2021年GPスケートカナダ(バンクーバー大会):10月30日(土)の試合 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

昨夜、書き始めた記事ですが、疲れてどうしても終えられなかったのでまた今朝(こちらの日曜の朝)続けています。

 

最初の部分はおおむね、昨日書いたまま残してありますので、その点をよろしくご理解ください。

 

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2021年GPスケートカナダの試合二日目が終了しました。

 

つい2時間ほど前に女子のプレカンの場にいて、ロシア三選手の写真を撮ったりしていたのですが、その会見の様子がもうすでに日本で様々なスケートファン・ブログに掲載されているのが本当にすごい。皆さん、情報が速い!

 

以前から度々言っている事ですが、自分が現場にいて見たり聞いたりしたことが、遠く離れたところでリアルタイムで伝わっているのは、とても不思議な感覚です。時には「あれ、そうだったっけ?」と戸惑ってしまうようなこともありますが。

 

まあ、そういったことも踏まえて、私が体験・体感したことを以下に綴っていきます。

 

 

大会一日目、10月29日の金曜日出来事をその日の内に記事にしようと思って書き始めたのですが、終わってみれば30日の午前1時になっていました。

 

その後、就寝して起きたのが朝の8時頃。

 

日本からのラインで「ネイサンのコーチがバブルを破ってIDを剥奪された」というニュースを知り、驚きました。

 

少なくとも私はその「事件」が起こった時、そしてその後も、全くそのことについて聞かされていなかったのです。その後も詳しくは説明を受けていません。

 

なので情報としては皆様がお持ちのものとそう変わらないとは思います。

 

ただ言えるのは、選手やコーチを含めて参加者全員に配布された会場マップには、それぞれが行って良い場所、行ってはいけない場所、が色別にはっきりと示してあるので、アルトニアン氏はそれをしっかりと見るべきだった、ということですかね。
 
今大会は、先週のGPスケートアメリカの大会とはおそらくかなりプロトコルが異なるのだと思います。転戦している選手たちや関係者たちにとってその違いを全て把握するのは難しいかも知れません。
 
しかしカナダにはカナダなりの、そしてブリティッシュコロンビア州なりの感染対策ルールがあるので、そこは大会参加者全員が何度も繰り返し、ブリーフィングを受けたと聞いています。
 
記者会見ではネイサン選手自身、処罰を「全然、厳しい(HARSH)とは思っていない、当然のこと」とあっさりと認めていました。選手や皆の安全を守るためのルールなのだから従ってしかるべき、と。

 

なのでこの件についてはそれだけのこと、だと思います。

 

 

さて、今日も朝の11時頃に会場に着き、メディアチームの拠点である会見会場へと向かいました。この会場は本当に寒い。サブリンクの上に簡易なボードを敷き詰めて、その上にカーペットを貼ってあるだけなので、冷蔵庫のような具合です。

 

荷物を置いたら早々に持ち場のミックスゾーンやテレビ局のブースのある場所へと移動して、少しでも寒さをしのぎたくなります。

 

前日同様、競技はペア・男子・アイスダンス・女子の順で行われますが、この記事では男子と女子に焦点を当ててレポートしていきます(ペア・アイスダンスについては後日、また改めて)。

 

昨日の記事ではすっかり抜けていましたが、日本男子の演技について:

 

山本選手にお会いするのは今回が初めてでしたが、とても落ち着いて、静かな人柄とお見受けしました。ファンが多く、会場でも昨日のSPから大きな声援が飛んでいました。本人もいきなり「そうちゃーん」という呼び声が掛ったのに驚き、そして喜んだと昨日ミックスゾーンで言っていました。

 

フリー演技では滑走順が6番目だったので、その調整をすることを心掛けた、ということでしあ。靴の具合はSP後に調節したけれど、それよりもテープの巻き方がちょっときつ過ぎて、良いバネの使い方が出来なかった、と。

 

ただ、最初の方でジャンプのミスが出たものの、昔ならそこから後半は崩れてしまうところ、最後までちゃんと滑り切ることができたのは良かった、と言っていました。

 

また徐々に立て直して滑って行く内に、勝手に笑顔になっていた、というコメントに聞いている私の方がジワッと来ました。

 

久しぶりに同世代の選手や先輩選手、とにかくこれまで一緒に滑った事のある海外の選手たちと再び同じ氷の上に立てたことが懐かしかった、というような内容でした。

 

山本選手はエキシビションには招待されているので、私もようやくしっかりと生で演技を観ることができるのが楽しみです。

 

一方、田中刑事選手は2019年のケロウナ大会で3位になった時とはかなり違う印象でした。SP・FSともに不安に思っていたエレメンツがことごとく本番でもそのままミスへとつながって行ってしまった、というコメントが全てを物語っている気がします。ちょっと意気消沈した様子でしたが、今後、しっかりと気を取り直してくれることでしょう。

 

その他、男子FSに関しては皆様もすでにご覧になっていると思いますが、ネイサン選手がスケアメのうっ憤を晴らして優勝しました。プログラムの難度を下げて、手堅く勝利を獲りに行った、という感じでしょうか。

 

私としてはどうもこのFSのモーツァルトの曲の編集が気になって入り込めないのですが、何度か聞いている内に馴染んでくるのでしょうか。

 

ちなみに記者会見では「(モーツァルトをモデルにした)『アマデウス』を観て、モーツァルトの "Happy-go-lucky" (お気楽で楽観的)な面に惹かれた、って言ってたけど、それなのに「ラクリモーサ」という最も陰鬱な曲を選んだのは何故か」と聞かれたのが面白かったです。ネイサン選手もその矛盾は認めている様で、これまであまり「happy-go-lucky」な曲を選んだことがないのは確か、と言っていました。

 

また、記者会見ではコーチ不在に関して聞かれると「これまでも自立して練習するように訓練されてきているし」と答え、さらに「でも試合にはラファと一緒に行ってない事ってないよね?」と追及されていました。WTTではコーチなしで出場したよ、とネイサンは言っていましたが、確かに予定通りコーチがいないのと、不意にアクレディテーションが剥奪されていなくなるのとでは訳が違うでしょう。にも関わらず、落ち着いて試合を戦ったのはあっぱれ、でした。

 

なお、最終リザルトでは圧倒的な点差で二位のジェイソン・ブラウン選手以下を引き離していましたが、これはもう、男子選手が全体的に雑な出来であったことが関係しています。

 

ジェイソン選手はFSの冒頭でしばしばクワッド・サルコウを試みますが、ほとんどちゃんと着氷したことがありません。これはもうあきらめた方が良いのかも知れませんね。ここで失敗してしまうと残りの演技は全くミスの余地がなくなるので、それが今回の様に3アクセルで転倒してしまうと大きく響きます。

 

「シンドラーのリスト」はジェイソンが並々ならぬ思い入れを持っているプログラムなので、ストーリーを途切れなく観客に伝えるためには今後の対策が求められるかも知れません。

 

3位に入ったのはカナダのキーガン・メッシングではなく、ロシアのエフゲニー・セメネンコ選手でした。ロシアの若い選手ですが、シニアレベルでの国際試合はこれが初めてだと言っていました(昨年はロステレコム杯に出場したけれど、ロシア人選手ばっかりだったので)。

 

銅メダルという成績に非常に喜んでいて、記者会見でテーブルの上に設置されていた名札を記念に持ち帰ったようです。すごく微笑ましいエピソードだね、とメディアチームで言い合ったことでした。

 

そしてSPでは3位の良いスタートを切ったキーガンはどうやら冒頭のジャンプの着氷でスケート靴に不具合が生じたらしく、その後の滑りに影響を与えた、とCBCのインタビュー時に語ったそうです。それが理由であればジャンプミスの連発も納得が行きますが、途中の酷い転倒で顔を強打して、怪我が心配されるような演技となりました。

 

それにしてもカナダ男子、本当にちょっと頼りないかも。ストックホルム・ワールドで高順位を獲得したキーガンが不調となると、それに続く選手がいないのは痛いです。

 

ローマン選手は誰もがその潜在能力を認めているスケーターですが、本番にそれを出せないとなると、どうしようもありません。今大会はフリーで大量に鼻血が出てしまい、本当にしんどい試合となってしまいました。

 

オーゼル選手は難しいジャンプを跳べることは確かですが、着氷後の流れがなかったり、動きが硬くて全体的に演技に余裕がないため、見ているこっちにまで力が入ってしまいます。

 


さて、女子のFSはすごく見応えがありましたね。
 
と、ここまで書いたところでエキシビションの練習の手伝いに行くことになりました。また続きは後ほど。