小心者のファンには嬉しい「クラッチ・パフォーマー」(その2) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...






ちょっと時間がかかりましたが、「クラッチ・パフォーマー」(その1)の続きです。


その前に補足ですが、カナダのワールド代表メンバーの選考基準に関して、


そもそもナショナルズの直後にそのラインナップが公表されていることから見ても:




https://skatecanada.ca/2016/01/9998/




カナダ選手権をはじめとして、色々と考慮した結果、こうなります」

っていう意味合いが強いと思います。


一応、文書の上では2016年の四大陸選手権も選考基準の内に入っていますが、メンバーの公表のタイミングからするとまだ開催されていない大会をどう基準に入れるのか?という疑問が浮上しますね。



実際にどのようなプロセスを経て、この度のメンバー変更に至ったのかは当事者のみぞ知る、というところだと思いますが、みんなにとって本当に心臓に悪い数週間ではなかったかとお察し申し上げます。


フィルス選手からニューエン選手への交代の他にも、ペア競技では今シーズン、とっても勢いのあったセガン&ビロドー組がセガン選手の怪我の回復が思わしくないためワールド出場を断念し、その代わりにムーアタワーズ&マリナロ組が出ることになりました。


喜びに浸る者の陰には涙を飲む者あり。


で、私は皆さまご存知の通り、こういったハラハラドキドキの展開はとっても苦手。


幸い、過去4シーズンは応援している羽生選手が「文句なし」といった感じで主要大会への出場権を獲得しているために心配無用で過ごさせていただいています。


そうなんです。


小心者でビビりのスポーツファンにとって、自分の応援しているアスリートやチームに関してこの

「文句なしに」

が当てはまるのはすごく嬉しいのです。


「押しも押されず」→「押しも押されもせぬ」
(↑ 早速ご指摘いただきました。にんじんさん、ありがとう!「押しも押されず」ってどー考えてもおかしいですよね。「押しも押されぬ」でさえも実は間違いらしく、正しいのは「押しも押されもせぬ」だそうです。勉強になりましたッ!)

「圧倒的な」



なんかも大好き。



僅差の勝負を争ってくれるのが醍醐味、とおっしゃる方もいるでしょうけど、私は違います。


原則として、スリルといった意味では試合の面白味が半減しても、好きなチームがボコ勝ちしてくれる方がずっと嬉しい。


昨年11月に一緒に観戦していたNHK杯での羽生選手のフリー演技について、うちの長男が「もうコールド勝ちでどう?」みたいな事を言いましたが、いえいえ、大差をつけてくれるのは大歓迎。


でも、羽生選手に限って言えば、ちょっとだけ心構えが変わって来た気がします。


どんな試合展開でもしっかりと見届けるのだ、と思えるようになったのです。(たぶん)


なぜなら、彼は私の様な怖がりのファンにさえも勇気を与えてくれる、究極の「クラッチ・パフォーマー(clutch performer)」だからです。


普段の試合での活躍はもとより、「ここ一番」と言う時に、周りの期待通り(あるいはそれ以上)のパフォーマンスを見せてくれる。そんな頼もしいアスリートを英語では「クラッチ・パフォーマー」と称します。


度々このブログでも引き合いに出していますが、陸上ではウサイン・ボルト体操なら内村航平女子テニスなら往年のステフィ・グラフホッケーなら(日本では馴染みが薄いかも知れませんが)シカゴ・ブラックホークスのキャプテン、ジョナサン・テイヴス

(この他の例として、皆様ご自分で思いつくアスリートの名前を挙げてみてください。)


制して当然、というような試合は「取りこぼさず」、ちょっと相手が強力かな、と思われる時でも終わってみたら圧倒している。もうこれ以上は難しいだろう、といった局面に限って驚くような快挙を遂げる。

(だから単に安定したパフォーマンスで淡々と、というのではなく、ドラマチックな場面を多々、提供してくれるのも彼らなのです)


そして何よりも「勝つ」ことに長けている。大事な試合で素晴らしいパフォーマンスを見せる選手なら他にもいるのだけど、クラッチ・パフォーマーはとにかく「勝つ」術が本能的に備わっているかのように、自分を、あるいはチームを勝利へと導く


そう、クラッチ・パフォーマーたちの特徴は:

They deliver.
彼(彼女)たちが結果を出す

ということ。


羽生選手は誰よりも「勝つ」という気持ちが強い。周りの誰が何を言うまでもなく、彼の中でその気持ちが燃え盛っているので、彼が勝負の場から怖気づいて引き下がるということはあり得ない。


四大陸選手権のチャン選手について)CBC解説に "It looks like he came to play" というのがあったけど、それを言うなら

"Yuzuru Hanyu always comes to play."羽生結弦はいつだって本気で、本調子で試合に挑んでくる


だから「頑張って」などという激励や、「大丈夫かな」などという心配は要らない。そんな段階はずっと前に通り越して、試合に臨む頃には彼はすでに私たちの手の届かないところに行ってしまっている。


(逆に「大丈夫か?」と心配されなくてはいけないのはうちの母を含めたファンの方だったりします。そんな場合は「阿修羅像」を拝みましょう。記事の末尾にもう一回、おまけで載せておきます。)


私たちはただ信じて、見届けるだけ。


そして試合が終わった暁には、彼を応援できたことを幸せに思いましょう。


ああ、私みたいな小心者のファンでさえも、こんなにえらく勇気のあるかのような事を言えるようにしてくれただなんて、


羽生選手はやっぱりすごいのだ。(あら、ちゃんと結論に到達したわ。)





**おまけコーナー**