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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023)

2016年のテレビドラマ、ゆとり世代を描いた『ゆとりですがなにか』(全10話)、その続編のスペシャルドラマ『ゆとりですがなにか純米吟醸純情編』(全2話)のそのまた続編。

 

監督 水田伸生(『あやしい彼女』、『ゆとりですがなにか』シリーズ、他)

脚本 宮藤官九郎(『土竜の唄』シリーズ、『いだてん』『不適切にもほどがある!』『あまちゃん』『『タイガー&ドラゴン』『新宿野戦病院』『IWGP』他)

音楽 平野義久(『ゆとりですがなにか』シリーズ、他)

 

岡田将生、松坂桃李、仲野太賀、柳楽優弥、安藤サクラ、吉岡里帆、青木さやか、佐津川愛美、島崎遥香、手塚とおる、高橋洋、でんでん、上白石萌歌、吉原光夫、矢本悠馬、加藤諒、加藤清史郎、厚切りジェイソン、新谷ゆづみ、林家たま平、徳井優、佐久間由衣、木南晴夏、中田喜子、吉田鋼太郎、原扶貴子、少路勇介、長村航希(おさむらこうき)、小松和重、他。

 

ゆとり世代も三十代半ばとなった。

居酒屋チェーン店を展開するみんみんホールディングスの社員だった坂間正和(岡田将生)は、結婚して実家の酒造を兄夫婦(高橋洋、青木さやか)と共に経営している。宣伝活動に精を出すものの、日本酒の需要は減る一方の上、ずっと取引していた元の職場でもある居酒屋「鳥の民」が韓国企業に買収され韓国焼肉店「豚の民」と名を変え、日本酒ではなくこれからはマッコリをメインにしていくという。どうにか繋ぎ止めたい坂間は、スーパーバイザーのチェ・シネ(木南晴夏)の要求に応えるべく奮闘する。その一方で妻茜(安藤サクラ)とのセックスレスも気に病んでいる。

小学校教諭の童貞こじらせ男山路一豊(松坂桃李)は、相変わらずレンタルおじさん麻生(吉田鋼太郎)を頼りにしつつ、婚活どころか交際にも発展しない失敗を繰り返しながら、外国人の生徒と保護者に悩まされている。

坂間の後輩社員だった山岸ひろむ(仲野太賀)は、「豚の民」の店長も兼任する営業係長となり、Z世代の新人にしてやられてる。ただ、彼女冬みん(佐津川愛美)とラブラブなのが救い。

ユカ(瑛漣)の母国中国でのエビチリ事業に失敗した道上まりぶ(柳楽優弥)は帰国して坂間のもとで働き始めるが…。

 

お馴染みの登場人物によるドタバタ劇に、昨今問題視されてる社会の風潮など(待機児童、リモート&オンラインショップ文化、ユーチューバー、働き方改革、セクハラモラハラパワハラ、LGBT教育、外国人在留支援NPO、グローバル化の弊害、中国のパクリ文化=躍進…)をさらっと取り込み、風刺にもなっているクドカンらしいお話と展開。

 

面白かったのは、元教育実習生で山路が想いを寄せていた佐倉悦子(吉岡里穂)がコロナで帰国がままならなくなった外国人の世話をしていて、彼女彼らの国民性、文化による愛の表現、その価値の違いで、日本の風土から育つ特性になるほどなと思った。

 

メインの三人のキャラが濃くなっている気がする。そこらへんからコメディに力が入ってるのがうかがえる。もちろん素で笑い声が立つ。面白かった。

 

木南晴夏の韓国語なまりの日本語イントネーションがめちゃくちゃナチュラルでうまかった。名前の「チェ・シネ」も笑いのネタで、言語の違いは面白いなと思える。

坂間酒造杜氏の服部吉原光夫なの、もったいないなぁと思いながらも最高だった。

みんみんホールディングス新人加藤清史郎。ちょい出なのに印象に残る。良かった。

 

★★★★

 

 

 

制作 日テレアックスオン

配給 東宝

 

 

『バタアシ金魚』(1990)

原作は望月峯太郎の漫画。

 

監督・脚本 松岡錠司(『東京タワー』他)

 

筒井道隆、高岡早紀、白川和子、浅野忠信、東幹久、大寶智子(おおたからともこ)、土屋久美子、伊武雅刀、いしかわじゅん、桜金造、山村美智子、橋本真由子、佐藤オリエ、安原麗子、他。

 

高校生のカオル(筒井道隆)はある日、水泳部のソノコ(高岡早紀)に一目惚れをする。近づきたい一心で水泳部に入部するものの、カオルはカナヅチだった。そこで子供たちに水泳を教えてる通称ババア(白川和子)のスイミングスクールに入り、ババア宅に合宿する勢いで訓練に励むが、そう簡単にうまくならない。しかも、持ち前の陽キャを発揮してソノコに猛アタックするも手応えが得られない。さらに水泳部イチのモテ男永井(東幹久)を見るソノコの目が違う…と、永井を意識するカオルに、水泳ではライバル校になる牛川工業高校のキャプテンウシ(浅野忠信)もまたソノコに一目惚れをしており、恋のライバルに加わる。

とはいえ、カオルも捨てたもんではなく、バイク屋のプー(土屋久美子)にモーションをかけられている。

しつこいほどのカオルの押しにソノコは心身に異常をきたし、カオルを避け始める。そうとは知らないカオル、久しぶりに会うと、ソノコはとんでもないデブになっていた。ちょうど新人戦敗退し、落ち込んでいる時に、自分のせいでソノコがここまで悩んでいたと知り、身を引くことを伝える。ところがそれが幸いし、ソノコは本当の自分の気持ち、なぜ心のバランスを崩してしまったのかに気づく。本当はソノコはカオルを好きになっていたのだ…。

 

ハッピーエンドのラブコメ。

感情の流れがわかりにくく、それはおそらく時代性があると思う。当時はこれで充分伝わったんだと思う。だけど、今こうして見ると、白川和子でさえ下手に映る。

でも筒井道隆のおどける表情は良いものが多かった。主演だものな。高岡早紀はかわいいし(顔が小さくて頭身バランスが秀逸)。

 

高岡早紀も筒井道隆も、浅野忠信に至っては驚くほど幼くて新鮮だった。伊武雅刀も若い。当たり前だ、30年前だ。

アイテムで懐かしいなと思ったのはクラスバッチ。私が中高生の頃は黒か紺のフェルトに校章とクラスバッチをさして、制服の胸ポケットに付けていた。今はないみたいだけど、小学校の時は学校名の入った名札着装が必須だった。これらがなくなったのは物騒になったからなのかなぁとぼんやり思っていたけど、どうなんだろう?

黒板消しをパンパンとはたくのも懐かしい。高校くらいで自動粉取りが登場したけど。

言葉で懐かしかったのは、「ばかやろう」を「バッキャロー」とか「バーロー」と言う台詞。今聞くとゾッとするほどカッコ悪いけど、昔は流行っていた。

でも、飲酒は許されてなかったのでは…?(劇中ふつーにビール飲んでるのだが…)

 

懐かしいという意味では面白かった。

 

★★★

 

 

 

 

 

 

 

『台風クラブ』(1985)

監督 相米慎二(『セーラー服と機関銃』他)

脚本 加藤祐司

 

工藤夕貴、三浦友和、三上祐一、大西結花、紅林茂、松永敏行、会沢朋子、天童龍子、渕崎ゆり子、鶴見辰吾、寺田農、尾美としのり、小林かおり、石井富子、佐藤允、伊達三郎、他。

 

よくつるんでいる中学3年生の女子5人と、男子3人の台風の前々日から翌々日までのお話。多感な思春期の真っ只中、興味の矛先は性に向かい、現状自身へのもどかしさ、鬱屈した感情が非日常性の台風によって爆発する。

 

高見理恵(工藤夕貴)は同じ団地に住む同級生三上恭一(三上祐一)となんとなくいい仲。でもなんだか物足りない関係にモヤモヤがつのる。三上が東京の高校へいくというのも気に入らない。その三上は野球部で成績も優秀、モテる。一歩先を行く理恵の言動がわからなくなっていた。同じクラスの真面目な優等生大町美智子(大西結花)は三上に恋している。その美智子も人気で、三上と同じ野球部の清水健(紅林茂)は美智子に想いを寄せている。健は家庭に恵まれておらず、自分の感情をコントロールできずに、美智子を傷つけてしまう。そのせいで美智子は健を毛嫌いするようになる。美智子に好意を持つ男子がもう一人。健と三上と仲が良いクラスメイトの山田明(松永敏行)。明るいお調子者キャラでいじられやすい。物語の発端である夜のプールでのハプニングの当事者。そのハプニングの原因を作ったのは理恵、美智子の他、演劇部の森崎みどり(渕崎ゆり子)宮田泰子(会沢朋子)毛利由美(天童龍子)。みどりはその窮地に三上と健を呼びに行く。そして泰子と由美は恋仲…。

彼女彼らが台風の日、一日をどう過ごしたかが描かれる。

また、担任の教師梅宮(三浦友和)の恋人問題もクラスで赤裸々になるなど、教師とはいえ人間であることが泥臭く描かれている。

 

健の境遇が酒飲みの父親との二人暮らしな上、ほったて小屋のような一間の家に住んでいる。口癖のように「おかえり」「ただいま」を繰り返すシーンは物悲しい。そんな健が出来心で美智子に火傷を負わせてしまうのだが、あんなことされたら嫌悪感でいっぱいになるのもわかる。でもその嫌悪感が健を更なる非道へと誘引する。美智子にとったら恐怖だ。一生忘れられない傷になるだろうに、なんと、台風の中、彼女彼らははしゃぎ回って全てをなし崩しにする。その寛容さはどこからくるんだろうと不思議だが、やはり台風という非日常性がそうさせたのかもしれない。健の美智子への行動も台風のせいもあるだろうし。

終始同じテンションを保っているのがみどりだった。常に自分がどうしたいかだけで、あまり他人に興味がない、影響を受けない子なのかもしれない。自己肯定感が一番高いように思った。

逆に三上は他人の影響を受けやすいナイーブな子なのかもしれない。だから最後あんな行動を取る。

早熟なのは泰子。由美は流されるタイプだろう。

理恵は素直で芯の強い子のイメージ。台風の日、学校へは行かず原宿へ出てナンパされる。でも結局暴風雨の中帰路を目指す。何事もなかったからこそ、月曜日に、同じく台風の日を学校で過ごさなかった明と明るく登校できるわけだ。休校なのに。

そうだ、夜のプールで明が女子にされたことは、一歩間違えれば死に至ることで、今の認識だといじめの部類に入る。でも、彼らの間にはそういう認識はない。悪ふざけでしかない。悪ふざけといえば、喫煙もしている。今どきのドラマや映画で未成年の喫煙や性行為、いじめなど真正面から肯定的に描くものがあるだろうか。当時なら許されていたのかというと、そんなこともないだろうから、かなり大胆に攻めた作品だ。

でもまぁ、時代によって、また物語の登場人物によってこんなに認識に差があるのかと、改めて思った。

面白かった。

 

工藤夕貴は好きなほうで、昔観た『ミステリー・トレイン』はとても良かった。

 

挿入歌にバービーボーイズの「暗闇でDANCE」「翔んでみせろ」があって懐かしかった。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

 

『告白 コンフェッション(2024)

原作は福本伸行(原作)とかわぐちかいじ(作画)の漫画。

 

監督 山下敦弘(『マイ・バック・ページ』『味園ユニバース』『オーバー・フェンス』『ハード・コア』『カラオケ行こ!』他)

脚本 幸修司高田亮(『そこのみにて光輝く』『銀の匙』『オーバー・フェンス』『きみはいい子』『猫は抱くもの』『まともじゃないのは君も一緒』『ボクたちはみんな大人になれなかった』『さがす』『死刑にいたる病』他)

 

生田斗真、奈緒、ヤン・イクチュン、他。

 

大学時代山岳部だった浅井啓介(生田斗真)リュウ・ジヨン(ヤン・イクチュン)は親友同士。16年前卒業登山で出かけた山で、当時浅井と交際のあった西田さゆり(奈緒)が行方不明となり、そのまま事故死と片付けられた。17回忌となる今回、慰霊登山に二人で出かける。しかし冬山、吹雪に遭い、怪我もしたジヨンはここまでと死を覚悟し、浅井に16年前さゆりを絞殺したことを告白する。ずっと罪の意識に苛まれていたジヨンは、それが死であろうとようやく苦しみから解き放たれると安堵する。しかし、浅井が山小屋を見つけ、命をつなぐ可能性が出てきた。

山小屋に二人きりとなり、外は猛吹雪、翌朝まで救助隊は期待出来ない。そんな状況下、いったいなぜジヨンはさゆりを殺したのか、なぜ自分に告白したのか、何か裏があるのではないか、浅井は疑心暗鬼になっていく。そして極限状態に陥り、心の奥底に秘めていた真実が浅井の感情を狂わせる…。

 

スリラー。

無理が見えたので流れは想像がついた。でも、話としては面白かった。

 

原作未読で言うのもなんだけど、漫画の方が面白いんじゃないかな。小説も漫画もオリジナルアニメも、実写化してはいけないものというのがあって、これはそれだと思う。いけないというとキツイか。実写化して別物になり違う価値が出るものと、その逆があって、この作品は後者のような気がする。漫画でも、ネームと人物の表情の間に余白がある分、読み手の想像力が働き、深さが増す。映像化はその余白がなくなる。

面白いから、好きな作品だから、大人の事情からと、なんでもかんでも映像化、実写化すりゃいいってもんじゃない。

 

生田斗真は作品にあまり恵まれないなぁ。いいキャラクターはあてられてるし、魅力もあるのだけど、話とのバランスがなぜかとれない(個人の感想です)。

 

主題歌マキシマムザホルモン「殺意vs.殺意」「共犯:生田斗真」バージョン)が良かった。

 

★★★

 

 

 

 

配給 ギャガ

 

 

『おいしい給食 Road to イカメシ』(2024)

監督・脚本 綾部真弥(『おいしい給食』シリーズ、他)

企画・脚本 永森裕二(『新宿パンチ』『おいしい給食』シリーズ、他)

 

市原隼人、大原優乃、田澤泰粋(たざわたいき)、栄信、いとうまい子、六平直政、石黒賢、高畑淳子、小堺一機、藤戸野絵、佐藤大志、他。

 

1989年、無類の給食好き甘利田幸男(市原隼人)は函館市の忍川中学校1年1組の担任で最後の学期を迎えていた。相変わらず給食時になるとテンションが異常に爆上がりする甘利田。クラスでは、勝手にライバル視している同じ給食好きの生徒粒来ケン(田澤泰粋)との密かなバトル、給食が食べられない生徒峰岸マルコ(田口ハンター)、その生徒を気遣う比留川愛(大原優乃)先生の姿があり、学芸会に披露する甘利田オリジナル脚本の食(カレー)を題材にした演劇の練習が続いていた。

そんな中、給食完食、黙食を掲げる等々力町長(石黒賢)の選挙PRに忍川中学校が選ばれ、1年1組の等々力町長の食育実践もようをテレビ放送することになり…。

等々力町長とは食への考えが違う点からも険悪な関係になるものの、甘利田はもちろん、生徒たちの意見、学芸会の演目を経て、等々力町長の考えが柔和になっていく。また、峰岸もこの一連の出来事から給食が食べられるようになる。

 

タイトルにある通り、甘利田が北の大地への異動に期待していたのは、イカメシの給食だった。物語の中でイカメシを食べ損なってトラブルになったりするものの、最後には給食で堪能する。その時、ようやく、粒来の給食に向き合う真意を知るという、先生(大人)とはいえ生徒(子供)から教えられることもあるということが優しく描かれている。大人は忘れてしまっているのだ、子供だった頃を。

峰岸のエピソードも良かった。

 

普通ならうざくなりそうなオーバーアクションが、市原隼人のキャラなのか甘利田だからなのか、クセになるほど面白い。

粒来とのバトルだけかと思うところ、教室の端っこ、何かと見切れる位置で第二の甘利田になるんじゃないかというくらいアクションが特徴的な丸本米子(藤戸野絵)が居る。このまま終わらせてしまうにはもったいないキャラクターだ。ドラマSeason4もあるだろうか?

 

ネタバレだが、黍名子中学の同窓会もあり、全生徒とはいかなかったが、成長した神野ゴウ(佐藤大志)には会う。うまくいけば教育実習は5年後。

それと、話の中で比留川先生への恋心も少し描かれるが、成就とまではいかない。比留川先生が父の赴任する沖縄に転任してしまうからだ。そこで、比留川は甘利田ねへ沖縄には名物ポークたまごおにぎりがあることを教える。もしかしたら次は沖縄か?

 

初回からのキャラクター、給食のおばちゃん牧野文枝いとうまい子。駄菓子屋のおばあさんサキ高畑淳子。忍川中学校長坂爪勲小堺一機。同僚体育教師木戸四郎。PTA役員白根澤仁六平直政

 

★★★★

 

 

 

 

制作 メディアンド

配給 AMGエンタテインメント、イオンエンターテイメント

 

 

 

 

『極悪女王』(2024)Netflixドラマ全5話

企画・脚本・プロデュース 鈴木おさむ(『先生を消す方程式。』他)

 

監督 白石和彌(『日本で一番悪い奴ら』『彼女がその名を知らない鳥たち』『サニー/32』『止められるか、俺たちを』『凪待ち』『ひとよ』『死刑にいたる病』『孤狼の血』シリーズ、他)、茂木克仁

脚本 池上純哉(『任侠ヘルパー』シリーズ、『日本で一番悪い奴ら』『孤狼の血』シリーズ、他)

監修 長与千種

 

全日本女子プロレスでヒールとして名を馳せた極悪同盟ダンプ松本の物語。でありながら、全女の内情、プロレスのエンタメ性、レスラーたちの夢や苦悩、理想、友情、ダンプ松本、長与千種の家庭の親子愛も描かれる。

 

やりやんレトリィバァ、唐田えりか、剛力彩芽、仙道敦子、野中隆光、西本まりん、鴨志田媛夢、芋生悠、村上淳、黒田大輔、斎藤工、音尾琢磨、水野絵梨奈、えびちゃん、隅田杏花、根矢涼香、Maria、堀桃子、犬飼直紀、田畑智子、さとる、柚穂、永尾柚乃、宮崎吐夢、美知枝、水波綾、門倉凛、安竜えらら、鎌滝恵利、ANNA、プリティ太田、野澤健、ミスター・ブッタマン、Anabel Ramos、AKARI、花屋ユウ、へんみのぶあき、赤ペン瀬川、清野茂樹、神宮寺しし丸、フェルナンデス直行、石神まゆみ、枝光利雄、しおつかけいいちろう、池浪玄八、他。

 

酒乱かつ暴力をふるう父親(野中隆光)はろくに働きもせず家に居つかず外に女も子供もいる。たまに帰ってくれば金の無心。母親(仙道敦子)はそんな夫でも別れず主に内職で家計をやりくりしているが、そんなものでは足りないから、小学生の松本香…後のダンプ松本(さとる/ゆりやんレトリィバァ)と妹の広美(柚穂/西本まりん)は空き瓶を集めては金に変えてお小遣いを得ている。そんな貧しい家に育つ香。

ある日、香は全日本女子プロレスが興行を行う体育館でその練習風景を目にし、女子プロレスに惹き込まれ、当時人気を博していたビューティ・ペアのジャッキー佐藤(鴨志田媛夢=かもしだひとみに夢中になる。中学卒業後は母親のツテでパン屋への就職が決まっていたため、一度は諦めたものの、女子プロレスへの憧れは消えることなく、やはりとオーディションに走る。一番出来なかったが運良く合格し、練習生として寮に住みトレーニングが始まる。

同期には後のクラッシュ・ギャルズ長与千種(唐田えりか)北村智子後の同じくクラッシュ・ギャルズライオネス飛鳥(剛力彩芽)本庄ゆかり後のクレーン・ユウ(えびちゃん)、後のダイナマイト・ギャルズ大森ゆかり(隅田杏花=すみだきょうかがいた。また、先輩にはジャッキー佐藤、実力派ナンバーワンのジャガー横田こと横田利美(水野絵梨奈)、後のダイナマイト・ギャルズジャンボ堀こと堀あゆみ(安竜えらら=ありゅうえらら、ブラック・デビル軍団のリーダーデビル雅美(根矢涼香=ねやりょうかマナ猪瀬(Maria)などが在籍していて、その中でベビーフェイス(いわゆるヒーローチーム)とヒール(悪役)という対立構造が作られていた。

香は長与千種と共に落ちこぼれだった。互いに励ましあい交友を深めるのだが、ただ、千種は空手経験者であり、千種も不幸な家庭環境にあり退路を絶っていた分、ハングリー精神が強く何としても成功を勝ち取る気合が香より高かった。やがて千種はベビーフェイスに配属され、クラッシュ・ギャルズで国民的人気を得て実力も認められていく。取り残された香はヒールに配属されたものの相変わらず伸び悩んでいた。そんなある日、親友だと思っていた千種のインタビュー記事でショッキングなコメントを見つけたこと、父親の詐欺まがいのトラブルと言いなりの母親への怒りで、香の中で張り詰めた糸が切れたかのように、突然ヒールキャラクターが誕生する。

クレーン・ユウと共に極悪同盟を結成し、リングネームもダンプ松本に変え、武器を使った反則技やり放題の全女史上最高のヒールとなる。その後ブル中野こと中野恵子(堀桃子)も入り、流血が当たり前、レフェリーもグル、場外乱闘もお約束、この悪どさがよりベビーフェイスたち、ことクラッシュ・ギャルズの人気に拍車をかける。ダンプ松本が嫌われれば嫌われるほどプロレスは盛り上がるのだった。

一方で香の家族は肩身の狭い思いをし、広美はグレてしまう。けれど、家族は香の稼ぎで生活出来ているわけで、なんだかんだありながらも最後には家族愛に包まれ、リングの上では同志愛に包まれる…。

 

流れとしてはジャッキー佐藤とマキ上田(芋生悠)の引退をかけた試合(この理由と結果は知っていたけど、マキ上田が言い出し本気で挑んでいたとは知らなかった。出来レース、ブックとかいうものかと思ってた)、クラッシュ・ギャルズの誕生〜解散(ダンプとのシングルマッチで長与千種が負けて坊主頭にしたのも覚えてる)、ダンプ松本の引退までが描かれる。その中に全女の体質(経営者が兄弟とは知らなかった)、芸能・テレビ局の裏事情、レスラーたちの心情や友情(進退含む)、香と千種の家庭事情などがバランスよくわかりやすく描かれてる。

どこまで事実で、どこがフィクションなのか調べてないのでわからないけど、ダンプ松本がどれだけ人生を賭けていたか、同じく長与千種も本当にプロレスが好きだったのだなど知れて、もちろん他のレスラーたちの理想とするプロレスの形も知ることができて、エンターテイメントとはいえ、真摯に向き合っていたのがわかり、結果個人の人生観も垣間見え、面白かった。


優しさに包まれた世界で終わるストーリーが良かった。ビューティ・ペアから知っているのでなお、懐かしさもあって、楽しかった。

 

長与千種役の唐田えりかが素晴らしかった。表情もいいし、体作りもちょうどいいし、ライオネス飛鳥役の剛力彩芽のようにボディダブル(剛力彩芽のは門倉凛)は使ってないようだ(未確認)。スキャンダルで休む前は演技下手くそだったのに、今は、この作品の中では、一番良かった。これからいろんな作品に出てくるんじゃないかなと期待。

あと、芋生悠がやっぱりいい。

 

全女の会長松永高司村上淳松永国松黒田大輔松永俊国斎藤工。興行プロモーターでありレフェリーも務めた阿部四郎音尾琢磨広美の彼氏役に犬飼直紀神取忍役に水波綾父親の愛人役に田畑智子長与家の父役に宮崎吐夢役に美知枝


そういえば、ダフ屋がいたの懐かしい。今だと、コンプラだかポリコレだか映像化言語化出来ないものが多かったんじゃないかな。そんな中でもあれだけ出せたのはすごい。


★★★★★

 

 

 

 

 

 

 





【メモ】

今回のドラマについても語られていました。


ブル中野のチャンネル



長与千種のチャンネル


 

『ジャックフロスト』(2023)全6話

KADOKAWAのBLドラマレーベル「トゥンク」とのコラボ第6弾とのこと。放送は202302〜毎日放送「ドラマシャワー」枠。

 

原案 窓霜

脚本 安川有果(『Dressing up』他)、高橋名月(『左様なら、今晩は』他)、船曳真珠

監督 安川有果高橋名月

音楽 坂東邑真(ばんどうゆま)

 

本田響矢、鈴木康介、森愁斗、祷キララ(いのりきらら)、松本怜生、彩雪、星野奈緒、中村公隆、他。

 

文具メーカーの営業職に就く池上郁哉(鈴木康介)とイラストレーターの奥沢律(本田響矢)は恋人同士で一緒に暮らしている。律の誕生日を祝った日、ちょっとしたことで喧嘩になってしまう。郁哉は別れ話を持ち出し、律は勢い飛び出して行ってしまう。二人の間には性格の違いから鬱憤が積もり積もっていたのだった。

そしてその日、律が事故に遭ってしまう。身分証を何も待っておらず、なんとか弟の奥沢柊路(森愁斗)に連絡がいき、郁哉に知らせが入る。医師(中村公隆)には友人でありルームメイトと説明し、二人はマンションへ帰る。しかしどうも律の様子がおかしい。律は郁哉のこと、郁哉に関する全てを忘れてしまっていた。

自分に関することは何も覚えてない律を見て、もしかしたら穏やかな気持ちで、「好き」という気持ちだけで、最初からやり直せるかもしれないと郁哉はこれまでの恋愛関係を隠す。そして、初めて会った喫茶店、初めて二人で行った山中湖のロッジ、思い出をなんとなくたどりながら郁哉は再び律への想いを自覚し、律もまた無くなった記憶を取り戻す作業の中で郁哉へ再び惹かれていく。

そんな中、律の元カレ梶谷圭吾(松本怜生)が現れ、郁哉は動揺する。ちょうど郁哉が恋人同士だったことを隠していたことを知ったばかりの律は、嘘をつかれていたことが許せず関係が再び破綻へと向かう…。

 

 

 

 

いくら好きでも一緒に生活していると、相手のちょっとした癖や生活習慣の違いが目につくようになり、やがて気に障るようになる。それを乗り越えるのは何の力だろう、と考えさせられた。

思うに、自分の中で相手の存在がどれだけの大きさを占めるか、なのではないかな。つまりどれだけ大切であるか、必要であるか、またはいなくてもいいけどいると楽しい幸せだと感じるか、ではないかと。そうするとイラッとすることがあっても「まあまあ、それでも一緒にいた方が自分が楽しいんだから」と目を瞑れる。というか些細なことになる。

そもそも出自も違えば育った環境も違う、たまたま出会いなんとなく波長が合った赤の他人。人はまず自分ありきで物事をみる。

 

 

以下、ネタバレではあるけども、

まあ、復縁はする。実は初めて会ったのは喫茶店ではなく、大学時代、七里ヶ浜の浜辺で出会っていた…律はその時にすでに郁哉に恋をしていた。でも再会した時郁哉は自分のことを覚えてなかった。自分がイラストレーターになれたのはその浜辺で郁哉に勇気づけられたからだというのに…という自分も郁哉に隠し事があったというロマンチック、かつ恋心のもどかしさの設定があった。律が嘘を許せないのは元カレとの別れにも起因するという伏線もきっちり入っていて、なかなか愛おしい流れだった。

 

「両片想い」というらしい。

 

さてタイトル。最終話で喫茶店にいる律が、律を探して喫茶店のいつもの窓際の席の前に立った郁哉と、窓ガラス越しに会うシーンがある。窓霜がある。ジャックフロストは律だと思ってたが、こうなると、互いに言えるのかも。またはいたずらな妖精が二人を試したとも言える。なんにしろ、二人の冬は終わった。

 

二人のキャラクターがわかりやすく、気持ちも行動も納得のいくもので良いのだけど、映像も美しくて良いのだけど、脳内補填が要る省略や逆にオマケがあったのが残念だった。主軸に施す彩りは見てる方が入り込みやすいのかもしれないけど。

 

同じマンションに住む二人の関係を知る帽子職人宮坂智子祷キララ。『Dressing up』で見た時は子供だったので繋がらなかった。

 

★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

本田響矢、武田航平とイメージかぶる。でも、出演ドラマはいくつか見てるのにまったく目に止まらなかった。鈴木康介はぱっと見、大竹しのぶと池松壮亮、菊池風磨の間をぬぐって水上恒司と鈴木亮平をかすってゴールした感じ。こちらも目に止まらなかった。でもお芝居上手だし、二人とも今後映像も舞台も期待できそう。

 

 

『地面師たち』(2024)Netflix 全7話

原作は新庄耕の小説。

 

監督・脚本 大根仁(『モテキ』『恋の渦』『奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール』『SUNNY』他)

音楽 石野卓球

 

ナレーション 山田孝之

 

豊川悦司、綾野剛、リリー・フランキー、ピエール瀧、小池栄子、北村一輝、アントニー、染谷将太、山本耕史、池田エライザ、岩谷健司、川上麻衣子、吉村界人、赤堀雅秋、五頭岳夫、小林麻子、駿河太郎、遠藤史也、平岡亮、清水伸、本田清澄、谷川昭一朗、実乃すずめ、平原テツ、マキタスポーツ、安井順平、松岡依都美、市原茉莉、斉藤佑介、オクイシュージ、他。

 

地面師は、他人の土地の持ち主になりすまし、不動産業者に売却を持ちかけ大金を得る詐欺師。

 

地面師詐欺というより一人のサイコパス…というか偏執狂…いや特殊性癖の持ち主の享楽のために、スリルと金に囚われた人間が詐欺を働く…働かせられてる話だった。

詐欺なのでヒヤヒヤドキドキしてとても面白かったし、見ながらどういう結末を見せてくれるのかワクワクしたし、役者の断末魔(というか最期の顔が、一瞬をとらえた画像であっても)の表情がものすごく良かった。ので、もし、見るのを今迷ってるなら、このページを閉じてさっさとNetflix開くことを強くおススメ。この後、ネタバレに繋がる感想もあると思うので、今、ここが閉じ時。



 

辻本拓海(綾野剛)父(猪俣俊明)の経営する小さな不動産屋で働いていたが、自分が持ち込んだ案件が地面師詐欺で、会社を倒産させてしまう。父親は一家心中をはかり家を放火。たまたま外出中だった拓海は助かり、父親も火傷の大怪我を負ったが命はとりとめた。だが、拓海の妻子(清水葉月、渋谷そらじ)母親(水木薫)を亡くした。その後、父親は服役となり、拓海は騙した地面師西谷(赤堀雅秋)に恨みを持ったまま高級デリヘルのドライバーとして働いていた。

ある日、デリヘル嬢のトラブルで客だったハリソン山中(豊川悦司)と出会う。そのトラブルの対処法を見て、ハリソンは拓海を自分の次に立つものになると見込み、地面師に誘い育て始める。拓海もまた西谷のこともあり地面師の世界へ入っていく。

ハリソンの仲間は、なんだかんだで5年目の交渉役地面師拓海の他、交渉や仲介担当の元司法書士で多くの不動産資格を有する法律屋後藤義雄(ピエール瀧)、なりすましのキャスティングや教育を担当する手配師稲葉麗子(小池栄子)、土地や物件・地主の情報を収集、土地評価額リサーチなどをする情報屋…だが薬物中毒の竹下(北村一輝)、竹下が便利に使ってるパシリ…だか本人は地面師になりたがってるオロチ(アントニー)、身分証や公的証書の偽造やハッキングをするニンベン師長井(染谷将太)、から成る。一仕事終わるとしばらくなりをひそめ、次に備える。そして今回、ハリソンは100億の大きな仕事に手を出す。

大手不動産企業石洋ハウスでは開発事業部のやり手の部長青柳(山本耕史)が大きなプロジェクトがぽしゃって多額の損失を出そうとしていた。商業部部長の須永(松尾論)とは社長安倍川(谷川昭一朗)派会長和田島(本田清澄)派のライバル関係であり、出世にひびく今回の失態を補填しようと新たな土地を探していたところ、ハリソンらの計画する物件が飛び込んできた。青柳は最大の注意を払いながらこれに賭ける。

一方で警視庁捜査二課の下村辰夫通称辰さん(リリー・フランキー)は定年間近ながらハリソンの犯罪を追っていた。そこへ捜査一課志望でやる気に満ちた新人刑事の倉持玲(池田エライザ)が赴任しバディを組む。

ハリソンら地面師集団と石洋ハウス、刑事の三巴で物語が進む。


 

10〜20億の小さい詐欺ではなく、100億が動くでかい仕事に入った時、「死人がゴロゴロ出る大きなヤマ」とハリソンは言った。その死人は詐欺られて絶望し自ら命を断つ者ではなく、ハリソンが手を下す者たちのことだった。

冒頭で真正面から熊を撃つシーンがある。そこですでに、ハリソンにとっての詐欺は、計画を二重三重に立て最後に待ってる猟奇的殺人までに気持ちを最高潮に持っていくための手段でしかないと知らしめていた。困難であればあるほど高揚し、殺人でエクスタシーを感じる。その連続が、ヤマが大きくなればなるほどあるということであり、これまで仲間として培ってきた信頼を(例え相手から裏切ったものでも)、潮時と言う理由だけで命を奪い崩すのも快楽ということのよう。

人の死ぬその一瞬の顔を見ることにエクスタシーを感じ、その一瞬が最高のものになるように仕立て上げていく。サイコパスだろ。


なぜ地面師かといえば、地面師詐欺は一人ではなく複数の人間を絶望の淵に立たせることができる。ターゲットは決まっていても、想定外のターゲットが誕生することも期待できる。多ければ多いだけ快楽も深くなる。また、頭脳戦でもあるので、計画を練ってる時からアドレナリンが出て、その量が一つ計画が進むごとに多くなる。からではないか?

 

ハリソンと拓海の関係は早々に予想がついたが、ハリソン自身は最初からわかっていたわけではない。そこが出会いの妙で面白い。

辰さんの死に際は怖い。本当に怖い。

ホスト楓(吉村界人)の最期もこちらに痛みが伝わるくらい迫真。

辰さんが使っていたジャーナリスト崩れの情報屋久保田(オクイシュージ)の目が特徴的で、演技が素晴らしかった。

麗子の優しさが知れるのもいい。なりすまし役の谷口(小林麻子)にかける情なのだが、おそらくハリソンにとってはこういう知り合い(少なからず情を持った他人)を思いやる感情は邪魔なものなのだろうな。

人間の汚さの点で言えば、捜査二課理事官の羽場(岩谷健司)の立ち居振る舞い。こういう人間が上層部にいるのはデフォルトなのだなぁとがっかりする。というか、裏社会とのつながりなど闇が深い。我々庶民には縁のない世界であり、縁も持ちたくない世界だ。

対象になった光庵寺の住職川井(松岡依都美)で女性用風俗(でもホストだったけど)を扱ったのは良かった。Netflixはインティマシーコーディネーターがしっかりいるのか、際どいシーンがよくある。とはいえ、10年20年昔ならあり得たお色気シーンも、今ではヒヤリとしてしまう。時代だなぁ。

辰さんの妻川上麻衣子。「金八先生」に出てた。そうか、リリー・フランキーの奥さん役をやる年齢になったかぁと、懐かしかった。

 

★★★★★ 

 

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編集

『不死身ラヴァーズ』(2024)

原作は高木ユーナの漫画。

 

監督 松居大悟(『男子高校生の日常』『君が君で君だ』『くれなずめ』『ちょっと思い出しただけ』『手』『チェリーボーイズ』『アズミ・ハルコは行方不明』『アフロ田中』他)

脚本 大野敏哉(『海月姫』他)、松居大悟

 

見上愛、佐藤寛太、青木柚、前田敦子、落合モトキ、神野美鈴、大関れいか、平井珠生、米良まさひろ、アダム、岩本晟夢(いわもとせいむ)、本折最強さとし(もとおりさいきょうさとし)、他。

 

長谷部りの(見上愛)は小学一年生の頃病気で瀕死の状態だった。もうダメかと思った時に甲野じゅん(佐藤寛太)と名乗る少年に手を握られ命をつなぐことができた。以降、りのは運命の人とばかり「甲野じゅん」を探し求め、中学、高校、大学と「甲野じゅん」に出会っては積極的にアプローチし「好き」を告白し、両想いに漕ぎつくのだが、するとなぜか「甲野じゅん」は目の前から消えてしまう。しかも「甲野じゅん」はある時は年下だったり、年上だったり、陸上部だったり軽音楽部だったり、車椅子生活者だったりバイト先の店主で既婚者だったり多種多様なのだが、誰も「甲野じゅん」がいたことを知らないと言う。

そんなりのは大学で最後の「甲野じゅん」に出会う。子供の頃の病気で記憶が一日しか持たないのだという。寝ると記憶が消えてしまう甲野じゅんと、記憶の中の甲野じゅんをずっと探し求めていたりの。「好き」だけで突き進むりのの熱量に、二人の距離は少しずつ縮まっていく。そして唯一、りのと「甲野じゅん」の謎を知る幼馴染みの田中(青木柚)…。

 

長谷部りのの壮大な初恋物語。

種明かしは田中が私たち視聴者にしていく感じだ。なので、それまで「甲野じゅん」の「なぜ?」が頭で回る。もしかしてりのの方が存在しない? 実は田中が「甲野じゅん」? 待って、田中の存在意味は? あれ、花森(前田敦子)まで消えた? いや、これはファンタジーで、何でも有りなんだ!…等々、なんにしても「好き」のチカラは強大だなぁと思ったし、りのの純粋さは多くの人の「憧れ」なのかもしれないと思った。(原作未読)

 

監督の松居大悟はこの作品が大好きだったようで、10年以上映像化を想い温めてきたらしい。

私はというと、松居大悟監督作品と知らずに見始め、なんだこの空気感はと途中で調べ、知る。知ってからは監督フィルターがかかってしまい、「なんだこの空気感は」が半分くらい消えてしまった。とはいえ、やはり松居大悟は男子主人公の方がいい。

 

ほんの少ししか出ないのに落合モトキうますぎ。

りののバイト先のクリーニング店先輩の妊婦花森に前田敦子。甲野じゅんの母親神野美鈴

見上愛は深夜帯のドラマで知ったけど、どうしてこんなドラマに出てるんだろうともったいなく思っていた。だからと言ってこの役も…。現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』の幼い頃の藤原彰子役はとてもいい。

 

★★★

 

 

 

 

 

配給 ポニーキャニオン



『あんのこと』(2024)

2020年6月の新聞に掲載された記事に着想を得て制作されたものとのこと。

 

監督・脚本 入江悠(『ギャングース』『ビジランテ』『AI崩壊』他)

音楽 安川午朗(『しゃべれども しゃべれども』『君に届け』『八日目の蝉』『北のカナリアたち』『凶悪』『ストレイヤーズ・クロニクル』『団地』『日本で一番悪い奴ら』『ちょっと今から仕事やめてくる』『ユリゴコロ』『半世界』『閉鎖病棟』『一度も撃ってません』『孤狼の血』シリーズ、他)

 

河合優実、佐藤二朗、稲垣吾郎、河井青葉、広岡由里子、早見あかり、他。

 

香川杏(河合優実)は母親春海(河井青葉)から虐待を受け育ち、小4までしか学校に行けてなかった。母子家庭の団地の家には足の悪い祖母恵美子(広岡由里子)もいて、主に杏が面倒をみていたし、12歳で春海から売春を強要され、家計も助けていた。そうした機能不全家庭に生まれ育った杏はやがてドラッグに溺れるようになる。

ある日、そのドラッグがもとで警察の世話になり、刑事多々羅保(佐藤二朗)と知り合う。人情味溢れる多々羅は多くの薬物中毒者の社会復帰を手助けしていた。杏は初めて人の暖かさに触れ、多々羅と、ちょうど取材目的で出入りしていた週刊誌記者桐野達樹(稲垣吾郎)に助けられながら更生の道を歩む。

まずは家を出て家族の縁を切るためシェルターに居を構え、福祉施設で職を得て、夜間中学にも通い、ドラッグにも手を出さず、順調に進んでいたが、コロナウィルス騒ぎが起き、生活が少しずつ不自由になる。そんな中、多々羅の性加害が桐野によって暴かれ逮捕される。そして隣の部屋のシングルマザー三隅紗良(早見あかり)に諸事情からいきなり幼い子供隼人を預けられる。気力を削がれてる場合じゃなくなった杏は懸命に隼人の面倒をみて、その子供が逆に杏の命の泉にもなっていた。しかし、そんな杏の前に再び春海が現れ、預かった子供と共に実家に引き戻される。

さっそく金の無心が始まり杏はまたウリをやらされる。いくばくかの金を得て帰ると、隼人がいなくなっていた。児相に預けたというのだ。怒りと絶望でいっぱいの杏はシェルターの自室へ戻り、ドラッグに手を出してしまう…。

 

多々羅に教えてもらった日記をつけること、それはドラッグをやらなかった日をチェックする目的のもので、その一日一日の積み重ねの重要度を、身に刷り込むものだった。杏は出来事やその他メモも書き留め、それは文字を書き、漢字を知ることにつながるので勉強への意欲にもつながっていた。

コロナ禍によるソーシャルディスタンスは、やっと人の暖かい心に触れ、包まれ、素直に自分を解放し前向きになれた気持ちを閉じざるを得なくしてしまう。当時、新入生が学校や職場で、それまで当たり前にあった交流が営めない問題も浮上していた。リモートの可能性は期待され、それ相応の変革を与えたけど、失うものも多かっただろう。

杏は春海に戻されたことより、隼人を児相に渡されたことに心を痛め、そして何よりまたドラッグを打ってしまったことに激しく後悔したのだろう。せっかく教えてもらった日記、順調に歩めていた記録、多々羅や桐野との楽しい思い出の記憶、そんな日記に火をつけ、だけど隼人のメモだけは大切に破り取り、ベランダから飛び降りる。

自死へ向かう意思はほんの一瞬の気持ちからなんだと想像する。多くのことが重なり、自制が効かなくなっての行動なのかなと思う。それがとてもよく現れていた。と感じた。

とても良かった河合優実。

あと、広岡由里子、やっぱりいい。

 

ところで、多々羅の性加害は本当なのか微妙なところで終えている。やたらボディタッチが多く、今ならいわゆるコンプラだかポリコレだかマイノリティだかフェミだかの界隈から文句が飛ぶ案件。でも人の暖かみを教えるには一番な伝え方だとも思える。そんな感じの多々羅だったから、最初は怪しみ、最後は疑問符となった。こんなところもうまい作品だった。

 

★★★★★ 

 

 

 

 

制作 コギトワークス

配給 キノフィルムズ

 

 

 

 

 

舞台が赤羽…(^^;;。