『バレエ男子!』(2025)MBS系列 0501~全8話
監督 綾部真弥(『おいしい給食』シリーズ、他)
脚本 岸本鮎佳
バレエ監修・指導 草刈民代
バレエ指導 菊池研
主題歌 舟津真翔(ふなつまなと)「魔法のコトバ」
エンディングテーマ 近石涼「フィナーレ」
戸塚純貴、大東駿介、吉澤要人(よしざわかなめ)、水上京香、久世星佳、宮崎心桜(みやざきこころ)、松永玲子、小橋めぐみ、福田桃芭(ふくだももは)、他。
小森川バレエ団の団員である小林八誠=こばやしはっせい(戸塚純貴)は良い意味で自己肯定感が高くナルシスト、明るくポジティブなのだけど、実は密かに20年も続けていたバレエを辞めようと考えている。でありながら、男子のバレエダンサーをもっと世に知らしめるべく動画配信活動などもしている。そして小森川バレエ新人公演、50周年記念公演を通し、八誠がそもそもバレエを始めたきっかけ、それが「ドン・キホーテ」のエスパーダ役へのこだわりにつながっていたこと、その役をやることが八誠のバレエ人生の集大成だったとわかる。という流れの中で、八誠のバレエへの思い、夢を追うことの意味などが描かれる。
また、同じバレエ団で仲の良いプリンシパルの守山正信通称マモさん(大東俊介)、同期の佐々木真白=ささきましろ(吉澤要人)とのやり取りを中心に、元カノのダンサーりさ子(水上京香)、真白とパドドゥを踊ることになるみゆき(福田桃芭)、八誠が受け持つバレエクラスの中学生の生徒咲良(宮崎心桜)、などそれぞれ問題を抱える人たちとの交流から、互いに成長する様、また視聴者にはバレエの世界をざっくり紹介していく。
コメディ。
小森川バレエ代表に久世星佳、団員を仕切る先生牧本に小橋めぐみ。
八誠たちがよく行く定食屋のおかみさん波子(松永玲子)がなかなか良いキャラクター。けっこうフィーチャーされるので最後まで何かあるのかと思ってたけど、八誠を応援する以外、特に何もなく終わった。何か欲しかった。今に繋がるドラマティックな過去とか。
演目として「くるみ割り人形」「ライモンダ」「ドンキホーテ」が入る。
吉澤要人はバレエ経験者のようで、まあ見れた。女性陣(役者)も経験者のようで安心して見れた。戸塚純貴も大東俊介も頑張ってたけど、やっぱりバレエは特殊で(バレエに限らずだろうけど)、出来る人が出来ない役するのが一番いいなと『ミッドナイトスワン』で確信した通りだった。やっぱりただ立っているだけでも姿勢に目がいき、上半身は良くても脚に違いが出てしまう。もちろん、話が良ければ、出来る出来ないは関係なくなるのかもしれないけど、その話が…(^^;;
ほぼアドリブのような台詞展開は興醒めするものが多い…と感じるくらいキャッチボールが長い。
あと、50周年記念公演のわりには意外とあっさり中止にする。機材に支障が出るなら別日を立てればいいし、そもそもそれくらいのスケジュールは組んでおくものではないのか、と"ドラマ"を無視した疑問が湧いてしまった。これが災害級の集中豪雨ならまだしも。結局はスタジオでの「ドン・キホーテ」上演&配信になる。バレエはどこでも踊れるという台詞もあるのだけど、それは身内の発表会レベルね。
レッスンやリハの様子だけで、舞台映像は無し。それではバレエの魅力は伝わらない。
とまあ、バレエ男子、バレエダンサーの苦悩も、扱いの軽さ、表面的な解決策で、ほぼ伝わってこないし、コメディというわりには笑えなかったり、と残念なドラマだった。
戸塚純貴の良さも出ていない。
良かったのは、りさ子が持つ一般クラスのレッスンで、そこの生徒の様子。リアリティがあった。
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制作&吉澤要人インタビュー