2023年カナダ選手権(オシャワ大会):シニア競技二日目の模様① | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

2023年1月14日(土曜日)、カナダ選手権のシニアの部の二日目を迎えました。

 

思えば一年前、オタワで開催されたカナダ選手権はメディアも観客もシャットアウトされた大会でした。

 

当時の模様はこちらをはじめ、一連のレポート記事にてどうぞ:

 

 

 

 

北京五輪直前ということもあり、選手たちにやコーチがオミクロン株に感染したらどうしよう、と皆がピリピリしていた現場だったのですが、それに比べて今年は:

 

抗原検査はなし、感染対策も大雑把

マスクをしている人はほんの数割

メディアも観客もウェルカム

 

という感じだったのがなかなかシュールでした。

 

私自身、昨年の秋にすでに5回目のワクチン接種を済ませ、おまけにインフルエンザの予防注射も打っていますので、あとはマスクをして消毒用のジェルを持参して...というところまでは準備していました。

 

しかしながら、現場では何となく周囲に流されて火曜日まではしっかりと着けていたマスクも、金曜と土曜になると、おろそかになっていました。

 

大会が終わってすでに三日が過ぎようとしていますが、今のところ、何かに感染した様子はなくホッとしています。

 

では一通り、シニア競技のフリー演技についての感想を述べていきます。

 

 

女子:

 

結果から言いますと、昨年に引き続きマドリン・スキーザス(彼女の名前をカタカナ表記にする時、いっつも「マドリン」にするのか「マデリン」にするのか、ラストネームも「スキザス」なのか「スキーザス」なのか、迷うところですが...)が見事にカナダ女王の座を射止めました。

 

スキーザス選手は昨年のGPスケートカナダにも出場していたので良く憶えているのですが、SPでは安定した演技で「ブラック・スワン」を迫力満点で滑ったものの、フリーの「ウェスト・サイド・ストーリー」で大崩れ。そのパターンがそれ以降もずっと続いていました(ゴールデンスピンではその反対が起こりましたが)。

 

今大会ではその課題を乗り越え、両プログラムを大きなミスなく滑り切り、2位を大きく引き離して優勝。ただ、フリーではプレッシャーのせいか終始、非常に硬い表情だったのであまりプログラムの雰囲気にはふさわしくないパフォーマンスだったかな、というのが私の印象でした。

 

試合が終わってキスクラからCBCのブースに現れても、表情は強張ったまま、とても連覇を成し遂げた選手のそれとは思えませんでした。

 

 

 

Photos by 2023 Canadian Tire National Skating Championships

Media Team,

Uploaded with permission

 

 

昨年の北京五輪では、まだ「新人」と言っても良い彼女が団体戦を一人で滑り切り、パーソナルベストを連発してカナダを4位に押し上げたのでした。間違いなく、あの団体戦でのチームカナダのMVPはマドリンだったでしょう。

 

彼女にとってこれまでで最も緊張したであろう試合後、モンペリエワールドでは今一つ、調子が上がらずに12位。今年もカナダ女子は一人しか世界選手権に派遣されないことになってしまいました。

 

さいたまワールドではまたマドリンの肩に重圧がかかり、カナダのために二枠を獲得するという課題が授けられた、ということになります。

 

 

 

 

 

 

さて、長年停滞気味だったカナダの女子陣ですがようやく今年、少し明るい兆しが見られました。

 

2位に入ったのはカイヤ・ライター選手、弱冠16歳の選手ですがパンデミック直前の2020年ナショナルズでは見事にジュニア・チャンピオンに輝き、将来を期待されていました。

 

パンデミックの影響や昨シーズンの怪我などでしばらく音沙汰がなかったのですが、今シーズンからまた活躍を見せ、今大会ではフリーで1位のスコアを叩き出して6位から一気に順位を上げました。

 

カイヤ選手は前述のマドリン選手とは対照的にいつも満面の笑みを浮かべ、インタビュー中も楽しくて仕方がない、という表情がメディア陣にも大ウケでした。

 

 

 

 

もちろん、追う立場の者はプレッシャーがない分、朗らかでいられるのかも知れませんが、ジュニア時代からカイヤ選手と言えばこのような雰囲気だったので、おそらく彼女の性分なのでしょう。

 

すでに前の記事でも言ったと思いますが、彼女のコーチは元全米チャンピオンのスコット・デイビスさんです。

 

 

Alberta/NWT/Nunavut 連盟のフェイスブックより

 

 

カイヤ選手は来月末に始まるジュニアワールドの代表に選ばれました。(カナダ女子はひと枠だけ)

 

そして3位に入ったのがフィオナ・ボンバルディエ選手。彼女の母親はかつてのカナダ女王、ジョゼ・シュイナールだったことに驚いたのですが、会場にも来ていて、ツーショットを撮っていました。現役時代とほとんど変わっていないジョゼさんにまたまたビックリ。

 

 

 

 

フィオナ選手はせっかく好成績を収めたというのにこの後、どの試合にも出られないという憂き目に遭ってしまいました。なぜならシニアのB級大会に派遣されてこなかったので、ミニマムスコアがないのですよね。

 

カナダ連盟がもっと早くに彼女の台頭に注目して、国際試合に出していれば四大陸選手権に堂々と出ることが出来たのに、と疑問を呈していたのがメーガン・デュハメルさん。本当にその通りです。

 

もう一人、特筆に値するのが6位に入ったリア・ペレイラ選手です。SPではなんと2位の好スコアを出していましたが、彼女はペアとの掛け持ちをしているので、さすがにちょっときつかったか?でもこの後、ペアでは大活躍を見せるのですが。

 

 

 

 

演技の動画も含めてこの辺りをCBCの That Figure Skating Show がまとめていますのでこちらをどうぞ:

 

 

 

 

アイスダンス:

 

フィギュアスケート4種目の内、近年のカナダにとって最も安定していたのがアイスダンスだったのですが、昨年のモンペリエワールドでは上位2チームの総合順位のトータルが、パイパー・ギレス&ポール・ポワリエの5位とローランス=フルニエ・ボードリ&ニコライ・ソーレンセン組の9位を合わせると14ポイント、つまり二枠にしか届かない結果となってしまったのでした。

 

今大会はトップチームのギレス&ポワリエが欠場したため、事実上、ひと枠を争う形となり、最終的にはフルニエ・ボードリ&ソーレンセン組がその枠を獲得しました。

 

ただ、フリーダンスの最後の最後でローランス選手の長いスカートが仇となり、ブレードに引っかかって転倒のディダクションを取られてしまったのです。

 

直前に滑ったラジョワ&ラガ組は「ホワイト・クロウ」をノーミスで力強く滑っていたため、ヒヤリとする場面でしたが、結果はリズムダンスの順位のまま、フルニエ・ボードリ&ソーレンセン組が首位を死守しました。

 

 

 

 

 

三位に入ったのは昨シーズンから正式にカナダの代表となったマリジャード・ロリオー&ロマン・ルギャック組。彼らは以前、フランスの代表として大会に出場していたのですが、マリージャードがケベック州出身であることも手伝って、カナダ代表となる決心をしたようです。

 

彼らのフリーダンスは「ピンクパンサー」がテーマで、とてもユニークなプログラムとなっています。一見の価値あり。

 

というわけで、ナショナルズの表彰台を独占したのは Ice Academy of Montreal でしたが、相変わらずのこのクラブのコーチはキスクラ近辺に常駐、という感じです。マリーフランス・デュブルイユ、ロマン・アグノエル、パスカル・ドニ(この他にスコット・モイヤーもいましたよ)などのコーチ陣も揃ってなかなか豪華な顔ぶれでした。

 

 

 

 

それにしても三枠ないのがあまりにも残念。今シーズンはパイパー達のプログラムが秀逸であるため、表彰台はほぼ確実。優勝候補にさえ上がっています。来年の自国開催のワールドにはきっとカナダがまた三枠を取って最強の陣営で挑むことでしょう。

 

アイスダンスのサマリーはこちらの動画でどうぞ

 

 

 

 

まだペア、そして男子の試合レポもありますが、長くなりましたのでいったん、ここでアップします。