ドラマ『【推しの子】』(2024)Amazon Prime Video 全8話
原作は赤坂アカ×横槍メンゴの漫画。
監督 スミス(『ぼくは麻里のなか』『tourist ツーリスト』他)、松本花奈(『明け方の若者たち』他)
脚本 北川亜矢子(『わたしに××しなさい!』他)
ドラマ主題歌
①MY FIRST STORY『アクマ』
② ロクデナシ『草々不一』
③Da-iCE『オレンジユース』
④ I's『Past die Future』
⑤ヤバイTシャツ屋さん『ええがな』
⑥WANIMA『爛々ラプソディ
⑦七水曜日のカンパネラ『動く点P』
⑧梅田サイファー『REVENGE』
エンディング曲 B小町(劇中ユニット:齊藤なぎさ、原菜乃華、あの)『SHINING SONG』
櫻井海音(さくらいかいと)、齋藤飛鳥、齊藤なぎさ、原菜乃華、あの、茅島みずき、成田凌、杢代和人(もくだいかずと)、倉科カナ、金子ノブアキ、吉田鋼太郎、稲垣来泉(いながきくるみ)、濱田マリ、安達祐実、要潤、志田未来、戸塚純貴、中村蒼、尾美としのり、二宮和也、黒沢あすか、宮川一朗太、石井杏奈、竹財輝之助、岡田結実、山下幸輝、森田甘路、野田クリスタル、渋谷謙人、緒形敦、郷馬健太郎、矢柴俊博、片山萌美、渋江譲二、剛力彩芽、青柳翔、柊太朗(とうたろう)、黒田昊夢(くろだひろむ)、菊池姫奈、簡秀吉、なえなの、酒井唯菜、兼清萌々香、齋藤茉日、中野あいみ、松本海希(まつもとみき)、十味(とーみ)、渋谷凪咲、宮下兼史鷹(みやしたけんしょう)、黒川想矢、岩川晴、斉藤柚奈、永瀬ゆずな、磯村アメリ、他。(映画版含む)
東京ドームでのライブを前にアイドルグループB小町(メンバー:酒井唯菜、兼清萌々香、齋藤茉日、中野あいみ)の圧倒的センターアイ(齋藤飛鳥)がストーカーと化した熱狂的なファンリョースケ(杢代和人)に自宅を特定され刺殺される。極秘裏に出産をし、所属する苺プロダクションの社長斉藤夫婦(斉藤壱護:吉田鋼太郎、斉藤ミヤコ:倉科カナ)の子と偽っていた双子の実子の前で…。そしてその双子の子供、アクア=星野愛久愛海=ほしのあくあまりん(櫻井海音/幼少期:岩川晴)とルビー=星野瑠美衣(齊藤なぎさ/幼少期:斉藤柚奈)はとある宿命を背負って「推しの子」として転生してきていたのだった。
アイが亡くなってから、B小町は解散し、斉藤壱護は行方知れず、苺プロダクションも休眠状態、ミヤコが二人と暮らし面倒をみていた。そうして高校生になった二人はそこで幼少期に共演した元天才子役有馬かな(原菜乃華/幼少期:永瀬ゆずな)と再会する。かなはその後泣かず飛ばずの使い勝手の良い女優になってしまっていた。当時ドラマでアクアの才能に打撃を受け見惚れたかなは、鏑木勝也プロデューサー(要潤)が関わる漫画原作ドラマ「今日は甘口で」に誘う。アクアは幼少期世話になり事情も知る五反田泰志監督(金子ノブアキ)のもとで裏方として芸能界の片隅にいたものの、役者などやる気もなかったが、アイと交流のあった鏑木の名前を聞いて引き受けることにした。アイの命を奪った男、前世で因縁を持った男、自分の父親をつきとめるために…。
鏑木プロデューサーと知り合いになったアクアは、アイの男性関係の情報を交換条件に、次の恋愛リアリティショー「今からガチ恋始めます」にも出演することになった。そこで後々協力関係に進展する真面目な実力派女優黒川あかね(茅島みずき/幼少期:磯村アメリ)、ルビーとかなと新生B小町を組むことになるドルヲタ兼インフルエンサーMEMちょ(あの)と出会う。そうしてアクアは鏑木プロデューサーから、アイが「劇団ララライ」のワークショップで恋に落ちたことまでをつかむ。「劇団ララライ」の主要メンバーが揃う人気漫画原作のドラマ「東京ブレイド」にも出演を決め、異母兄弟の存在までたどり着くも、その父親はもうこの世にはいなかった。これで終わりに見えたかに思ったが、ルビーはルビーで独自にアイの事件を追っていた。
B小町の新曲MVを作るため、宮崎にロケに行くことになる。実はその宮崎に因縁があった。宮崎でアクアとルビーは生まれ、ルビーは前世で宮崎の病院に入院していたし、その時担当だった研修医がアクアの前世だった。ルビーにはアイドルを目指す理由があり、ここで復讐を誓う理由がアイのこと以外にもう一つできる。また、アイのために斉藤壱護もずっと独自に動いており、アクアとルビーが誰の何の目的で転生したのかも含みつ、一歩ずつ真相、真の犯人に近づいていく…。
ドラマは実は本当の父親は他にいるかもしれないこと、アイを殺した男リョースケを操っていた人物がいたかもしれないこと、アクアがかなのスキャンダルを隠す理由で自分らの出自をリークし騒ぎになるというところで終わる。
面白いのは、サスペンスのノリで転生に始まり、テレビドラマ制作やバラエティショーの内幕からアイドルや役者の矜持にも触れる芸能界ネタの盛りだくさんなところ。かなにしてもあかりにしても意識の方向こそ違えど、そのプロ意識は納得がいったし、やはり芸能界は厳しい世界だと思った。また、原作者となる漫画家吉祥寺頼子(安達祐実)、鮫島アビ子(志田未来)の自作品への思い入れの差(性格によるところは有り)、作家や出版社、制作局の創作意識の違いなんかも想像通りで面白く見れた(何が悪い良いということではなく、折り合いをつける点が良かった)。
コミカルな要素、恋愛ネタも多々あって思わず吹くところもあった。展開に無茶な点、多少のキャラブレもあったけど、楽しめた。俳優陣もわりと豪華なのは、アマプラだからかな。
あかねの母親役に黒沢あすか。宮崎の映像クリエイターアネモネに石井杏奈。B小町の新曲を提供する売れっ子ミュージシャンヒムラに竹財輝之助。漫画家ともめる脚本家GOAに戸塚純貴。劇団ララライ所属の俳優で血縁が判明した姫川大輝に山下幸輝。ドラマ「東京ブレイド」のプロデューサー雷田澄彰に中村蒼。などなど。
★★★★
映画『【推しの子】 The Final Act 』(2024)
監督 スミス
脚本 北川亜矢子
ドラマ版の復習から始まり、産婦人科医の雨宮吾郎(成田凌)と、研修医だった時に出会った病床の少女天童寺さりな(稲垣来泉)とのことに焦点が置かれ、転生の理由が明確になる。
B小町のアイ(齋藤飛鳥)の大ファンだったさりなの影響を受け、吾郎もアイのファンになる。さりなは亡くなってしまうが、さりなはアイドルを目指すという目的を持ちアイの娘ルビー(齊藤なぎさ)として転生した。
時が経ち、吾郎が産婦人科医になって出産のために斉藤壱護(吉田鋼太郎)に連れられ極秘裏に現れたのが星野アイだった。ファンだったから喜んだものの、大学生くらいの怪しい二人の男につけ狙われていることを知り、たまたま居合わせたその一人の男を追うものの、半ば事故的に吾郎は命を落とすことになる。自分の命を奪った相手、かつアイに何らかの不利が生じるかもしれないとアクア(櫻井海音)として転生したのだった。
アイのもとに生まれた二人はもちろん互いが誰の転生だったかなど知りもしない。そんな状態でアイが刺殺される。目の前で死んでいくアイを見たアクアはそこで犯人探しを、そして復讐を誓ったのだった。ルビーもまたアクアの真意を推しはかりつつ、やはり母親でもあったアイ、そして後々知った大好きだった吾郎先生の死因から、二人を殺した犯人への復讐心が育っていく。
そしてアクアが五反田泰志(金子ノブアキ)と手掛けるアイを描いた映画「15年の嘘」の撮影が進む中、女優一本でいくと決意した有馬かな(原菜乃華)のB小町卒業があり、裏でアイに手を下した犯人カミキヒカル(二宮和也)も浮上。そして映画完成イベントの日、アクアはいよいよカミキヒカルと対峙することになる…。
転生の理由が薄いかな。もっと心が痛くなるような理由が吾郎にもさりなにもあるのだと、ドラマを見てる時から期待があった。それだけの台詞や思いがあった。暗い崖とか、もっと生きたいさりなとか。犯人のカミキヒカルはサイコパスだけど、そうなるにはなるだけの芸能界の闇があって、それは良かった。そのくらいの重さが欲しかったということ。原作未読。
櫻井海音の声のトーン、喋り方、表情までもが高橋文哉に似てた。
原菜乃華うまかった。二宮和也も安定している。
アイの母親役に剛力彩芽。なかなか良かった。
宮崎の病院の川村看護師役に濱田マリ。「15年の嘘」の監督金田一敏郎役に尾美としのり(ドラマ版から出ている)。
★★★