2014年スケートカナダ二日目についての補足① | 覚え書きあれこれ

覚え書きあれこれ

記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...

(注:この記事のほぼ全文は帰りの飛行機の中で書きました。現在、家に戻っていますが、明日からは現実に立ち返って色々と家のことや仕事のことなどをしないといけないのでブログの更新がどうなるかちょっと予想がつきません。でもとにかく忘れない内になるべく書き留めます!)


すでに無良選手、宮原選手のフリー演技については直後の感想を書きましたが、ここでもう一度、2日目の様子を振り返ってみたいと思います。


スケートカナダは昨年もそうでしたが、フォーマットとしてものすごく密度の濃い、2日間で全競技を終えるというものです。(これに比べてスケートアメリカ は3日間に渡っていましたね。)そのため、ハビちゃんが嘆いた早朝練習、早い試合時間となったわけですが、観る側にすると本当に「お得感」満載の大会だと 思います。

もう、とにかくハイペースで物事が進むのです。

次から次へとトップレベルの選手が目の前に表れては演技を披露し、キスクラに座ってスロー再生に見入り、スコアを待って喜んだり落ち込んだり、そして舞台裏へと消えて行きます。

その分、裏方も慌ただしい。演技前はカーテンの後ろで準備を整える選手が見られるわけですが、緊張の眼差しで飛んだり跳ねたりする人、ただただ歩き回る人、コーチと最後の打ち合わせをする人、本当にそれぞれです。

私の印象に残っているのはアモディオ選手。彼はいつも音楽に体を揺らしてノリノリです。6分間練習の前に集合する選手たちをカメラが追うのですが、アモディオ君はそのカメラに向かって手で「ワーオ」みたいに掴む仕草(分かりますか?この表現で)をしてました。

そして表に出ていく時もちょっと劇的にカーテンを「ブワッ」と開けて登場していました。私はこの選手、他の選手とは全く違う、独特のカラーを持ってて好きだなあ。

さて、演技が終わると可愛らしいスケート少女たちがリンクを走り回り、花やプレゼントを拾う。これらが大きなビニール袋に入れられて選手のいるバックス テージ()に運ばれるのですが、時には選手がすでに控室に入ってしまっていたりします。持ち場に早く戻らないといけない女の子が途方にくれているのを見か け、代わりに袋を受け取り、コーチや連盟の役員に渡してあげます。

ちなみに日本では時々この場所を「バックヤード」と言っているのを見かけますが、英語ではそう言うのをあまり聞いたことがありません。バックヤードとは「裏庭」、あるいは比喩的には「自分の家」とか「地元」という意味なので…)



カナダ人の選手、アメリカの選手、そして日本の選手たちはそれぞれの国のテレビ局がブースを設けて待ち受けているので、ほぼ必ず、そこへと案内し、その後 は他の記者が待ち構えるミックスゾーンに向かいます。あまり会心の演技が出来なかった時はこれも酷なおつとめなのでしょうが、かと言って全く誰からも取材 のお声がかからないのも寂しいものなのかな、と思います。


昨年のミックスゾーンはとにかくすごい混みようで、各国の記者が2列3列に重なっていましたが、今年はたいてい、日本のメディアは時事通信ともう一社、そ れにカナダのベヴァリー・スミスさん、という顔ぶれでした。なんという違い。この記者さんたちは選手の演技をモニターで観ることが多いのですが、即座に出 るスコアの詳細も見れるのが良いようです。選手たちも熱心にそのモニターを観ます。

思い起こせば無良選手は昨年もスケートカナダに出場していて、この時は少し残念な結果と相成りました。その様子をよく憶えています。そんな意味でも今年の素晴らしい演技は彼にとって感慨深かったのではないでしょうか。

私の印象では今大会、観客の反応が一番、凄まじかったのは無良選手のフリーの後でした。

単純に歓声の大きさ、という意味ではカナダのスター選手であるペアのデュアメル&ラドフォード組、そしてアイスダンスのウィーヴァー&ポジェ組に対するものも同じくらいだったかも知れませんが。これはある意味、自国贔屓も相まって当然のことでしょう。

けれども無良選手へのスタンディング・オベーションはそのような「PREORDAINED(起こることがあらかじめ分かっている)」ものではなく、完全に「SPONTANEOUS(自発的・突発的)」でした。

プログラムの途中から観ている側が「これはドえらい事が目の前で繰り広げられている」ということを察知し、興奮が否が応でも増していく「あの感覚」を体験させてくれたのです。

そして演技が終わると席から弾き出されるように皆が立ち、怒涛の拍手と歓声。

(さきほどTSNの放送を録画したものを見ましたが、トレイシー・ウィルソンさんとロッド・ブラックさんの解説で無良選手のフリーは「THE SKATE OF HIS LIFE」と称されていました。ニュアンスとしては「一世一代の」とか、いわゆる「神」演技ってことですね)

後にメディアセンターでスケートカナダ(連盟)の広報関係者たちと話をした折、Eさんは「タカヒトの演技と、キスクラでの反応には鳥肌が立った」と言い、

「ああいうプログラムが大会中、一つでも出てくれることが主催者側としては夢なんだけどね」


と続けました。

つまり会場にいた人たちがほぼ全員「あの演技は凄かった」と後々も口をそろえるようなプログラムが出ると、大会の成功に大きく貢献する、ということだと思います。

なお、私がEさんの言葉を無良選手と(日本の)連盟の方に伝えたところ、つい「鳥肌」を「寒イボ」と表現してしまい、速攻で

「関西の方ですか?」


と聞かれてしまいました。バレたか。

でも本当に凄かったのです。おそらく無良選手の「ファントム」は今大会のハイライトとして記憶されるでしょう。

男子フリーの記者会見についてはすでに少しお伝えしましたが、憶えていることを付け加えると、アーロン選手は「この場に彼ら(無良選手とフェルナンデス選 手)と同席できるのを光栄に思う」と言ったあと、自分がとても気持ちよくフリーを滑ることが出来たとまず語り、会見中、ずっと笑顔でリラックスした様子で した。

フェルナンデス選手はシーズン始めにしてはまあまあの出来だったこと、もちろん満足はしていないけれど、昨年はGPSでの成績が3位と5位だったので、2位ってことはそれよりも良い、と言ってました。

GPFが自国で開催されることで余計なプレッシャーがあるかと聞かれると、全く意識していないわけではないけれど、かと言ってそれが今大会に影響したとも思えない、ということでした。

そして例の「早起き苦手」発言。

質問をしたベテランのイギリス人女性記者が鋭くハビちゃんの不調の原因を突いたわけですが、これには他の二人の選手も、記者たちも大笑い。

6時半からの練習開始なの に、「起きたのは6時10分だった」と明かしていました。(まあ厳密には第二グループの練習開始は7時頃だったんですけどね。)起きないと、と思ってるんだけどつ いまた寝てしまう、という感じだったそうです。

後で考えるとよけい、可笑しいのですが「スペイン人だからかも知れないけど」と彼は言ってたものの、トロントからやってきたのだから、ケロウナの午前6時は彼にとって9時の感覚のはず(私は毎朝4時頃に勝手に目が覚めてました)。

それをあたかも異様な早起きのように言ってるのですから、普段はどんだけ朝寝坊やねん、と笑えました。

まあとにかく、ブライアンコーチもハビちゃんも、初戦なんだから2位でOKと思っているようです。次のボンパール杯ロステレコム杯(ご指摘いただいて訂正しました。ありがとうございます!)にきっと調子を上げて来るでしょう。

ところでTSNのホームページに掲載されているデトロイト・スケーティング・クラブブライアン・オーサー、ハビエルについての特集ビデオは日本からも見れるのでしょうか?

ここにはたくさんのビデオがあり、テッサとスコットがこのブログでもご紹介している舞台裏の様子を解説している楽しい動画が満載です。ぜひご覧ください。

とりあえず、ここでいったんアップします。