2015年NHK杯CBC解説:羽生結弦FS(暫定版、追記あり) | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...




CBCの解説で羽生選手の2015年NHK杯のフリー演技をお送りします。
(動画はこちらにあるものをベースにしています。)


赤色はアンディ・ペトリロブルーがカート・ブラウニング紫がキャロル・レインです。

キスクラでスコアを待っている時のブライアンと羽生選手の会話についてはまだちょこちょこと手直しするかも知れませんのでコメントを下さる場合はその点、ご了承ください!

(追記その1:さきほどNBCの放送を見て、早速修正点がひとつ見つかりました)

(追記その2:色々と解説陣のコメントに関する私の「ツボ」を指摘したかったのですが、記事がすでに長いので別記事にしました。また、翻訳もそこかしこ直したい箇所が見つかり、それらに関しても別記事で説明しています。)


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As you mentioned Kurt, Yuzuru Hanyu taking to the ice here, admitted  that he had watched Boyang Jin’s short, and that’s what inspired him to  go out and have the skate of his life, where he set a  new world record  in the short. You wonder NOW, how that free skate will inspire him, here, in the free.
カートも言ったように、これから滑るユヅル・ハニュウはボーヤン・ジンのショートの演技を観た、と認めているそうで、それが自分の「一生に一度」の演技を引き出してくれたと言っています。ハニュウはそれで世界記録を更新したわけですが、今度は(ジンの)フリーがどのような演技を引き出してくれるのか、と考えたくなりますね。







Well, "if it isn’t broke why fix it?" And Yuzuru is skating really well, and winning, and yet, he’s planning some new tricks, today, more quads.
そう、「壊れていない物を直す必要はない」っていうことわざがあるけど、ユヅルは(ここのところ)良い滑りをしているし、試合にも勝ってるのに、それでも今日、新しい技を入れて来るつもりらしい。四回転を増やす、と。





(冒頭4S、4T、3Fが軽々と決まる)




On display here, besides jumps that are four revolutions, with perfectly  timed landings to continue the momentum, is a skater who’s on the top of his game, artistically as well, commanding YOU to believe everything he’s selling,  right now.
今我々が目の当たりにしているのは、四回転して、完ぺきなタイミングで着氷して、勢いを保っているジャンプだけではなく、現在、芸術面でも絶好調のスケーター。「あんた達!」って命令してるんだ。自分が主張していることをる全て、今すぐ、「信じろ!」って。





This program, choreographed absolutely to perfection by Canadian ice  dance legend, Shae Lynn Bourne. Stunning, stunning piece of work.
このプログラムはカナダの伝説のアイスダンサー、シェイリーン・ボーンが振り付けたもの。ただただ驚異的に美しい作品よね。


(後半、4T-3Tのコンビネーションが決まる)




Inspiration at work, third quad of the program, the Olympic Champion, stepping it up.
(ジンのフリーが)何を引き出してくれるかっていうことだったけど、ここで三つめのクワッド。オリンピック・チャンピオンが拍車をかけてきたね。





In the second half of the program everything  he does after that quad, including this combination, all gets a ten percent  bonus.
プログラム後半、つまりこのクワッド以降に跳ぶ全てのジャンプはこの(3A-2Tの)コンビネーションも含めて10パーセントの加点がつく。

It’s a game-changer.
(三つめの四回転をこのタイミングで入れて来た、ということは)このプログラムの様相を一転させる威力がある







Oh come on.
え、マジこれ。




(笑い)


Intricate footwork...
凝ったフットワークから..


Into a triple axel
トリプル・アクセルに入る、って。


Into a HIDDEN triple axel
「隠し」トリプル・アクセルに、だよ



(ステップシークエンス始まる。)




I know he’s skating at home but I don’t think that’s why the audience is behind him.
ホームで滑っているっていうのは分かってるけど、それだから観客が彼を応援してるわけじゃないよね。



We are watching the president, chairman and CEO of men’s figure skating, right here, right now.
私たちが今、ここで観ているのは男子フィギュアスケート界の社長、会長、代表取締役(的存在)だわ。



(演技終了)







When he’s ON, there’s no turning him off.
彼にスイッチが入っている時は、誰にも止めることができません。






Japan’s very own Yuzuru Hanyu, an Olympic Champion, a world champion, the first and only man to break the 100 point barrier in the short,  looking to become the first to break the 200 point barrier in the free.
日本のとっておきの選手、ユヅル・ハニュウ、オリンピック・チャンピオンにもなり、世界チャンピオンにもなり、ショートで初めて、未だに唯一人100点の壁を越えた男が、フリーで初めて200点の壁を超えようとしています。





Yeaaaaah, that’s exciting, that’s fun, but what’s happening to this young athlete right now is PROBABLY as good as winning the Olympics. 
いやまあ~、それ(点数の件)はそれでエキサイティングだし、楽しいだろうけど、今ここでこの若いアスリートに起こってることはたぶん、オリンピックで優勝することと同じくらい気持ちいいんじゃないかな。

When he won the  Olympics he didn’t have the skate of his life.
オリンピックで優勝した時、彼は「一生に一度」っていうような演技じゃなかった。

He’s AT HOME.
(しかも今回は)自分の国で、だから。




His megastar just went bigger, higher, stronger, faster,
ただでさえ超級の彼のスター(の輝き)がこれでもっと大きく、もっと高く、強く、速くなったね



SUPER NOVA!
スーパーノヴァ!(超新星!)





And this,  aaargh, look AT HIS FACE! This feels as good as an athlete can feel in their whole career, right now.
で、この、「グワアアア!」って、この顔を見てやって!この瞬間、アスリートにとってこれ以上の気持ちってないよ、競技人生を通しても。


And you can only have a couple of those skates in your career, every athlete will tell you.
競技人生でこういった演技は二度ほどあるかないかよね、誰に聞いてもそう言うわ。


A couple? I would have taken ONE.
二度?ぼくなら一度でもそういうのが欲しかったよ。


Yeah, exactly. And you'll always remember them.
そう、そう思う。そしてそういった演技のことは絶対に忘れないの。



(羽生選手、「ありがとうございました」と言っているのが写る)







Hmmm, Thank YOU very much, you’re welcome, That was an honor to watch.
(「ありがとう」って…)いや、こっちがありがとうって言いたいよ。どういたしまして。観ることができて光栄だった。


A great skate considering earlier at Skate Canada, he was sixth after the short program, disappointing for him, but bombed back to finish  second overall.
ちょっと前にあったスケートカナダではショートが終わって6位という、彼にとっては不本意な成績だったことを考えてもこの滑りはすごいですよね。(まあ結果的にはあの時も)二位に戻るほどの怒涛の巻き返しがあったんですが。





He’s just that, he’s just that good, okay? He finds the back outside running edge, as good as anybody.
もうさ、彼は、彼はもうそれほどすごいんだよ、いい?(ジャンプの後の)流れるようなバック・アウトサイド・エッジへの降り方、これは誰にも負けない。



Brian: "I  have no words"







Brian Orser claimed “I knew all along,  I had no worries”.
ブライアン・オーサーがずっと分かってたよ、心配してなかった、って言ってますけど。



Yuzu: "Amazing boy!"


“No worries”? I think he said he had no words.
「心配はなかった」?いや、「言葉がない」って言ったと思うよ。


Aha,
あ、なるほど。


Good thing he’s not commentating.
ブライアン、解説者じゃなくて良かったね。



(スロー再生始まる)




I think we ran out of superlatives for this program.
もうこのプログラムに関しては私たち、「最高の何々」っていう言葉を言いつくしたんじゃない?





I think Brian’s right, it really... and Shaelynn Bourne, congratulations. And here’s the thing with Yuzu, I choreographed for  him, and he actually listens to the choreographers. Very respectful, he’s curious to see what you have to offer to him, and then he finds HIS  little moments, where he’ ll come around the corner doing forward crossovers...
ブライア ンの言うとおり、もう本当に...で、シェイリーン・ボーン、おめでとう。ユヅに関してはさ、ぼくも彼のために振り付けたことがあるんだけど、彼はコレオ グラファーの言うことをちゃんと聞くんだよ。すごく敬意を示して、こっちが何を提供できるのかっていうのに興味を示す。でもそこから彼自身、自分の「キラ リとした瞬間」を創り出すんだ。例えばコーナーから前向きのクロスオーヴァ―をしながらやって来て。。。





THERE! That’s doing nothing and everything at the same time. Easy steps.
ほらここ!ここなんか「何もしてない」のに同時に「全てが込められてる」んだよ。簡単なステップなのに。


But the way he powers out of one corner, with his HEAD DOWN, staring at the ice, and on the music cue, comes around and pops his head on the note, THAT’S HIM! I bet that wasn’t Shae. I bet that ‘s  his instinct.
でも彼がコーナーから勢いをつけて滑って来る時、頭を下げて、氷を凝視して、そして音楽のキューと共に、回って来て、一つの音に合わせて
パッと顔を上げる時。あれは彼(の仕業)なんだ。賭けても良いけど、シェイ(のやったこと)じゃないよ。彼の直感がそうさせたんだ、って賭けても良い。

NOBODY in the business, right now, stands at center ice and does 'nothing', better than he does.
この業界で、現時点で、リンクの真ん中に立って「何もしない」(のに存在感を示す)ことにかけては、彼に勝てる奴は誰もいない。


Absolutely.
その通りね。


..And has the audience, before he starts.
そして観客を、演技が始まる前から、もう手中にしている。





But the back outside edge on his jumps... he UNFOLDS, in a way where that free leg actually accelerates him out of the jumps. Upper body quiet, calm, he wastes no energy
でもこのジャンプのバック・アウトサイドエッジ。。。彼はね、「ほどける」んだよ。あのフリーレッグがまさにジャンプの出口で加速させてくれるような形になってて。(その間)上半身は静かに、安定してて、無駄なエネルギーを一切使わない。



No wasted movement, or anything.
無駄な動きも何もないのよね。




Good lord! .
ああもう何というか。

Okay! Um, I’m done here, I think
よっしゃ、えっと、ぼくもうこれで今日は上がらせてもらおうかな


Well we need these marks to see if he’s going to make history again in the free program.
ええ、でも私たちは点数が出て、彼がまたこのフリー演技でも歴史に名を残すかどうか見届けないと。





Alright, so more excitement, more icing on the cake, let’s see
仕方ないなあ。じゃあさらにワクワク感を味わって、ケーキにトッピングを乗せるか。



Now it’s actually Canadian Patrick Chan who holds the record for the free at 196.75, he set that in 2013.
現在、フリーの最高記録を持っているのはカナダのパトリック・チャンなんですね。2013年に打ち出した196.75というスコアです。




Brian: "Oh boy"
「いやー、どうなるか。」
(ワクワクしながら待つ時のニュアンスで)

。。。

"Get ready."
「心の準備をして」
(↑このブライアンのコメントはNBCの解説よりそう、推察しました)

Yuzuru: "I'm not ready."
「ぼく、準備できてない。」


Brian: "I’m not ready!"
(笑って)「ぼくだって準備できてないし。」





And he SMASHES it! By 19.32 points.
そしてその記録をこなごなに打ち砕きました!19.32ポイントも上回って。





So we’re seeing the modern version of “6.0”, “6.0” “6.0”, and so on.
ってことは、ぼくたちは現代版「6.0, 6.0, 6.0.。。」を見てるってわけだ。


I think Brian wants to cry, tears of joy
ブライアン、泣きたいんじゃない?うれし涙。


You very rarely see a student of yours skate as well as that, and that’s, again, a privilege to watch. You’re just in AWE
自分の教え子があんなに素晴らしい演技をするのって、なかなか見る機会がないのよ。もう、見ることができたらそれは「名誉」ね。畏敬の念さえ抱くと言うか。



「ふおっ!!」




It’s history.
歴史的瞬間だね。


Absolutely.
その通り。









以上です。



また後ほど、追記で(特に下線部にしてある部分については)私なりの解説を加えるつもりですが、取り急ぎ、アップします。