平昌オリンピック観戦記の続きです。
(昨日はアイスダンスでテッサ・ヴァーテュー&スコット・モイヤー組が優勝し、とても清々しい一日を過ごすことが出来ました。ああ嬉しい。)
私は今回、自分がつくづく海外旅行に不慣れなのだと自覚しました。
カナダと日本の往復はしょっちゅうしているのですが、なんせ言葉の通じない国、書いてあることが読めない国に渡航することはこれまであまり経験がなかったので、出発前は異様に緊張しました。
しかし仁川国際空港に降り立ってみれば、KTXの乗り換えなどスムーズの極み。手荷物を預けていなかったので入国・通関が早く終わり、予約していたものよりひとつ早い列車に変更してもらう事さえできました。
やればできるやん、と自己満足に浸る私。
噂通り、WIFI環境は素晴らしく、おかげでライストを駆使してペアのSPを観ながらカンヌンまで快適に行けました。
カンヌン駅に到着後、スケートファン仲間のS先生と落ち合い、突風が吹き荒れる中タクシー乗り場で一緒に並んでもらいました。なんとこの日は強風警報が出るほどの荒れごてだったのですが、気温は予想以上に穏やかで安心。
S先生とお友達にホテルまで同行してもらい、無事にチェックイン。こじんまりした宿でしたが、家族で経営されているらしく、とても暖かい歓迎を受けました。今回、カナダ五輪委員会公認のエージェントに取ってもらった宿だったので、市内の交通が便利で、飲食店やショッピング施設も豊富な場所にあるのが利点でした。
S先生は前日からカンヌン入りしていて、色々と現地情報を仕入れ、早速その晩は近くのお店でサムギョプサルを堪能することに。とても気さくなお店で、たくさんの野菜が並び、どんどん焼かれて行くお肉と共に食するのが楽しかった!あまり馴染みのない冷たいスープや、茶わん蒸しっぽい卵料理が美味しく、一気にテンションが上がりました。
翌日、皆で一緒にペアのフリー競技を観戦するための打ち合わせを済ませ、この晩は早めに就寝。ぐっすりと眠れました。
さて、15日の朝、私の泊まっているホテルの宿泊客のために貸し切りになっているカフェで朝食を取るために、すっきりとした気持ちの良い空気の中、歩き始めた時のこと。
いきなり視界に飛び込んできたのがこの光景。
あまりのことに「これは何かの予兆に違いない」と思いましたが、これってもしかしてユヅ・ファンを意識しての飾り付け?何のお店かはこの時わかりませんでしたが、写真だけ取ってとりあえず、カフェへと向かいました。
ここではパン類、果物、シリアル、卵料理、ソーセージなどがバイキング形式で自由に取れるようになっていて、美味しいカフェラテなども淹れてくれる本当に可愛いお店でした。スタッフも笑顔いっぱいで迎えてくれて、同じ宿に泊まっている(大半はカナダ人の)お客も大満足。
相席で座ったデビーさんはお友達のお嬢さんがクロスカントリーの選手で、すでに数日滞在していました。山の方は寒いけど、我々、カナダ人だからね、と自信満々。私も一応、重装備のブーツやミトンを持ってきましたが、今日の感じだとたぶん、要らないな、と判断しました。
さて、10時にタクシーを駆使してS先生たちと会場へと向かいました。
アイスアリーナのある北ゲートの近くまで連れて行ってもらい、そこからは少し歩きます。まずはオリンピック・パークの入場ゲートでセキュリティ・チェックを受け、その先でさらにチケットの改札が一度、そしてまたアリーナの前でもう一度。
ふと横に目をやると、何かの行列が。
これは夕方の男子公開練習(17時に開場)のために並んでいるのだ、とS先生から説明を受けました。
実は日本を発つ前にカーマイケルさんから連絡を受けていて、オリンピック・チャンネルのスタッフが男子の競技が始まる前に羽生選手のファンがたくさん集まっているところの映像を欲しがっているのだけれど、何かアドバイスはないか、と聞かれていました。おそらく数時間後にはこの行列がもっと長くなって、願い通りの映像が撮れるのではないだろうか、と思いつき、知らせておきました。
その結果、出来上がったのがこちら:
なかなか良くできていると思いました。
さて、会場に入って私が感じたのは「とても暖かい、アットホームな雰囲気」であるということでした。紫色がたくさんあしらわれているからか、ブルーが勝っていたソチよりも柔らかい印象だと思えたのでしょうか。
この日の席はジャッジ席の反対側、向かって右端寄りでした。けっこう近くにカーマイケルさんの姿が見えたので、ちょっと移動して挨拶をしました。すぐそばには田中カメラマンもいらしたので、なんだかスケカナにいるかのような錯覚を起こしそうでした。
そして会場内に響いているのはクオンさんの素敵な声。製氷中の休憩時間にジャッジ席の近くまで行って彼女にもご挨拶。とっても元気そうで、楽しくお仕事をしていらっしゃいました。
席に着くとお隣りの若い韓国人の女の子が、「食べる?」とチョコレートをくれて、感激。お父さん、お母さん、お兄さんと一緒に観戦に来ているのだ、と流ちょうな英語で話してくれました。
で、肝心のペア・フリー競技ですが、私はもちろんカナダの選手たちを応援していたので、ムーアタワーズ&マリナロ組、セガン&ビロドー組の演技にまず興奮し、最終グループが登場するまでにはすでに疲弊していました。
なんとかデュアメル&ラドフォード組にメダルを獲ってほしい、ショートを終わって3位につけていた彼らがどんなフリーを見せてくれるのか、ドキドキしながら待ちました。しかしその前に、優勝候補であったドイツのサフチェンコ&マソー組が滑ります。ショートではマソー選手がサイド・バイ・サイドのジャンプでトリプル・サルコーを二回転にしてしまったために意外な4位に終わりましたが、この日はサフチェンコさんの気迫が生半可ではなく、全てのエレメンツが決まっていく。しかもどんどん、スピードが増して行って、ただでさえ長身のマソー選手がより大きく見え、サフチェンコ選手も天高く舞う。これはとんでもないスコアが出るだろうと思っていたら案の定、超級の点数が出ましたね。マソー君、どんだけホッとしたでしょうか。。。
その次に滑ったのがメーガンとエリック達。彼らは今シーズンで引退すると宣言しているので、いっそう感慨深いものがありました。勇敢にもスロー4回転サルコウに挑み、成功させた時点で勢いが付いてきたのが分かりました。前の組のエネルギーを上手く受け継ぎ、味方に付けたところはさすがベテランの技。私はこのペアを2013年から毎年、GPスケートカナダで見てきているので、特に思い入れがあるのかも知れません。演技が終わり、メーガンが満面の笑みで手を振る、静かにそれを包み込むエリック。
結果的にはフリー二位のスコアを叩き出し、総合で銅メダルを獲得しました。ショートで二位につけていたタラソワ&モロソフ組が思いがけないミスを起こしこともありましたが、堂々の結果でした。
ああ、良かった良かった、とリンクでの表彰式を見届け、S先生たちと再び合流して今大会の一つの楽しみであったカナダ・オリンピック・ハウスへと向かいました。
オリンピック・パークを端から端まで歩いてけっこうな距離がありましたが、なんとか見つけて入場。
カナダの選手団を応援するために平昌入りしたファンや、選手たちの家族・友人でごった返しています。大きなスクリーンに進行中の競技が映し出され、皆で観戦できるのも魅力です。
そこにやがて、メーガンとエリックが姿を現しました!
良く見ると、彼らを引率しているのはカナダ連盟広報部長のエマちゃん。おそらく先週の団体戦から、ずっと奔走しているのだと思われますが、カナダ選手たちの好成績のおかげか、とっても元気そうでした。
オリンピック・ハウスでは専用のリストバンドが発行され、そこにクレジット・カードでお金をチャージすることができます。ハンバーガーやサラダ、フライド・ポテトなどを購入して、しばらく大スクリーンの前でS先生たちと過ごしました。男子の公開練習に赴く彼女たちを送り出した後、私はテクテクと大通りまで出てシャトルに乗り込み、カンヌン駅まで帰りました。
駅からホテルまでは15分ほど歩けば到達します。そこで再度、遭遇したのがライトアップされた例のお店:
やっぱりどう考えてもユヅ・ファン目当てですよね?どうやら飲食店のようでしたが、私はこの日、セブン・イレブンで水とビールだけ買って部屋に戻りました。
こうしてオリンピック観戦初日が終了したのでした。