2019年GPF男子フリー感想(超ざっくり) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

今朝は早くに起きてライストで男子のフリーから観戦しました。
 
以下、ざっくりとした感想です。
 
1)トリノの会場は音響がおかしかったかしら?なんか音がボワーンとしているような気がしたのですが、単にライストで観ていたせいだと思いたい。現地でご覧になった方、いかがでしたか?
 
2)最初の三人の選手の演技がミス続きだったので、もしもエイモズ君がノーミス(あるいはそれに近い)演技をしたら高いスコアが出るだろうな、と思っていたら、案の定。でもエイモズ君、そんなに毎回泣いてたらヨーロッパ選手権やらワールドまでもたないよー。
 
3)順序、逆になりますが、ネイサン・チェン選手は羽生選手の渾身の演技とプーさん雪崩の後、良く落ち着いて滑りました。この選手のクールさとスタミナとジャンプの安定性にはつくづく感心します。優勝おめでとう!でもスコアはちょっと高すぎ。そして衣装は悪いけど、マイナス5点くらい引いてしまいたい。というか、フリーに関してはエルトン・ジョンの衣装も意味不明の派手さだからまだ許容範囲内として、ショートの方はいくらなんでも「ラ・ボエーム」のテーマにそぐわないわ。再考お願いします。

 

4)そして羽生選手、前記事で書いたように、やってくれると信じてました。ファンは十分に、報われました。

 

と、ここからいきなり少し丁寧な感想に。

 

結果的には準優勝、と決して本人は満足の行かない展開となりましたが、そんな中、羽生結弦の真骨頂を見せてもらった気がします。

 

天使の顔阿修羅の心

 

あるいは

 

流川楓の顔桜木花道の心(←分かる人には分かる)

 

 

 

 

 

羽生選手は10月のGPスケートカナダで念願の初優勝を飾り、しかもGPFまでは破られることのなかったシーズン最高記録を打ち立てました。私はあの時点でGPFでのネイサン・チェン選手との闘いは羽生選手が有利、と見たのです。GPシリーズの二戦目は少し調子が落ちても仕方ないけれど、その分、GPFに照準をしっかりと合わせて来るだろう、と予想していました。それほどにあのケロウナでの羽生選手は素晴らしかったし、強烈なオーラを放っていました。

 

しかし、やはり日程的にNHK杯から二週間も開いていなかったのはしんどかったのかも知れません。現に、驚異のエテリ女子の一人、コストルナイヤ選手はさておき、パパダキス&シズロン組、そしてスイ&ハン組、などのNHK杯優勝者はなんとなく疲れている感じでしたよね。ましてやこの後もすぐ、全日本が待ち構えているとあり、スケジュール調整が難しいのだと思います。

 

でもそれと同じくらい(あるいはそれ以上に)、ブリアン・コーチの現地入りの遅れが痛かったのではないかと私は思いました。練習時はまだしも、試合の時のコーチ不在の影響は相当なものでしょう。いくら羽生選手ほどの自立したベテランでも、あのSP後のキスクラの様子を見れば全く無関係ではなかったと思えてきます。(あの時、何人のファンが「私が横に座ってあげたい!」と思ったことでしょうか。それとも私だけ?)ジスランさんがボード際にいる時の羽生選手の嬉しそうな顔を見ても、どれだけ心強く思っているのか、伝わってきますよね。

 

SPの最初の二つのジャンプがあまりにも完璧だっただけに、本当に悔やまれます。言ってもせんないことですが、あのコンビネーションのミスで試合の流れは変わったかも知れません。ジスランさんには今後、国際移動時にパスポートを首から下げてもらいたい、と思った次第です。

 

まあそれでもコーチ到着前の練習で、いきなりクワッド・アクセルを何度もトライした、と聞いた時、「何でえええええ?」と慄いた反面、少しだけ別の意味でゾクゾクしたことも否めません。過去2シーズンの深刻な負傷のせいでリミッターをかけるようになった、と確か本人は言っていましたが、それが「パッコーン」と外れたのかな、と思ったのです。

 

「怪我しなかった!」という言葉は、今シーズン、羽生選手が試合後に良く口にしている気がします。それだけ「怪我をしないこと」は彼にとってのキーポイントになっているのでしょう。

 

なのにあのGPF中に、その怪我に対する恐怖心をしのぐほどの情熱が彼の中に湧き上がって、吹き出し始めたのかな、と思えたのです。

 

それがあのフリーの野心的な5クワッド投入へと繋がったのだけれど、ちょっと間に合わなかった。練習でいつも滑り込んでいる構成ではないので、最後でエネルギーが切れてしまったのだ、と考えると、今シーズンの行方にワクワクして来ます。

 

ケロウナでの記者会見で、羽生選手が言及していた「壁の向こうの良い景色」はもうすぐ見られるのかも知れません。

 

なお、羽生選手が今回の試合でチェン選手に付けられた点差について言ったことは、負け惜しみではなく単に自分自身が過去に経験していることに基づいているのでしょう。12月のGPFでの点差は、3月のワールドでの結果に繋がるとは限らない。試合は戦ってみないと誰が勝つかは分からない、というのはこれまで何度もカートさんが言ってきている言葉で、このブログのどこかの記事でも書いているのですが探し当てられませんでした。

 

さあ、これからGPFのエキシビション、そして再来週はいよいよ全日本ですか。また別の意味で、羽生選手にとっては大きな試合になります。どうか気を付けて、だけど存分に輝きを放ってその存在感を見せつけて来てください。