2019年世界選手権(埼玉大会):5年前のCBC放送の回想と男子競技の感想(の前置き) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

ちょうど一週間前、3月24日の日曜日、CBCのクルーに打ち上げの食事に誘われました。埼玉での世界選手権を終え、彼らは非常に楽しそうに色々と語り合っていました。

 

そういえば私は5年前、同じさいたまスーパーアリーナで開催された2014年の世界選手権をブログで詳細にレポートしたんだった、と思い出し、携帯でその頃の記事をスコット・ラッセルさんに見せました。

 

(以下の画像やCBCの番組の内容は2014年3月のブログ記事をコピペしています)

 

 

番組のオープニングから「そうそう、こういう出だしだったよね」とスコットさんが言い

 

 

 

 

「プラクティス・リンクでのインタビュー、この時も同じ場所だったな」と懐かしそうに続ける。

 

 

 

デュハラド、若い。ラッセルさんはそう変わっていないからすごいわ。

 

 

そして男子ショートの中継では、とても劇的でカッコいいナレーションだったことを私が伝えるととっても嬉しそう。

 

 

 

The Olympic Champion is in the house.
オリンピック・チャンピオン参上。

In a place where Mao Asada has been the idol of millions, and where Daisuke Takahashi has dominated the fans of figure skating,
浅田真央が万人のアイドルとして崇拝され、高橋大輔がフィギュア・スケート・ファンの間で君臨していた国に

A teenaged titan has emerged.
ティーンエイジャーの巨人が現われた。

Yuzuru Hanyu, delivered gold in Russia, and is now, the local hero.
羽生結弦、ロシアで金メダルをもたらし、今、彼こそがこの国のヒーローだ。

 

 

そしてこちらは同じく2014年大会、男子フリーの日の番組を扱った記事

より:

 

High stakes skating, high drama
掛け値が高い勝負、深まるドラマ

 

 

 


Yuzuru Hanyu, with no time to bask in his Olympic golden glow
羽生結弦はオリンピックの黄金の輝きに浸る間もない


 


 

His Spanish training partner Javier Fernandez has the upper hand
練習仲間のスペイン代表ハビエル・フェルナンデスだけでなく

So too does Tatsuki Machida, who made long strides in the short program
ショート・プログラムでは大躍進を遂げた町田樹が彼の上を行った

 

 

 

 

 

 

そしてここは見覚えのある、今年はモントリオール・ワールドのブースが設置された辺りの光景:

 

 

 

 

「あ、ここの映像、僕が撮ったんだ!」とカメラマンのデレックさんが言います。

 

このように5年前の話題で盛り上がったあと、今年の男子競技ではどこが印象に残ったのか、という話になり、ほぼ皆さんの意見が一致したのが
 
「ユヅル・ハニュウがフリー演技を終えて、『どうだ、見たか!』というような顔をしているのを、カメラがクローズアップしたところだね。あれは絵になった」
 
ということでした。
 
私は残念ながらまだCBCの映像を観ることが出来ていないので、カナダに帰って夫が録画してくれた(であろう)ものを楽しみにしています。どのように彼らによって今年の大会が伝えられたのか、改めて検証してみたいと思います。
 
現時点で言えるのは、舞台裏にいたラッセルさん、ブレンダ・アーヴィングさん、そしてPJクオンさんたちが本当に男子競技をハラハラしながら見守っていたこと。特にクオンさんは羽生選手に思い入れがあるのですが、それは彼女のキャッチした演技後の羽生選手のインタビューを見れば明らかでしょう。羽生選手が何となく、柔らかい、安心したような表情をしています。
 
 

SP後のインタビュー

 

 

フリー後のインタビュー

 

この短い動画の中で羽生選手がクオンさんに「あなたはどうしてスケートをするのが好きなの?」と聞かれた時の答えに関しても、

 

「もちろん、滑っている時の感覚、も楽しいけど、本当のことを言えば、ぼくは競うことが好き、だからスポーツとしてのスケートが好き」

 

って言ってたよね?あれは良いね、彼はとことん、COMPETITORなんだよね、

 

 

とCBCの皆さんに感心されていました。彼は真のアスリートだね、と。

 

 

また大会中にクオンさんがアップした記事:
を読んだ方々もいらっしゃると思いますが、羽生選手に対する限りないリスペクトと愛情に溢れています。いやあ、本当に早くCBCの番組が観たいわ。
 
さてさて、私は今回の埼玉ワールドにおいてつくづく、自分が認識不足であったことを今さらながら実感しています。
 
何に対して、って、羽生選手が日本で試合に出場するとどんな事態になるのか、ということに対してですよ。
 
私はこれまで何度も羽生選手の出場する大会を観てきましたが、日本での大会は初めてだったのです。
 
いや、まさか、これほどまでのこととは。
 
全てが想像以上。
全てが桁違い。
 
まさにこうなると
 
We are in the House of Hanyu
ここはハニュウの館
 
皆がただただ素直にその事実を認め、それなりに対処するしかない。ネイサン・チェン選手がそのよいお手本を見せましたね。羽生選手の演技の後、投げ込まれたプーの嵐を彼は「観客のみんなのフィギュア愛の表現だと解釈した。皆から寄せられる大きなエネルギーを自分の力に変えた。」というようなニュアンスの事を言ってましたっけ。かつてソチ五輪で羽生選手が観衆から沸き起こったロシアコールを自分への応援だと思うようにしたのに似ています。
 
抵抗したって無駄なんですよ。
 
だって、羽生結弦の他に、誰が公開練習にあのような大人数の観衆を呼び込めますか?
 
誰がスモールメダル・セレモニーに何千人ものファンを引き寄せた上、修行僧のような試練に耐えさせることが出来ますか?
 
私はあの日、セレモニーの整理券をようやく手にした方から「足が痛いのを我慢して、普通なら走れないところを走った」という話を聞きました。もうこれは常識で理解できる範囲を超えています。
 
 
(以下二枚の写真はCBCの videographer Jon Castell氏 から掲載許可を頂きました。)
 
Photo courtesy of Jon Castell
 
Photo courtesy of Jon Castell
 
 
なおJonさんはツイッターで羽生選手の動画を二つ、アップしていて、その再生数に腰を抜かしていました。
 
 
 
 
 
観客・ファンだけではありません。記者会見でコメントを拾うジャーナリスト、リンクで選手の動きを追うフォトグラファー、明らかに羽生結弦が登場するかしないかでその数と熱気は違うのです。大体、これまでのフィギュア界に特定のライター(ねえ、山口さん?)や特定のフォトグラファー(ねえ、田中さん、能登さん、小海途さん?)を有名にした選手って存在しましたか?オリンピック・チャンネルが嬉々として追いかけた選手がいましたか?
 
だからもう、
Surrender

降参しましょう。

 

そこんところを確認したうえで、次の記事で実際の競技を振り返ってみたいと思います。(前置き長い)