新幹線大爆破(1975年版) | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『新幹線大爆破』(1975)

 

原案 加藤阿礼

監督 佐藤純弥=佐藤純彌(『人間の証明』他)

脚本 小野竜之助佐藤純弥

 

高倉健、千葉真一、宇津井健、山本圭、郷鍈治(ごうえいじ)、織田あきら、竜雷太、宇都宮雅代、藤田弓子、多岐川裕美、志穂美悦子、渡辺文雄、福田豊土(ふくだとよと)、丹波哲郎、北大路欣也、田中邦衛、川地民夫、岩城滉一、小林稔侍、藤浩子、片岡五郎、佐藤和男、岡本八郎、阿久津元、黒部進、河合絃司(かわいげんじ)、土山登士幸(つちやまとしゆき)、五野上力、山内明、永井智雄、鈴木瑞穂、十勝花子、他。

 

そんなわけで1975年版を観てみた。

 

東京発博多行きの新幹線「ひかり109号」に爆弾を仕掛けたという電話が国鉄本社に入る。速度が80キロ以下になると自動的に爆発するという。それが嘘ではない証拠に北海道夕張を走る貨物列車に同種の爆弾を仕掛け、指定速度以下になった時、爆発させてみせた。要求は500万米ドル(日本円にして当時約15億円)。

国鉄の運転司令長倉持(宇津井健)は「ひかり109号」の運転士青木(千葉真一)に知らせ、速度を120キロに保つよう指示する。とはいえ、自動制御装置ATCとの兼ね合いもあり、トラブルを避けるため場合によってはギリギリ85キロまで下げるなど、現場を預かる倉持と森本運転士(小林稔侍)は緊張を強いられる。

また、停車するはずだった名古屋駅を通過したことで乗客にも爆弾のことが知らされる。乗客それぞれの都合や考えから混乱しパニックになる中、妊婦(田坂都)が産気づき、居合わせた医者(藤田弓子)の努力も虚しく胎児は亡くなってしまうという不幸も起こる。

犯人は元町工場経営者の沖田哲男(高倉健)とその従業員だった青年大城浩(織田あきら)、たまたま知り合った元活動家古賀勝(山本圭)。沖田は自工場経営に失敗し、荒れた生活に妻靖子(宇津宮雅代)はたまりかねて離婚、子賢一(菅原靖人)を連れて出て行った。失うものもない、金が得られれば次の人生もあるやもしれない、社会への反旗か。

沖田たちは連携し、撹乱させながら500万米ドルを受け取る。しかしその間に、浩を事故で、古賀を自爆で亡くす。二人の思いを汲み自分だけでもと当初からの予定だった海外逃亡を図るが…。

 

博多に着くまでの時間になんとかしなくてはならない、警察との地上戦、車内での人間模様、沖田を中心にした犯人たちの過去描写、司令室と政府と警察との人命への考え方の違い、爆弾解除と情報操作など、ギリギリの状態で最適解を出す、なかなか面白かった。

 

爆弾を発見するため鉄道橋の下からサーチライトを照らし車体の底動画を撮るという方法と、沖田の言葉尻から予測を立て必要な道具を搬送し解除に乗り出すのは前時代的であるがゆえ緊迫感があった。

青木運転士の「SLだったら…」という自動制御装置の便利なようでこうした場合足手まといになるグチが良かった。それに応えて新幹線の意味を問う倉持に、技術や科学の進化は生活の利便性や文化の発展に直結してるのだなぁと思った。

 

500万米ドルと引き換えだった爆弾解除の指示書が不意の火災で受け取れなくなったこともあり、テレビで犯人への1500人の命を助けてくれと倉持による訴えも放送される。それが無事爆弾解除後も、今度は残る犯人沖田を捕まえるために流し続け、無事救出のニュースを流さない。乗客の家族たちの気持ちを優先する倉持は犯人逮捕のためとはいえ警察の手に失望する。そして爆弾がもうひとつついてるかもしれないのに停車を指示した自分を責める。立場により違うとはえ、人道とは何かを考えさせられる。

 

無事停車できたときの倉持とその上司(永井智雄)の表情だけで安堵プラス複雑な思いの目の演技が素晴らしかった。表情演技は昔の役者さんの方がうまかったかもしれない。アップ画が多いし。

そういえば、医者が藤田弓子とはまったく気づかなかった。

あと高倉健のラストを美しくしたな ( ̄∀ ̄)ニヤリ という感じだった。

 

映像技術的にも粗さは仕方ないけど、でも、妊婦の出血に、輸血が必要と献血を乗客に募り施すんだけど、そんな医療器具持ってんの?という疑問はどうしてもぬぐえなかった。

2025年度版と比べると、良くも悪くも技術的にもストーリー的にもやはり時代を感じる。また数十年後、リブート編が出たらどう描くだろうと考えた。

 

★★★(★)