『ナミビアの砂漠』(2024)
監督・脚本 山中瑶子(『魚座どうし』他)
音楽 渡邉琢磨(『あのこは貴族』『人数の町』『先生、私の隣に座っていただけませんか?』他)
河合優実、金子大地、寛一郎、新谷ゆづみ、中島歩、唐田えりか、伊島空、堀部圭亮、渡辺真起子、渋谷采郁(しぶたにあやか)、澁谷麻美、倉田萌衣、他。
カナ(河合優実)は、恋人ホンダ(寛一郎)と同棲している。ホンダはまっとうに働き、家賃からカナの食事まですべて面倒をみている。ホンダはすべてカナを一番に考え、異常に優しく、優柔不断。カナもエステサロンで働いてはいるが、仕事はマニュアル通りたんたんとこなすものの無気力で怠惰で、生活はホンダ任せを当然としている。そんなカナは、新しく知り合ったクリエイターのハヤシ(金子大地)と暮らすため、ていよくホンダを落とし込み部屋を出て行く。
ハヤシと暮らすようになり、ハヤシの周りの人間(友人三重野:伊島空、など)、家族(父:堀部圭亮、母:渡辺真起子)などにも会い、その別世界具合に疎外感を持つ。最初こそ楽しく幸せいっぱいの恋人同士を堪能していたが、カナはやがて物足りなくなり、自身の生き方へのジレンマに苛まれ、ハヤシにDVを働くようになる。ハヤシはカナを捨てるでもなく、本気でぶつかり合う。徐々に壊れていくカナだが…。
ホンダがよくカナに水を飲むようすすめる。よくわかんなかったけど、砂漠だったんだろうな、心が。カナの。そんな子もいるんだろうな。生まれ持って持ち得た性質なんだろうな。でも、精神疾患ではないように思う。気性だと思う。だって、少なくとも二人の男性が寄り添おうとしたわけだし、まあ、ホンダは優しさに見えて実は依存気味であったけども。
カナが21歳という設定に違和感があったのだけど、堕胎と同じく嘘かな? それとも、21歳だからこそあり得るのかな。
カナはカウンセラー(渋谷采郁)にかかるのだけど、そのやり取りが興味深かった。一つの言葉を掘り下げていく。そんなことされたらかなわないなぁと思った。そう思うのは病んでないからで、どこかおかしい人はそれに素直に従って知らぬ間に心の奥へと入っていくのかな。
相変わらず金子大地良かった。うまいな。寛一郎もこれは良かった。
あと、隣人の遠山役の唐田えりかも。『極悪女王』も良くて、今後に期待してる女優さんの一人となった。
それから、カナの職場の後輩新人瀬尾役の倉田萌衣もヒリヒリするキャラで良かった。
その他、オンライン精神科医役に中島歩。このビジネスライクなキャラ、台詞はヒヤヒヤして良かった。
そういえば、冒頭、カナとその友人イチカ(新谷ゆづみ)の共通の友人が自死する話題があるのだけど、慰め方というか処理の仕方がホストクラブなのが、特定界隈の住人であることを匂わせていて、もしかして、いわゆるトー横キッズの生態というか概略だったのかなぁと思えたり。。。
★★★
制作 ブリッジヘッド、コギトワークス
配給 ハピネットファントム・スタジオ