットアップの下見や、記者会見場への導線など、参考になるポイントをしっかりとノートしています。
モントリオール・ワールドの宣伝ブースでは、このブログでもお知らせしたとおり、来年の大会のチケット情報を皆様に発信するためにメールアドレスの登録をお願いしています。客席223番エリアの前に設置されていますので、25日・26日の残りの二日間にぜひお越しください。
現場ではテッド・バートンさん(ISUフィードの解説者)が常駐していますし、今大会の解説をしているマーク・ハンレッティさんやジャッキー・ウオンさんがちょくちょく訪問してくれています。
そして昨日はブルーノさんも来てくれましたよ!
そう、りくりゅうが見事にワールド・チャンピオンになった数時間後のことでした。
いやー、しかしペアのフリー試合は大変な展開になりましたね。なかなかどのチームもノーミスの演技が出ませんでしたが、その中で、トップの2組が予想通りの競り合いを見せました。
クニエリム&フレイジャー組は、先月のカルガリーでのジュニア世界選手権で後輩ペアに帯同していたコーチのトッド・サンドさんが心臓発作で倒れ、大きな精神的な打撃を受けていたことが知られています。
ベテランらしく、そんな状況でも平静を保ち、良い演技を披露したのはさすがでした。記者会見でコーチ不在について尋ねられたアレクサ選手が少し声を詰まらせる場面もありましたが、それ以外では本当に気丈に振舞っていました。
埼玉ワールドにはピンチヒッターとしてシェイリーン・ボーンがボード際やキスクラでサポートをしていました。
一方、我らがりくりゅうは名将ブルーノ・マルコットさんに支えられて、最終滑走のプレッシャーを背負いながら登場。自分たちらしい滑りを見せることを課題としていた二人、プログラム序盤の新しい三連続ジャンプを鮮やかに決めた時は「よっしゃ、このまま行けば大丈夫」と多くのファンに思わせたことでしょう。
三浦選手が次のSBSジャンプでサルコウを二回転に留めた時でさえも、大きな心配はなかったのですが、最後の最後でまさかのスロー・トリプルループでの転倒。あれには本当にびっくりしました。
試合後、ブルーノさんもその点について「意外だった」と言っていましたが、スロージャンプはりくりゅうの得意とするところで、めったに失敗をしない技です。だからこそ、最後の盛り上がりを演出するためにあのタイミングに持ってきているのですよね。
演技が終わった直後の三浦選手の表情。試合観戦に関西から駆け付けていた私の友人のNちゃんなどは「胸がつぶれた」と言っていましたが、まさにそれ。私もYちゃんも涙がこみ上げました。
📺 It‘s another historic moment for Japan! 🇯🇵 Miura / Kihara make their dreams come true by earning the World Champion title infront of their home crowd! 🔥⛸ #WorldFigure #FigureSkating pic.twitter.com/AzT6TjCLwt
— ISU Figure Skating (@ISU_Figure) March 23, 2023
しかしこの時に木原選手がかけた言葉がまた尊かった。見てごらん、こんなにたくさんのお客さんが手を叩いて、讃えてくれているよ。胸を張って、(キスクラまで)帰って行こう、と。
そう促されて、しっかりとあいさつを済ませ、ボード際まで戻っていくと、こらえていた感情があふれ出します。待っていたブルーノコーチに抱きしめられて、三浦選手の頬には涙が。
朝日デジタルのお写真を見て、また胸が締め付けられるようです。
三浦選手は咄嗟にまだ確信できていなかったからか、不安な表情を隠せませんでしたが、やがて「第一位」という表示とアナウンスがあってやっと安堵の涙。