9月の初めに記事を上げてからまたまた音信不通にしておりました。
巷ではすっかり羽生選手の新プログラム情報でにぎわっている様ですが、私は昨日まで2016年トロント国際映画祭の仕事で奔走中でした。
毎年、大きくなっていくTIFF、今年もすごい有名どころがワンサカやってきて、町は沸騰したような大騒ぎでした。
レオ様にデンゼル・ワシントン、ニコール・キッドマン、イーサン・ホークス、ナタリー・ポートマン、エイミー・アダムズ、イ・ビョンホンなどなど。。。
私は全然、遭遇しませんでしたが。
またのちほど、プリンスの「Let's go crazy」の歌詞の意味について自分なりの解説記事を書きたいと思いますが、取り急ぎ、今年私が担当した映画のことをちょこっと書かせてください。
9月8日から10日までは李相日監督の『怒り』のアテンドをしました。まー、東宝さんが力を入れているのは、この映画のプロモーションのためにトロントで従事したスタッフが総勢20人を超えていたことからもわかりますが、それはそれは密なスケジュールでした。
しかしその甲斐あってプレミアの手応えは十分。
主演の俳優さんたちもいらして豪華な舞台あいさつや質疑応答となりました。
渡辺謙さんのスターパワーは半端ない!
記者会見だの、
トロント市内での撮影だの
本当に盛りだくさんな日々でした。
それが終わると次は黒沢清監督の『ダゲレオタイプの女』の仕事に移りました。
この映画はフランスで撮影され、スタッフも俳優陣もすべてフランス人という非常に珍しい作品です。映像があまりにも美しく、まるで全編、絵画を見ているような感じを受けました。
それにしてもコンスタンスちゃんのカワユイこと!顔の幅は私の半分くらいしかないし、肩をすくめてクスッと笑う仕草の愛らしさと来たら!!そしてタハール君はここ最近、大物監督からのオファーが殺到していて、今後、大スターになることは間違いない。
で、言うのもなんですが、フランス語と英語の両方ができたのがこの映画の場合は功を奏しました。おかげでフランスの俳優さんやプロデューサーさんたちとも大盛り上がりして、大変楽しいお仕事となりました。
しかし何よりも感激したのは黒沢監督の素晴らしいお人柄。そして颯爽としたオシャレな風貌。映画祭のフォトセッションに引っ張りだこで、BBCの出張スタジオなどにも出向くと、俳優顔負けのポージングをさっとやってのけられるところが印象的でした。いつも「撮る側」にいらっしゃるからか、写真家から何を求められているのかが分かるのだそうです。うーむ、なるほど。
さあ、そして昨日が最後の映画でしたが、これは若手の実力派、深田晃司監督の『淵に立つ』でした。
この作品は今年のカンヌ映画祭の「ある視点」部門で審査員賞を獲得している話題作です。
黒沢監督とタハール・ラヒムと一緒にディレクターズ・ディナーで和む深田監督
見ている間中、ゾワゾワとする作品で、二時間があっという間に過ぎていった気がしました。俳優陣(古館寛治、筒井真理子、浅野忠信)の演技が素晴らしく、プロットの綿密な構成も相まって、おそらく大ヒットするのではないかと個人的には予測しています。
英語のタイトルは「HARMONIUM」(=オルガン)
上映後の質疑応答では監督さんの明かす様々な工夫に観客が唸り、ものすごく密度の濃いセッションとなりました。その分、通訳も大変でしたが、なんとか終了。
この後の夕食会では監督さんとまたまた北米や日本の社会問題について議論をする機会があり、とーっても楽しい時間を過ごさせていただきました。これからもたくさん、良い作品を撮ってまたトロントに戻ってきてくださることを期待しています。
これにて私の2016年トロント国際映画祭は幕を閉じたのでした。