2021年「スケートカナダ・チャレンジ」など観戦三昧の週末 | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

すでに幾つかアップした「2021年スケートカナダ・チャレンジ」シリーズの記事ですが、その中で、一カ月以上も前に滑ったプログラムの動画を見ながらスコアを言い渡されるスケーター達の心境とは?と問うています。

 

そんな私の疑問に見事、ローマン君が答えてくれました。

 

 

 

 

 

相変わらずユーモアにあふれたタッチで動画を作ってくれているので早速、見てきました。

 

出だしはちょっと意味不明で、まるで明日の試合に備えて練習に行くのだ、というような雰囲気でローマン君がリンクに向かっています。

 

2021年1月11日にナショナルズがキャンセルされ、その翌日にはオンタリオ州知事が緊急事態宣言を出しましたが、それを受けて「試合どころか滑る拠点も失うかと思った」とローマン選手がつぶやきます。「でも幸運なことにハイ・パフォーマンスのアスリートには特例が出て、練習を続けて良いと言われたので、これから試合前の最後の練習でーす」とかなんとか。

 

え、でも試合はすでに投稿した動画で行われるんだよね?と思いながら見ていると、もちろんこれは全てジョークで、ローマン君は一般のファンと同じ時間帯でライストを自宅の地下の部屋で見ることになります。

 

その一部始終をカメラで捉えながら解説。非常に興味深い動画でした。他の選手たちも言っていましたが、自分の一カ月も前の演技に関しては記憶があやふやになっているところへ持ってきて、一体どんな評価が下されるのか分からないまま何週間も待たされるのはものすごい苦痛だったそうです。

 

そしてローマン選手のご両親も、一年間、全く息子の滑っている姿を生で観ることを許されなかったので、このチャレンジの演技動画が久しぶりの観戦だ、ということでした。でも一緒にライストを観るのは耐えられないのでご両親は一階で、ローマン君は地下で、と分かれて見ています。

 

結果として男子は首位にローマン、二位にナム、そして三位にコーリー・シルセリ君が見事に入りました。

 

 

 

 

なお、ローマン君のインタビュー記事がCBCのHPに載っていますのでそちらもどうぞ。

 

 

 

 

 

そしてその後、アイスダンスの部があったのですが、私の応援しているパイパー・ギレスとポール・ポワリエの組が優勝。二位は先シーズン、怪我に泣かされたローランス・フルニエポードリー&ニコライ・ソーレンセン組、そして三位はカナダの若手ホープ、マージョリー・ラジョワ&ザカリー・ラガ組でした。

 

 

 

 

さて、このバーチャル大会という試みにおいて、司会のテッド・バートンさんの奮闘ぶりが特筆に値すると思いました。なにせ二週に渡って六日間、何十時間もライストを観ながらしゃべりっぱなし。解説やインタビューの合間に世間話を挟んだりして、本当によく喉が潰れないな、と感心しました。

 

 

 

 

ただ、パイパーたちとの優勝インタビューの終わりの部分(1時間23分目辺り)で、「オリンピック・シーズンにはこのフリーのプログラムを持ち越すの?」などと聞いた後に来シーズンの君たちの活躍に期待しているよ」と言い、「今シーズンは本当におめでとう。きっと来シーズン、オリンピック・シーズンのために練習を開始することを楽しみにしていることだろうね。この夏や秋に君たちに何度も会えるのを僕らも心待ちにしているよ」と締めくくります。

 

 

あれ?これってもうテッドさんは三月のワールドは無きものとしているってこと?(ちなみにテッドさんはジュニアGPの動画配信の総責任者なので、ISUとは太いチャンネルで繋がっているはず)

 

それとも単に国内の競技会はキャンセルになったから、ということ?

 

などと考えてしまいました。

 

まあすでに昨年11月に、カナダ連盟の強化部長はワールドに選手を派遣することに懐疑的だったので、そういった背景もあるのかも知れません。

 

 

 

 

 

それにしても今週末は久しぶりにライストでカナダの選手を、そしてテレビ(アメリカのNBCチャンネル)では全米選手権を交互に見まくる忙しいスケート観戦三昧の日々を過ごしました。

 

女子の競技はテンネル選手が本当にド根性で優勝をもぎ取った、という感じで見応えのある試合でしたね。昨年はアリッサ・リウ選手やマライア・ベル選手の活躍に抑えられて影が薄かった彼女でしたが、今年は意地でもタイトルを奪還するんだ、という気迫が見られました。コロラドのコーチやチームメイトがコロナ感染者と判明したので、そこは少し、心配ですけどね。

 

ネイサン・チェン選手の男子優勝は当然視されていたと思うのであまり言うことはないのですが、今大会ではちょっと本調子ではなかった

ようですね。彼の持ち味である回転軸の細さと回転の速さは健在でしたが、着氷時の傾斜と「詰まった(ほぼ停止した)」感じが目立ちました。ジャンプを降りたあとのエッジがサーッと流れる様が私はフィギュアスケートの醍醐味だと思うのですが(だから羽生選手や往年のケイトリン・オズモンドちゃまのジャンプが好き)、ネイサン選手は自分でもその点に言及していたので自覚しているのでしょう。そしてフリーのボワーンとした衣装、あれはシェイリーンが自分のクローゼットから引っ張り出してきたものを着ているそうですが、せっかく弓かムチの様にしなる鋭い身体の線を持っているのに、全然、見えなくなってしまっている。残念です。

 

3位に入ったジェイソン・ブラウン選手の(特に)SPを絶賛している人たちは多かったですね。私ももちろん彼の演技は素晴らしいと思いましたが、個人的な意見を言うと、このご時世に男子でクワッドを一つも入れずに高得点を目指すのであればエレメンツのGOEとPCSで稼ぐ以外ない、ですよね。だからと言ってクワッドを跳ばなければ誰でもがあれほどの完成度に到達できるわけではない訳ですが、とにかく自分は別の路線を目指して、スケーティングの美しさ、身体の動きの斬新さで訴えるのだということでしょうか。ジェイソンもずっとカナダに留まって練習をしていたので試合はこれが初めて。リンクにはトレイシー・ウイルソンが帯同したそうです。(キスクラの背後のスクリーンにはブライアン・オーサーが写っていましたね)

 

なお、アメリカのアイスダンスとペアに関しては、全然演技を観ていないのでコメントは出来ませんが、ダンスの上位3チームはちゃんとモントリオールの拠点に帰って来れるのかな、というようなことはちょっと心配になりました。
 
さあ、これからはワールドが開催されるのかどうかの決断を待つことになりますが、まだまだ先の見えない状態が続きそうなのが辛いですねえ。