そばつゆの味 | 覚え書きあれこれ

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記憶力が低下する今日この頃、覚え書きみたいなものを綴っておかないと...


今日は夕飯にそばを作りました。

茶そばをゆでて、大きなだし巻き、鶏ササミとたたききゅうりの辛味和え、そして白身魚のしそ巻き揚げを食卓にだしました。

うちの家族はカナダにいながらにして和食等です。

さて、そばつゆを作る時、いつも参考にするのは私がカナダに来て間もない時、とってもお世話になったUさんのアドバイスです。

Uさんは旦那さんの駐在に伴ってカナダにいらしたのですが、ご実家が東京でお惣菜屋さんをしていたこともあり、すばらしく料理上手な方でした。

中でも彼女の作るトンカツは絶品で、そこいらの定食屋顔負けでした。そして必ず食事の最後にはおそばが出てきて、それがまた美味しいのなんの。

Uさんのそばつゆは、もちろんしっかりと昆布と荒削りの鰹節でとった出汁がベースでしたが、調味料の割合が醤油1、みりん1、出汁が4、でした。

まず醤油を鍋で煮立てて、香りが出たらみりんを加える。ちょっと煮て、そこに出汁を加える。また少し煮て、火を止める。

タッパーなどの容器に入れて、少なくとも一晩、冷蔵庫で寝かせる。

こうやって作ったそばつゆは本当に美味しかったです。

私は急いでいる場合、ここまで丁寧に寝かせたりしませんが、割合だけは未だに守っています。

さて、Uさんの美味しいそばつゆも記憶に残っているわけですが、不思議なことに過去に出くわしたすんごい不味いそばつゆの味も鮮やかに憶えています。

私がまだ7才か8才のころ、パリで同じ日本人駐在員のNさんのお宅で、びっくりするほど甘い味噌汁やおそばをいただきました。あれはいったい何だったのだろう、と今でも思ったりします。

そしてなぜか同じくパリですが、15年ほどのち、今度は兄が駐在していた時に大学院生だった私が遊びに行きました。そして兄の知り合いのMさんのお宅で、衝撃の不味いそばつゆに遭遇しました。

Mさんはパリに美術史を勉強しにいらしていた女性で、とっても美しいお嬢さま。料理上手とかいうことで私はいそいそと彼女のアパートを訪れました。

「お昼時だから軽いものにしたわ」とMさんが出してくれたのがザルそばでした。

まあそういうのも良いか、と思って箸をつけようとしたとき、そばつゆがやたら薄いことに気付きました。

それはまだがまんするとしましょう。

しかしMさんは私の意見も聞かずにいきなり

「生卵を入れると美味しいのよね」

と、その薄いつゆに全卵を入れるではありませんか。

しかたなしに何とかその卵をかき混ぜましたが、出来上がったつゆは灰色で、ますます食欲が失せました。

どうやって割り当てられたおそばを食べ終えたのかは憶えていません。

そんなことを思い出しながら、Uさん直伝のそばつゆで美味しく今晩のおそばをいただきました。