皆様
大会が終わり、帰宅してからレポートを書いているという体たらく(今、調べたら「為体」とも表記できるそうですね) 。かつては毎日、大会会場からホテルに戻って何がしかの記事をアップしていたというのに、これも加齢のせいでしょうか。年々、怠惰になって来ています。
GPS大会は開催国によって少しずつ競技スケジュールが異なりますが、スケートカナダでは一貫して木曜日は公式練習、金・土はペア、男子、アイスダンス・女子の順で全四競技が行われます。そのため、競技中のリンク裏は正午から零時までずーっとテンパってる状態で、メディアセンターからキスクラ裏、テレビ取材ブース、ミックスゾーンを何往復もすることになります。
何度もこのブログで自慢してきましたが、ほんと、日頃のレニーのお散歩で足腰を鍛えて良かったわ、と思っています。おかげさまでもっと若いボランティアさんが「足痛い」とか「腰もうダメ」と言ってるのを尻目に初老のオバチャンはセカセカと動けているのです。
もっとも、ここ数年は親友のNちゃんからの教えを守って滋養強壮の粉末を愛用しているアタクシ。競技が始まる辺りで仕切り直しのためにしっかりとエネルギーを補給します。
ところが二つ、失敗がありました。
一つは今回のボランティアのために新しく購入した歩きやすい(と思った)編み上げの靴で、初っ端から靴擦れを作ってしまったこと。常識で考えれば、履いたことのない靴で最初から重労働に挑むことが無謀であることくらい分かりそうなのですが、やってしまいました。慌てて二日目から履きなれたフラットシューズに代え、医務室でバンドエイドを頂いて、何とか持ち直しました。
(ところで足首の上まである靴って、しっかりと支えられて良い面もあるけど、脛の筋肉への負担がすごくあるように思えます。靴擦れになったばかりではなく、夜になって何度か脚が攣ってびっくりしました。スケート選手さんが体の色んな部分に故障が出るのも無理はないな、と思ったのでした。)
二つ目は、土曜日の女子の記者会見が始まったのが23時過ぎで、その頃には頭の回転がゼロになっていたこと。この日はもう一度、エネルギーの注入をしておくべきでした。そのせいで二位の山下選手のコメントを訳す時、一瞬、言い淀んでしまいました。これまた何とか難を逃れましたが、焦りました。今後の教訓として憶えておきます。
なお、金曜の夕方からメディアセンターには強力な助っ人が二人、加わってくれて一気に効率が上がりました。過去にも何度か一緒にボランティアをしたJちゃんとSさん。Jちゃんは韓国出身で、韓国のスケート連盟とも懇意にしています。四大陸や平昌五輪など、韓国で開催された大会に手伝いに行っていて、今回、たっくさんの超・興味深いオリンピックの舞台裏の話をしてくれました。これに関してはまた改めて記事にしたいと思います。Sさんは普段、銀行に勤めているキャリアウーマンで、ソーシャルメディアの達人でもあります。彼女も平昌五輪ではCBCのスタジオで手伝ったりして、大のベテラン・ボランティア。
というわけで競技中のミックスゾーンは我々三人が取り仕切り、非常に上手く行きました。グランプリファイナルも絶対にこの調子で頑張ろうね、と言い合って別れたことでした。
土曜日のフリーの競技で印象に残ったことを幾つかざっと挙げて行きます。
ペア:
優勝したジェームス&シプレ組。彼らは昨シーズンと今シーズン、オータムクラシックとスケートカナダの二大会に出ているので、何となく個人的に親近感を持っています。今まであまり経歴を調べてみたことがなかったのですが、今年でペア結成8年目だそうで、いわばベテランの部に入るのでしょう。しかしここ数年で一気に成績を伸ばしてきているのでまだまだ楽しみなペアです。ところで、ヴァネッサ・ジェームスはカナダ(トロント近辺)で生まれているんですよね。なので今大会にはたくさんの親せきや友人たちが応援に来ていました。お母さんがテレビに写っていましたが、ヴァネッサに良く似た、とてもきれいな方でした。(ちなみにヴァネッサのスタイルの良さは驚異的!あのワンピースの衣装を着こなせる人はなかなかいないと思います。)
男子:
SPでは思いがけない転倒のあった宇野選手が見事に逆転優勝を収めました。演技が始まる前からすごく鋭い目つきをしていたので、何かやってくれると思っていましたが、冒頭から四回転を次々と決めていく様は頼もしかったです。やはりオリンピック銀メダリストの貫禄があります。キスクラ裏のモニターで一緒に演技を追っていた人たちも皆、「おおー」と言いながら見守っていました。最後、ちょっと疲れが出たのかコンビネーションでミスがありましたが、堂々とした演技でした。衣装に関して言えば、SP・FSとも前大会よりもエレガントになってこっちの方が良いな、と思いました。
宇野選手の後に滑ったキーガン・メッシング選手、プレッシャーに負けずに滑り切りました!しかし彼なりに緊張していたんでしょう、いざリンクに出て行こうと上着を脱いだ瞬間、衣装の上半身部分を着ていないことが判明して(アンダーシャツは着てたけど)大慌てで控室に戻り、着込んでいましたね。傑作。本人も大笑いしていました。初GPSメダルは銀色、とても満足していました。
三位に入ったジュンファン・チャ選手、まだ若いながらも演技がどんどん、洗練されていく様子がとても楽しみです。ブライアン・オーサーさんとちょっとお話ししたのですが、色んな意味で(身長も、滑りも)急速に伸びているので今シーズンは期待が持てる、と言ってました。とにかく怪我がないのが好調の大きな要因だ、と本人も囲み取材で語っていたので、このまま次のヘルシンキ大会でも良い勢いを保ってほしいです。
あ、でも一つだけチャ選手に関する表彰式前のネタ:競技が終わってから控室で靴を脱いでリラックスしていた彼は、表彰式の準備があまりにも早く整って危うく出番をミスるところでした。「え、ジュンファンどこ?名前呼ばれるよ?」と大騒ぎになり、慌てて彼が出て来た時にはすでに場内アナウンスで「Winner of the bronze medal, Junhwan CHAAAAAA」と呼ばれているタイミングでした。なのでリンク上に登場したのは控えエリアからダダ―ッと一直線に走って行っていたことになります。間に合って良かった。