例年はあまり気合を入れてヨーロッパ選手権は見ないのですが、二ヵ月後に迫ったモントリオール・ワールドに向けてのお勉強として、今年はしっかりとライストをフォローしました。
デスクの上はノートパソコンにモニターをもう一台付けて、スマホ、タブレットまで駆使してすごいことになっています。おまけに全米選手権もあるから大忙し(こちらはNBCがテレビで一部、ライブ放送をしてくれているのでリビングまで移動します)
今日でヨーロッパ選手権は終わりましたが、一番、印象に残ったのはアイスダンスかな。パパシズが本当に久しぶりに(平昌五輪以来、初めて)負けたことは衝撃でした。
しかしこれは彼らにとって、ある意味、必要なことだったのかも知れません。決して油断しているから、ということではありませんが、GPFのようにミスをしながらも余裕で勝ってしまうのは良くない。かつてのパトリック・チャンみたいになったら困ります。色々と政治的な面もあるのでしょうが、それはさておき、ワールドでは絶対に最強のパパシズに戻って、ノーミスで勝利を手中に収めるようにしてくるでしょう。
で、ツイッターで見かけたのですが、表彰式でガブリエラちゃんが一瞬、表彰台の一番高いステップに足をかけて、思いとどまったように二番目の位置に昇る、というお茶目なことをしたそうですね。優勝したシニツィナ・カツァラポフ組に対して失礼だ、とか、意見が分かれるところかも知れませんが、私は彼女のそういった勝気なところがなかなか良いと思います。
平昌の時点では私、完璧にテサモエを推していたのでバイアスがかかっていたことは自覚していますが、その後、素直にパパシズたちの素晴らしさを認めるようになっています。生で彼らの演技を観ると、やはりただ物ではないと思わざるを得ない。
それにフランス系カナダのスポーツチャンネル「Radio Canada」のHPに彼らのインタビューが載った時、とても正直に、ストレートに平昌でのリズムダンス中の出来事(パパダキス選手の衣装のホックが外れた)を述懐して、テサモエたちに対する複雑な気持ち(「二年のブランクを経て、わざわざ一番のライバルと同じクラブにやって来るなんて。。。」)を語っているのに好感を持ちました。そりゃあそうだろう、彼ら(パパシズ)の側からしたら、というのが読んだ後の私の感想でした。(このインタビュー、多分、翻訳は出ていますよね?ぜひ、読んでみてください。)
なので今となっては、パパシズを応援しています。今年のワールドはモントリオールを練習拠点とする彼らにとって「地元開催」に等しい。そこにロシアや北米のチームがどう絡んでくるか、楽しみに待ちたいと思います。
その他、ヨーロッパ選手権で思ったのは「ロシア、強い」ということ。四種目を制覇して圧倒的な力を見せつけましたね。女子は。。。うん、まあ予想通り。その中でスイス代表のパガニーニ選手が良く奮闘したと思いました。ペアのボイコワ・コズロフスキー組はやはり勢いがありますね。ワールドでは彼らがスイ・ハン組の一番の強敵になるでしょう。
アイスダンスも意外だったけれど、男子のアリエフ選手の優勝もちょっと驚き。フリー後のコーチの反応や、彼自身の涙が多くを語っていました。カナダ選手権でのローマン君もそうでしたが、長年、期待をされながらもここ一番という所で実力を発揮できないのはフラストレーションが溜まります。ようやく開花した時の喜びはひとしおでしょう。
それにしてもフランスのエイモズ選手のSP落ちはさすがに誰も予想しなかったでしょう。優勝候補の一人に挙げられていたのに、一体何が起こったのか、と皆が思いましたよね。フランスのレキップ誌のClementine Blondet 記者のレポートによると「拠点のリンクでのゴタゴタが影響を及ぼしたのか?」との試合後の質問に、「全然、関係ない。そういった質問には答えない。」と言ったそうですが。。。ワールドまでにどう立て直してくるのか、静観するしかないのでしょう。(なお、このゴタゴタ、に関してはまだ詳細が正式に発表されていないのでこれくらいにしておきます)
ロシアも強いけど、現在、開催されている全米選手権を見ていて、アメリカも力を上げて来たな、と感じています。(ペアだけが弱点、かな)
カナダのナショナルズを先週、目の当りにして来たばかりの私としてはよけいにそう思うのかも知れませんが、女子の最終グループなどはレベルが高かったし、ブレイディー・テネル選手、マライア・ベル選手、そしてアリサ・リウ選手の三人で飾ったのは立派な表彰台でした。日本の友人のNちゃんはグレイシー・ゴールド選手の大ファンで、今大会での復帰に涙していました。本当に良く、戻って来ましたね。
そして男子もかなり強くなっている。今日、SPが終わったばかりですが、ネイサン・チェン選手の演技を観た感想としては、ジャンプは二週間のインフルエンザでの療養にも関わらず、安定していて、彼の持ち味は健在。それに加えて以前よりもアズナブールの歌っている歌詞の細かい所に注意を払って演技をしているのが分かりました。彼がフランス語を解するのかどうかは知りませんが、徐々にそういった表現にまで力を注いで来ているのは、シーズンの後半に入ったことの印だな、と思いました。
だからこそ、「ラ・ボエーム」にちなんで衣装を少しでもいいから変えてちょーだい。
イメージとしては「モンパルナスの灯」でジェラール・フィリップ扮するモジリアニ。
まあここまで暑苦しくなくても
せめて襟元だけでも
二位に入ったのはジェイソン・ブラウン選手、彼はクワッドなしでSPまでは戦える。それは昨年のワールドでも証明されています。問題はフリーですね。トレイシーさんが優しい笑顔でリンク際に立っているのは微笑ましい。
そしてカムデン君、冒頭のクワッドは良かったのに、何故、何故、何故。フリーではきっと挽回してね。
この他にもヴィンセント・ジョウ選手、新しくコーチとなったリー・バーケルと振付師のローリー・ニコルとのキスクラが新鮮でした。トルガシェフ選手、驚きの三位。彼は確か、自分で振り付けをすると聞きましたが、今まであまり注目していなかったので今日、初めて滑りをしっかり見た感じです。
スコアに関しては、確かにジャッジが「出し過ぎ」とは思いますが、選手たちはそれが実際、国際試合で出る点数だとは思っていないでしょう。ナショナルズでのスコアというのは、国内での順位、あるいは「ハイエラーキー」を表しているという側面が大きいですからね。
明日のフリーを見て、また感想を書くかも知れませんが今日はこれにて。
(なお残念ながら全米選手権のアイスダンスは放送がなかったので見れていません。結果だけを見ると、私の予想通り、マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組が優勝したようです。よっしゃ。)