前記事の続きを書きたいと思います。
もったいつける気はないのですが、なにせこの曲について調べたらけっこう内容が濃くて、ひとつの記事にするには盛り沢山過ぎたのです。
まずはこの曲を創ったアーティストからして、これまで聞いたことがなかったのですが、Sleeping At Last というのがバンド名ではなく、Ryan O’Neal というミュージシャンが創作活動の時に使う仮名であると知りました。(ライアンさんのHPに詳しく書いてあります)
http://www.sleepingatlast.com/about
そして私が知識不足なだけであって、実は彼の曲はかなり多くの映画やテレビドラマ(「トワイライト・シリーズ」や「Greg's Anatomy」などけっこう大物の作品も!)のサウンドトラックに使用されているので、知らない間に聴いているのかも知れないな、と思いました。
ライアンさんの曲の使用先のリストはこちら:
http://www.sleepingatlast.com/as-heard-on-1
そして肝心の三浦&木原ペアのフリーの曲「TWO」に関して、ですが、ライアンが詳しく書いたりポッドキャストで喋ったりしています。この記事の以下の部分は私がそれらを元に書いていますが、お時間のある方はこちらで直に彼から提供されている情報をどうぞ:
http://www.sleepingatlast.com/blog/2017/11/17/two
さて、「TWO」はライアンの「アトラス(ATLAS)」というプロジェクトの第二部(Year II)の中に含まれていて、これは実はエニアグラム人格診断による九つのパーソナリティー・タイプの番号の一つなのだそうです。
どうりでONEからNINEまで曲があるわけですね。
http://www.sleepingatlast.com/atlas
(エニアグラムについて日本語で分かりやすく書いてあるのはここでしょうか:https://www.kaonavi.jp/dictionary/enneagram/)
前の記事にも書いたとおり、私は最初、「TWO」というのは曲の内容から「二人」のことだと思っていたんですが、全然違ったのでした。
エニアグラム人格診断によると、二番目のタイプのパーソナリティは自己犠牲をいとわずに他人を助けようとする「GIVER・HELPER」という感じの人だそうです。
深い愛情に満ちているのは良いのだけれど、自分のことを顧みずに人のことばっかりやってると自滅してしまうのが欠点、と言われています。
そう考えてみると確かにあの曲を歌っている人は自分の恋人のことを案ずるけれど、自分のことは二の次、って言ってますよね?
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例その1:
Tell me, is something wrong?
If something's wrong, you can count on me
You know I'll take my heart clean apart if it helps yours beat
ねえ、何かあったの?
何かあったなら、頼ってくれていいよ
君の心臓がそれでちゃんと動くなら、
ぼくのをすっかり分解しちゃってもいい、分かってるよね?
ここの「I'll take my heart clean apart」の訳はちょっと苦悩したのですが、通常「~~を take apart する」と言うと、機械とかを分解する、という意味になります。
ただ、文脈からすると、彼女の心臓がそれで楽になるなら、自分の胸から根こそぎ心臓を抜き取って彼女にあげても良い、という風にも取れる。
しかし、そう書くとちょっと楳図かずおのホラー漫画になってしまうので、機械編で行きました。
例その2:
It's okay if you can't catch your breath
You can take the oxygen straight out of my own chest
大丈夫、うまく息が出来なかったら
僕のこの胸からそっくり
酸素を抜き取ったらいい
I know exactly how the rule goes
Put my mask on first
No, I don't want to talk about myself
Tell me where it hurts
I just want to build you up, build you up
Till you're good as new
And maybe one day I will get around to fixing myself too
ちゃんと分かってる、ルールでは
自分の(酸素)マスクをまずしないと、だよね
でも、自分のことなんかどうでも良いんだ
君はどこが痛いの?
ただ君を元気づけて、盛り立てて
元通り真っさらにしてあげたいんだ
そしたらいつか、僕も、自分のことを
直せる日が来るかも知れない
飛行機に乗って、最初に安全対策についての説明を受けるじゃないですか?その中で、客室内の気圧の変化で酸素が不足する事態が発生すると、上から酸素マスクが落ちて来る、というくだりがあります。
そして子どもを連れている場合、大人はまず、自分のマスクを付けてから子どもに着けてください、と言われます。何故かと言うと、大人が酸素不足になって気絶でもしたら、共倒れになってしまうから。
ところがこの曲に出て来る彼は、そういったルールがあるのは分かってるけど、自分よりも彼女のことが大切だから、自分はどうなっても良くて、自分の酸素を彼女にあげたい、と言っちゃってます。困った奴です。
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でも後半から徐々に、自分のそういった自己犠牲的な面を自覚して、最後はちゃんと自分も愛してもらえることを学ぼうとしているところが見える。
その結果、改めて恋人のことをポジティブな姿勢で、全面的に包み込める気持ちになって、すごく希望一杯で明るい盛り上がりのあるエンディングになっている、とのことでした。
なお、私がライアンのとっても細々としたポッドキャストの中でも特に面白いと思ったのは、上の例2でも挙げた:
"You can take the oxygen right out of my own chest"
の部分でした。
「あの部分は、良く聴くと歌声にエコーが掛かってなくて、突然すごく近くで鳴っているような効果を加えた。まるでその場から一気に酸素が吸い取られたような錯覚に陥るように」だそうです。
私自身、あの最後の「chest」のひとことは途中で切れている様にさえ聞こえてたので、なるほど、と思いました。
以上、りくりゅうの今シーズンのフリープログラムの曲について、私が調べたことについて書いてみました。この他にもたくさん、ライアンから情報が出ているのでぜひ彼のHPやツイッター、インスタグラムをご覧ください。
YouTube チャンネルもあります:
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